見出し画像

【猫の目ロック】全曲解説・前篇

小野瀬雅生と須藤祐と云うアコースティック・デュオ・ユニットをやっております。この度(2020年7月)ニュウアルバム『猫の目ロック』をリリース致しました。11曲入り、30分ちょいの作品ですが、このアルバムの全曲解説をメンバー2名で詳細に克明に余計なお世話だ特盛デカ盛だと云われるようなところまで致します。CDは当方のウェブショップの通信販売で入手して戴けます(CDショップやAmazon等では販売しておりません)。音も聴かずにこの解説だけを読んで聴いてみようと云う奇特な方はそれ程多くないとは思いますが、もしそこで引っかかって釣れたりなんかしたら儲けもの。いらっしゃいませ。歌詞は曲解説毎に載せます。是非『猫の目ロック』を末永くお楽しみください。
ちなみに自分は作詞作曲、歌とアコースティック・ギター(PRS SE Angelus A20E、2017年お正月に武蔵小山のハードオフで買った)のみ担当です。他の楽器、アレンジ、エンジニアリング等々は須藤祐くん担当です。

小野瀬雅生ショウ Offcial Web Shop はこちらから。買ってね。

画像1

1.猫の目ロック

上がり目 下がり目
ぐるっと回って ニャンコの目

鵜の目鷹の目
人の不幸を 品定め

弱り目 祟り目
どっちを向いても がんじがらめ

エンタメ 出鱈目
現状打開だ コンニャロメ

上がり目 下がり目
ぐるっと回って ニャンコの目

麺固め 味濃いめ
脂多め 今日の締め

初夢 正夢
富士の高嶺で 鷹の爪

アイナメ アブラメ
まだまだ元気だ 舌平目

上がり目 下がり目
ぐるっと回って ニャンコの目

控え目 贔屓目
なかなか芽が出ぬ 三段目

内角高め 外角低め
チャンスだったのに 痺れ姫

悩め 苦しめ
自分を信じて 育てよカメ

上がり目 下がり目
金目銀目で ニャンコの目

上がり目 下がり目
めでためでたの ニャンコの目

小野瀬雅生解説
まずは冒頭の「上がり目、下がり目、ぐるっと回ってニャンコの目」と云うフレーズに著作権があるかどうか調べました。調べたところなかったので安心して使わせてもらいます。アマビエの商標登録を取っちゃおうなんてヤツと同じ考えはありませんのでどうぞご安心ください。ほいでもってまた虎の威を借る狐ではありませんで猫の手を借りる小野瀬雅生と須藤祐で猫多めなのをご了承願いたいと思います(注:前作は『猫町旅情』でした)。
そんなわけで「め」で終わる言葉や云い回しを集めて曲にしました。なかなかウマく選んだと自負しておりますが心残りも御座います。ちょっと気になったところをかいつまみます。
4ブロック目の「エンタメ」とは「エンターテインメント」の略語です。ご存じない方もいらっしゃるかと思って一応。
6ブロック目の「麺固め~」と云うのは横浜家系ラーメンをオーダーする時に仕上がりの好みを伝える云い回しです。でも他でも云いますよね。横浜生まれ横浜育ちなので贔屓しましたすみません。ちなみに自分は「麺固め、味薄め、脂少なめ」でオーダーします。意外に思われましょうが自分は薄味好きです。
7ブロック目の「鷹の爪」は一応その前の富士から繋がって鷹でなすびで初夢ってわけなのでして実はここは本当は姫初めと歌いたかったのですが批判を畏れて自重してしまいましたこれをあっさり歌えるちょいエロ老人を目指したいと思いますすみません。
8ブロック目のアイナメとアブラメは同じ魚の名前です。地方によって呼び名が違うのです。
10ブロック目の三段目は大相撲の力士の地位。幕下の更に下です。三段目の力士から雪駄を履くことが許されます。2020年7月の夏場所で優勝の照ノ富士関はこの三段目の下の序二段まで番付を落として、そこから這い上がっての2度目の栄冠ですよ。スゴイですよね。
11ブロック目の「痺れ姫」は長時間座ったままで動きも台詞もないお姫様の役どころを指します。シービレちゃったよー。
12ブロック目の「育てよカメ」はウルトラQ第6話のタイトルから。竜宮城に行きたいです。
ああ最初からこんなに長くなっちゃったすみません。他に判らないところがあったらググって調べてください。
キーはE。「猫町旅情」と一緒ですがハードな鳴りのEです。アレンジのあちらこちらにツェッペリン入りましたすみません。

