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手打術新書[うどん打ちの全て]七巻-技術編-魅せの章

うどん打ちの未来は○○にあり。

うどん打ちというスポーツは、いかに体の細部までコントロールできるか、無駄な動きを削ぎ落とすことができるか、技術編ではこれまでそこに注力してきた。

うどん屋を開業し、うどん職人として美味しいうどんを作るのはここまでで充分だろう。

だが、飲食店というのは中々に厳しい世界だ。飲食店の閉店率は1年目で約3割。2年目になると約5割が閉店し、3年目では7割にも達する。それ以上に続けるためにはうどんが美味いだけでは難しい。

もちろん店の立地や戦略、ターゲットを絞った戦術など経営的な部分も大きい。しかしうどんを打てる意味、強みを生かさなれば、手打ちで店を行うより、機械を導入した方が安定した美味しいうどんを提供できるだろう。

手打ちうどんの店として戦っていくためには、その姿をお客さんに見てもらうのがよくある戦術だ。ガラス張りでうどんを打っているあれだ。

その打ち姿をよく見てみて欲しい。それぞれに個性があり、圧倒的な速さで仕上げる職人がいれば、一定のリズムで小気味良い製麺をする職人もいる。それぞれに味があるが、どれも店主が魅せるうどん打ちを行っているのだ。

それが意識的なのか無意識に積み上げられたものなのかは人によるところだが、どれも無駄を削ったその先に至っている麺打ちだ。

美味いうどんは当たり前。これからはその上で店主や打ち手がいかに魅せ、愛されるかが、個人店におけるうどん屋の生き残るために必要なことなのではないだろうか。

うどん打ちの未来は魅せることにあり。

その打ち姿を美しく、時に崩し、時に鋭く、基本を押さえた上で高みへ持っていけるか。そのための技にこの章では触れていく。

魅せの基礎

魅せるためにはこれまで必要とされなかった細部の動き、シルエットが求められる。それぞれに完成は無く、常に意識し、より良くしていくことで研鑽を積む必要がある要素だ。魅せと効率性はリンクする部分も多いため、理に叶うところもいくつかある。

・姿勢を正す
・動きに緩急をつける
・大きく動く
・真面目な顔(演技含む)
・無(無駄)を作る
・重心を意識する(足捌き)

以上を意識した上で、まずは捌きという意外と難易度の高い項目から触れ、延しの魅せ技を紹介していく。

level14.5「瞬殺撃」

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