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はじめに

2016年に書いた「Deliciousness おいしい知覚」を定期的に少しづつアップしていこうかと思います。

はじめに

建築を学び始めてからこれまで、「なぜ、何を、どうつくるのか」をずっと考え続けてきた。

ホームページ上のブログはそれをいつでも振り返られるようにと書き続けたその記録である。しかし、それらは設計の場面で使うには断片的すぎて、網羅的・総合的に利用することはなかなか出来ていない。

これまで書いてきたことを、一つのまとまりとして一望できるような言葉に置き換えたいと、長い間願い続けてきたが、ようやくそれができる予感のようなものを感じられたので、とりかかってみたいと思う。

そのヒントとガイドラインとなったのは、学生の頃に出会い、これまで何度か理解を試みてきたアフォーダンスやオートポイエーシスである。これらは設計における自分の中でのつまづき・もやもやとしたものに対して、多くのヒントを与えてくれたが、それはもやもやの原因となる、基本的な世界の捉え方を書き換えてくれたからだと思う。

その示唆するところに素直に従いつつ、自分なりにまとめてみたいと思う。以下の文章は基本的にはアフォーダンスをとりまく理論(生態学/ 生態心理学)を私なりに解釈したものをベースとしている。

これは、現在多くの人がそう信じているデカルト的心身二元論(例えば身体と脳を分け、感覚器官から受け取った刺激を脳が再構成、処理して身体に司令を送る、というような機械論)から脱却することによって新しい視点を提供するものである。

この視点は心身二元論的な理論では保留になっていた、動物が生きることについての問題に対して、より科学的に応えられるものだと感じている。生態学は現在進行形の理論で、完璧とは言えないかもしれないが、少なくとも、より実践的で可能性のあるアイデアを(また、個人的な実感に対して納得できるようなアイデアを)提供しているように思う。

ここでは、設計者の視点から「おいしい知覚」をキーワードに一つの建築論としてまとめることを試みる。

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