須藤祐解説
最初は前作「猫町旅情」の様なアコースティックなアレンジをイメージしていましたが、メロディーや構成がよりシンプルな分、やはり「ロックで」とのっさんと相談して決定。ブルースハープ風のピアニカも多少歪ませ、それっぽくベンドしてみたり。実際にやってみてわかりましたが、ピアニカのベンドは息の量のコントロールだけでは可変幅が小さく、思ったイメージまで音程が下がらない。なので「息+鍵盤を下げる深さ」をコントロールすることで、楽器と吹口からの空気の圧力差を作る。思った以上にコントロールが難しいので、ライブでどこまでできるようになるか...要練習!
PIANICA : YAMAHA P-37EBK
Electric Mandrin : Aria AM200EBS
Electric Bass : Fender Jazz Bass Aerodyne

2.ニール

小さく分けて ゆっくりと
大きくしたら もう一度
左を見たら 右も見て
まっすぐ行こう 真ん中を

イヤな人には イヤなこと
スキな人には スキなこと
どっちを見ても バラバラで
それがどうにも 愛しくて

小さく分けて ゆっくりと
大きくしたら もう一度
ワタシといれば 大丈夫
アナタといれば 何度でも

小野瀬雅生解説
曲名は2020年1月に亡くなったカナダのバンドRUSHのドラマー、ニール・パート氏のファーストネームをタイトルにしました。ちなみに11曲目に「パート」と云う曲もあります。どちらも7拍子の曲です。もう活動不可能であろうRUSHのことを想いながら、そして自分がどこまで出来るのかを考えながら、この曲を作って歌いました。これからまた自分に沁みてくる曲になるかと思います。キーはA。ゲゲゲの鬼太郎に出て来る吸血鬼エリートに歌ってもらいたいような気も致します。夜叉だとちょっと怖い。Amaj7からB♭m7に移る瞬間がお気に入りです。

須藤祐解説
7拍子です。のっさんよりクラベスを入れて欲しいとリクエストがあったので、まずそれから録音。続けて、心を無にしてシェイカー、カバサ、トライアングルを。ギターのコード感を支えたかったのでエレピもダビング。ここ最近で定番となったアドリブ系のメロディ楽器、ピアニカ。当初はこれで色付けをしていこうかと思っていましたが、今回は新兵器導入。その名も「ROLI Seaboard Block」これは、あくまでも音源を演奏するためのコントローラーでシンセとしての機能は内蔵されていません。これとiOSの専用アプリ「NOISE」と組み合わせて、バイオリンっぽい音色を鳴らしています。そのうちライブでもお披露目する事になるかと思います。
Percussion : Claves, Shaker, Cabasa, Triangle
Electric Piano : Studiologic SL88 with Modartt Pianoteq
Violin : ROLI Seaboard Block with SWAM Violin

3.地獄と天国

お前から明日へ 明日からあの空へ
涙から笑顔へ 笑顔から旅人へ歌うメロディー
あやまち繰り返し
人目避けて生きた
この世に安らぎは
二度と得られない地獄だと思っていた

お前から明日へ 明日からこの町で
新しい幸せ 幸せを噛み締めて重ねるハーモニー
奴らが追ってくる
逃げも隠れもしない
闇夜を切り裂いて
二人で守り抜く天国を見つけたのさ

