【ネタバレ感想注意】エヴァンゲリオン見たぞ! 21/03/08

シン・エヴァンゲリオンのネタバレ感想です。箇条書きでつらつら書きます。ちょっとスクロールの間を取ろうかな。今インターネットはすごいことになっているから……。映画見てから下がってくれ。

日課の音声日記(エヴァの話なし)▼














ここからネタバレ箇条書き。まとまりはない。

・いやー、終わるとはね……。本当に終わるとは。終わってしまうとは知らなかった。

・まず、庵野監督自身もいろいろ変化されているであろうし、世の中も1995年とはぜんぜん違う様相を呈しているし今まさに変わっている最中だと言うのに、一つの物語として作品を完結させた事自体が純粋にすごいなと思った。そこらの作品じゃなくて、世界中からいろんなものを背負わされた物語とキャラクターを、完結まで持っていったこと自体が偉大なだなと。本当にお疲れさまでした。

・とはいえ作品の内容自体が全然どうでもいいとかそういうわけではなく、物語としてかなり強かった。一個一個雑感を書いていこうかな。

・またうつ病スタートのシンジくん……。いや当然だろ何回折られてんだって話。でもなんとなく、立ち上がるんだろうなという信頼を抱きながら序盤を見てた。不屈の魂を持つ男なので……。

・トウジ、委員長が結ばれてるー!? いや~よかったですね。ニアサードインパクトが二人の絆を強めたってセリフ、逆に今だからこそリアルだなって気がしてて。我々人間は醜くも強いので、どんな経験からでも次につないでしまうしたたかさがあるんですよね。ここ10年くらいよくも悪くもそのことをずっと感じているので、「たしかにな~」と思った。そこは深く考える必要がないんだよ、俺達は学んでしまうし、知恵を得てしまうし、強くなってしまうんだ、ってことを伝えるがため、TVシリーズ履修者が夢見た天下無双のハッピーカップリングが用意されたんだな~と思います。

・黒波がプラグスーツで農作業に勤しむシーンがダイジェストで流れるの、なんかの夢か!? と思った。「綾波がプラグスーツで田植えをする」っていう珍奇なネタバレを目にしてしまう人がいるかと思うとちょっとわろけてしまうな。

・中盤で儚くも消えてしまう黒波に農業体験をさせたのはシンジを救うためでもあるけど、画面の外側の俺たちを救うためのことだったのかもしれない。尺も結構あったしな。

・アスカの叱咤、レイの激励で自分を取り戻していくシンジ……。この男、やはり不屈。でも周りの人間がシンジに厳しかったり優しかったりかまってくれたりほっといてくれたりするのはやっぱりシンジ自身がこれまで頑張ってきたからなんだよな。

・アスカがレーションを無理やり食わせてくるシーン、すげえ良かったですね……。人類をフッ飛ばしたくらいがなんだ、人間として生きてる限りウジウジしてねえで人間をやれ、って……。乱暴だけど、シンジを思ってないと出ない行動と言葉の羅列ですからね。成長しない体といずれ死に向かう使命と、人外の秘密を抱えてなお他人に対して発破をかける。アスカは強い大人の女性になったんだなあと思う。

・自分の居場所は人間界には無いと確信しているアスカに対して、何を言うでもなくそっと居場所を整えているケンスケの献身よ……。何もできなかった子供時代を経て、生きるため何でもガムシャラにやってきた時期を経て、信じて、見守って、何もしないことを身に着けている。すげえよなあ。

・カッコよく死んだ上都合よく子まで残してる加持さんの目的が生物種の保存ってところ、一貫しすぎてて逆に笑ってしまう。その息子に一生会わないと決めてリョウジって名付けるミサトさんもとにかく終わってる。けど息子はすげえ良いやつで、元気そうにやっている……。それだけでいろいろチャラになるし、なってしまう。このへんにシン・エヴァの全体的なテーマがある気がしないでもない。「汚え大人」「ダメな大人」を最後の最後の最後まで一貫させることで、やっと加持さんはカッコいい大人になったのかもしれないですね。

・憑き物が落ちたかのように覚悟を決めてヴンダーに再び戻るシンジ……。Qでキツかった人々の真意も見えていく。このへんの描写評価分かれるかも知れないけど、おれはいいと思った。シンジが成長して、他人を慮る……他人を自分の心に入れることでしか孤独を和らげる術はないことを知ったからこそ、周りの人の態度の真意が見えるようになってきた、そういうシーン群だと思うので……。

・シンジがアスカを、アスカの命を選ばなかったことに気づき、それに応えてアスカが過去の恋慕を静かに伝える……、マジで切なくて、エヴァを見てきた歳月ごと胸にギュッと来たぜ。俺どっちかっていえばアスカ派だったなってことを思い出した……。「好きだった」、「今も好き」でもないし、「今は嫌い、どうでもいい」でもないし、「好きだった」としか言えないよな……。the end of evangelion……。

・艦隊戦シーン、大量のエヴァとの決戦シーンはすげえ迫力で、劇場アニメの楽しさを存分に味わえてよかったですね。まあこのへんの描写周りとか用語、設定周りの考察は専門家がたくさんいるので軽く流していきます。艦隊戦時のBGM、ファーストガンダムオマージュ?とちょっと思った。似てませんでした?

