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リヒター愛

これはもちろん私の独断なのだけれど
リヒターの作品は実物を観なければ見たことにならない
巨大な引っ掻き傷は
そこにあったなんらかの光の面影を残していて
それは『あった』と感じさせるに足る
けれど不思議なことにそれは絵の具という物質からでなくては感じられない
印刷物やモニター上の圧縮された画像には認められない

あれは抽象ではなく
思い出の残骸の具象化なのだと思う

消し去ってもなかったことにはならない
傷は傷のままに残る方が美しいのかも知れない

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