お前から明日へ 明日から終わりなく
いつもまでもこのまま このまま命の限り歌うメロディー

小野瀬雅生解説
昔のテレビの時代劇とかで主演の俳優さんが主題歌も良い湯加減で歌っていることが良くあったのを思い出しました。杉良太郎さんに勝新太郎さん、帰ってきたウルトラマンは団次郎さん、新しいところでは織田裕二さんも(すみませんごく最近の方は存じ上げません)歌っていらっしゃいました。ドラマもシナリオも原案もありませんが、そんなシチュエーションで歌ってみようと考えて書いた曲です。昭和のテレビドラマの良い湯加減だけは何となく再現出来たかと思います。自分の声に酒と煙草感があまりないのがちょっと残念。ゆうくんのアレンジでお殿様が入るような絢爛豪華なお風呂で歌うことが出来ました。キーはC。

須藤祐解説
「俳優が歌ってる感じで」のっさんからのそんなリクエストでイメージをふくらませ、自由にやらせてもらいました。口笛風のシンセは山下毅雄さんを意識して、他は歌謡曲定番の楽器構成。ストリングス(Vn1,Vn2,Va,Ce)、ブラス(Hrn,Tb,Tp)、WoodWinds(Fl,Cl,Ob)にピアノ、マリンバ、チューブラーベル、ベースも弾いています。他、各種パーカッション多数ありますが、この手の世界観のアレンジに忘れてはならないのが、ビブラスラップ。勝手にそう思っているだけかもしれませんが、今回のレコーディングで後述する曲の為に買ってしまいました。「かいぃぃぃぃぃん」という独特の余韻を残す打楽器。北島三郎氏の「与作」や水戸黄門の「あゝ人生に涙あり」でもおなじみ。一家に一台、ビブラスラップ、いかがでしょうか。
Strings : VSL Dimension Strings, SWAM Violin
Brass Section & WoodWinds : VSL
Electric Bass : Fender Jazz Bass Aerodyne
Vibraslap : Pearl PB-VSW
Drums(Programing) : TOONTRACK SUPERIOR DRUMMER 3

4.ヨコハマの関係

白楽駅を降りて六角橋商店街歩いてたら
偶然に昔の友達と逢ったのさ随分と久しぶり
元気だったかそうでもなかった色々あるよそれぞれの人生
この歳になるとジャッタシンの友達も結構いるんだよ

立ち話もなんだからお茶でも飲もうかそんな時間はない
お互いにやることがいっぱいで獅子てんや瀬戸わんや
生きていればまた逢えるだろうなんてそんな時代じゃないから
メールアドレスラインのID交換あとで連絡するからね

煙草はやめたんだ10年前に
あんなに大好きだったのにやめたんだ

個人的な話とヨコハマの濃密な関係
昨日どこに行ったのか全然覚えていないけど
個人的な話とヨコハマの親密な関係
2,30年前のことはやけにはっきり覚えてる

ギターは弾いてるさ相変わらずに
今でも大好きなんだから弾いてるさ

個人的な話とヨコハマの緊密な関係
昨日なにを食べたのか全然覚えていないけど
個人的な話とヨコハマの内密な関係
2,30年前のことはやけにはっきり覚えてる

小野瀬雅生解説
ラッパー小野瀬雅生としては最近あまり活動していなかったのを反省しつつ作りましたYO。何となく書いてみたらどうにも年齢的な哀愁漂う感じになりましてそれはまあそれで良いかと存じます。自分が若い頃にうだうだと過ごしていた界隈、白楽駅と六角橋商店街を登場させられたことがヨロコビです。ちなみにワタシが生まれた白楽の産婦人科(今はもうない)が神奈川区でなく、港北区の一番隅っこにあったのだと最近知ってビックリしました。えーそこ篠原西町だったんだ。ローカルネタですみませんわかりませんよね。
キーはEm。この手の曲はやはりかっちりした鳴りのEmがよろしいかと存じます。先日実際に演奏してみようと思ったら息継ぎのことを何も考慮せずに作ったので息が切れました。練習せにゃなるまい。