・アスカが最後決めるぞ!ってシーン、様式美としての嫌な予感がすごかったですね。だいたい的中するわけですが……。でもアスカが人間たちになじまない理由、眼帯の秘密がそこにあったんだって最後に開示されたのはすごかった。旧シリーズだと割とマジで蚊帳の外感あったと思うし、式波への改名から始まる一連の設定変更も、ここでアスカを重要ファクターにするための仕掛けだったんですね。愛を感じるし、練られてるな~と思った。ていうか新劇3部(特にQ)であれだけいろいろ評価されてなお「いやそこも込みで練ってるから、シン待っとけ」みたいなこと言わずによく黙々と作れたな……。すごい。

・シンジとミサトさんの和解というか、お互い素直に話したら普通にうまくいきましたみてえな話でしたね! いやそこにたどり着くまでが重要だし、なかなかそこに行けないのが人間なのだと思います。正直に素直になるほど難しいことはない。おれはかなりひねくれた人間なので本当に共感できる。こんなふうに、すべての罪悪感と向き合ったまま対話ができたら。

・そのあと少女達がPOPしてゴチャゴチャするの、楽しいですね! いや本当に楽しい。人が元気に生きてるから。当人たちが腹割って話して超絶すっきりしても「いやいやいやちょっと待てや!」ていう他人はいてしかるべしなんですよね。それがゲンドウが否定しようとした世界の在り方なんだと思う。どんなことでも乗り越えてしまうし、何をやっても文句はつく。それは何かが間違ってるとかずれてるわけじゃなくて、かといって正しさを保証されてるわけでもなくて、ただそういうことだということ……。

・破でシンジが救った綾波が待っていてくれたところ、ここが第一の泣き所でした。ずっと、魂はそこにあったんだね。

・ここから怒涛の説明シーンというか、ゲンドウお前最初からそれ言えや!!!!ってことの連発でカタルシスがすごかった。こいつ頭でっかちの社会不適合者でユイさん以外どうでもいいのでは? ってのは皆ヒシヒシ感じてたけど、それをハッキリ言われてしまうとシンジくんも俺たちも受け入れるしかないというか。ゲンドウのキャラはずーっとブレてない気がしてよかった。ゲンドウがやりたかったことはずっとこれだけだったんだな。いや知ってたけど、開き直って全部言ってくれたことにこそ意味があるよマジで。

・そうして、エヴァンゲリオンが終わり、新世紀が始まる。シンジくんは本当にすごいスーパーロックスターで、やり直しじゃない未来を選び取る。父を受け入れて、母を見送り、未来に進んでいく……。

・キャラクターたち、観客の我々、たぶん庵野監督本人も含んだ、エヴァンゲリオンに関わったすべての魂の救済がこの映画のテーマのひとつなんだななと思う。

・使徒として生まれた渚カヲル。エヴァパイロットとして作られた命である式波、綾波。みんなみんなを優しく舞台から下ろして、シンジも未来へ帰っていく。

・個人的な第二泣きポイントがこのへんで。VOYAGER〜日付のない墓標ってユーミンのカバーなんですけど、松任谷由実さんってうちの両親ともに大好きなアーティストで、この曲も親の車の中でめちゃくちゃ聞いた一曲なんですよね。ゲンドウ、ユイ、シンジのシーンに自分の親と自分の感じが重なって…… 泣いてしまいました。

・旧劇のラストの優しいリフレイン。アスカは大人になって、今のアスカが生きたい場所へ行く。シンジはそれを見送る。青春の終わり……。

・これをアスカルートじゃない、と捉えることも出来ると思うけど、おれはちょっと違うと思ってて。シンジの魂をシンジとして救済するためには、「1995~ゼロ年代の少年たちの代表」という役割から解き放たなければいけない。シンジはシンジとして大人になり、進んでいく。彼は最後にヒーローになり(ずっとヒーローだけどさ)、おれたちとはぜんぜん違う。

・今のおれたちの代表は、じっとやるべきことをやり通し、期待なんか持てなくてもただ待ち続ける……。ケンスケのほうがその役割に向いている気がする。アスカは、ケンスケのもとへ……すべてのアスカ派だった少年たち(今や大人)のもとへ帰ったとも言えるのではなかろうか。

・書いててすごい都合よくてキモいな、でもそう思ったんですよ。そうじゃないとアスカ派諸兄だけ置き去りすぎるし、そうだと思うんですよね。

・マリの役割ってずっとわからないな~と思ってたんですけど、ここだったんですね。このために居たんですね。アスカを、レイを、皆をきちんといるべきところに帰したシンジを迎えに来てくれる人。大人になったシンジとともに歩む人。最後に一人じゃ、寂しすぎるもんな。

・整理のために書き始めたけど考えてたらもっとごちゃごちゃしてきたな……。「エヴァに関わる全ての魂の救済、開放」「親はなくても子は結局育つし、それは人類全体にも言えてしまう、それは悲劇であり喜劇」みたいなことを感じ取りましたというだけの話なんですが……。

・あとは、「ただ生きる」っていうことの価値がここ10数年で爆上がりしてきて、「どう生きるか?(ていうか死んだほうが良くないか?)」って物語だったTVエヴァの時代とは変わってきてるのが大きいと思った。ゲンドウの語った生き辛さ以前の話になってきてるし、農業パートとかもそういう身体性、物理性に回帰するしかないよねみたいなメッセージと受け取った。

・まあなんにせよエヴァは終わり、エヴァが完結した世界で我々は生きていかないと行けない。シンジくんがそうしたように、大人になって、故郷の駅のホームからどこかへ旅立たないといけないのだ……。いや書いてて普通に辛くもあるし、これを受け止められる自分でありたいとも思える。その実感がおれにとっては大事で、エヴァンゲリオンの終わりを受けてそういう気持ちになれたことが今は嬉しいなと思う。そういう話です。

・わけわかんねーな。そういう感じです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?