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短編

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#同時日記

おでんの怪

おでんの怪

 きん、と刺さるような寒さが江戸の街に降りそそぐ、2月の暮れのこと。

 庄吉が幼なじみの藤次郎の長屋を訪ねてきたのは、窓から差し込む夕闇が畳を赤く染め始める七つ時だった。

「おでんが人を化かすことがあるか、だぁ?」

 藤次郎はあっけに取られて、土間にのっそりと立つ相手の顔を見た。

 冗談か、と一瞬思うが、目の前の、もう齢二十五になろうかという無精髭を生やした男は、真剣な顔で自分を見つめ

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