須藤祐解説
帰ってきたラッパー小野瀬雅生。イントロのハンドクラップのパターンが頭に流れてきたので1人多重録音、ライブの際は是非皆さんもご一緒に。その後はギターのグルーブを殺さずにドラムとベースを追加、エレピもソロをとってみたり、ラップも一緒に歌わせてもらいました。あえて残しましたが、曲中に猫の鳴き声が混じっています、よく聞いて探してみてください。YoutubeのMatsukasa-UOチャンネルでも公開していますが、当時の制作風景記録が残っています。今でもご覧になれますので、是非チャンネル登録お願いします(エレピ弾いたり、ベース弾いたり、猫撫で たり)
Electric Piano : Studiologic SL88 with Modartt Pianoteq
Electric Bass : Fender Jazz Bass Aerodyne
Drums(Programing) : TOONTRACK SUPERIOR DRUMMER 3
HandClap : My Hand

5.自分の機嫌は自分で取ろう

自分の機嫌は自分で取ろう
そんな仏頂面じゃ
周りがみんな迷惑だ
誰もあんたの機嫌など
取ってる暇など(ああんあああんあん)ありゃしない
一念発起 呵々大笑
笑顔が呼び込む福如雲
そうと決まれば話は早い
今からやりましょ 上機嫌

自分の景気は自分で上げよう
そんな顰めっ面じゃ
美味しい酒も不味くなる
誰もあんたの景気など
気にする筋合い(ああんあああんあん)ありゃしない
緊褌一番 意気揚々
人生謳歌で福寿海
そうと決まれば話は早い
今すぐ行きましょ 景気良く

小野瀬雅生解説
これはTwitterで読んだ話で、どこぞの娘さんが「自分の機嫌くらい自分で取れ」とお母さんに云われてそりゃそうだと納得したと云うのをワタシもそりゃそうだと納得しまして作りました曲です。出来たら水前寺清子さんに歌って戴きたいとワタシにしては珍しく他のシンガーを意識したりもしました。それにしてもこんなご時世ですのでこの歌が冗談でなくなってしまったのがちょっとおっかないのですがそんなに真正面からキャッチしなくても良いですよ、はい。
あと普段聞き慣れない言葉(自分も使うの初めてだったり)も色々出て参りますので簡単にご説明を。
・呵々大笑(かかたいしょう) 大声を上げて笑うこと
・福如雲(ふくじょうん) 幸運が雲の湧き出るように盛んなこと
・緊褌一番(きんこんいちばん) ふんどしをしっかりと締め、気合いを入れて物事に臨むこと
・福寿海(ふくじゅかい) 幸せをもたらす功徳の量が海のように広大であると云うこと
おめでとうございます。キーはCです。ちなみにこれRUSHネタちょっと採用しておりますが判った方はかなりのディープRUSHファンとして尊敬します。わかるかなぁ。わかんねぇだろうなぁ。ちなみにインストのあの曲です。
あとアレンジ的にはこの真面目にやってるのかふざけてやっているのか判別しにくいこの曲を、ゆうくんのリコーダーの軽くピッチが外れているところが上手いことふざけ方面に傾けてくれているのを心から感謝しています。なかなかこう云うハマリ方はせんのですよ、世の中。

須藤祐解説
「自分の機嫌は自分で取ろう」この言葉を最初に聞いた時に、ものすごく良い響きだなと。こう いう気持になれない事も多く、気持ちが沈んでしまう事も多々ありますが、常に心にとめておきたい言葉。のっさんからこの曲が出てきた日、録音中、真っ先にビブラスラップを注文してしまいました。もちろん質の良いサンプルサウンドも世の中に沢山あるのですが、ライブ中ビブラスラップを使うイメージが湧いていたので、即購入。他にはお馴染みピアニカ、そしてソプラノリコー ダー、こちらは小学生自体に使っていた当時のビンテージもの。型式は不明ですが、ヤマハのABS 樹脂モデル。決して木製の上質感などありませんが、曲のイメージにピッタリ、かつ、万能に使えるサウンド。ライブでピアニカとリコーダーを同時演奏できないかと、家でチャレンジしてみま したが、なかなか難しそう。あと、他曲でもやっていますが、ジャンベを叩きピッチを上げてボンゴ/コンガ風に使っています。PIANICA : YAMAHA P-37EBK
Soprano Recorder YAMAHA YRS(?)
Vibraslap : Pearl PB-VSW

この後は後篇に続きます。そちらもどうぞよろしくお願い致します。

末永くがんばりますのでご支援よろしくお願い致します♫