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学校教員の残業代不払い見直しを

10月1日にさいたま地裁の判決において、学校教員への残業代が支払われず、その代わりに月給4%分を一律で支給する教職員給与特措法(給特法)について、「もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」と裁判長が異例の指摘をしました。

判決文は、「多くの教育職員が、学校長の職務命令などから一定の時間外勤務に従事せざるを得ない状況にあり、給料月額4パーセントの割合による教職調整額の支給を定めた給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」と述べた上で、①働き方改革による教育職員の業務の削減、②勤務時間の管理システムの整備、③給特法を含めた給与体系の見直しなどを提言しました。

今までこの問題が放置されてきたことを訴えた教員の方の勇気に敬意を表するとともに、一日も早く特措法の廃止し、他の地方公務員と同じ扱いにしていくべきと考えます。

それから、判決でも述べられていましたが、残業代を認めるのみならず、過大な負担となっている教員の仕事の見直しをすべきと思っています。昔と違い、ICT教育やいじめ問題への対応など、教育現場に求められる対応はますます高度化、複雑化しています。

教員だけでなく、さまざまな専門領域を持つチームやソリューションが学校教育を支えていく仕組みに大きく変えていくべきだと思います。

わが国の公財政支出と家計支出を合わせた児童・生徒・学生1人当たりの年間教育支出(2017年)は、OECD平均(1万1,231ドル)とほぼ同じ1万1,896ドルですが、家計負担が3,409ドルとOECD諸国中4番目に重くなっています。今回の判決の趣旨も踏まえ、公教育を充実させること、さらに教員の負担も減らしつつ生産性を上げていくために十分な財政支出を行うことにより、教育の充実と子育て世代の負担軽減という二兎を得ることができると考えます。

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