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ブライアン・イーノの新作をドルビーアトモスの立体音響で聴いた。

 10月14日発売のブライアン・イーノの新作「FOREVERANDEVERNOMORE」は、17年ぶりのヴォーカル・アルバムということで話題を呼んでますが、ドルビーアトモスの立体音響で鳴らすことを最初から意識して制作した作品ということでも注目です。通常のCDやアナログのほかに海外ではアトモス音声を収録したBlu-rayオーディオ盤でも出るわけですが、そのアトモス版を日本盤発売元のユニバーサルミュージックのドルビーアトモス・スタジオで試聴してきました。ジェネレックのスピーカーを前後左右天井に15個設置した完璧なアトモス環境で聞いたイーノはとてつもなく美しく、エモかった! レビューのため通常の2チャンネルステレオ版では既に聴いていたんですが、はるかにエモーショナル&サイケデリック。アトモスのマジカルな音場表現はヤバいの一言でした。2チャンネルで作ったやつをドルビーアトモスにミックスし直してるんじゃなく、アトモスがデフォルトのフォーマットだから、説得力が違うし、本当の意味でこの作品を理解するにはアトモス体験は必須、とも言える。

 Apple Musicの空間オーディオでもそれらしい音は聴けるようですが、立ち会ったエンジニアの人の話によればいいとこ半分ぐらいの再現率らしいので、やはり完璧な再現はドルビーアトモス環境で体験するしかない。いわゆるドルビー・サラウンド等の5.1チャンネル・マルチ・チャンネル・ソフトはDVDやSACDの時代からありましたが、ドルビー・アトモスの最大の特徴は前後左右に加え上下の概念が加わったこと。つまり天井にスピーカーを設置して、上から音が降ったり右下から左上に音源が移動する、なんてことができるわけです。私が聴けたのはアルバム中の5曲だけでしたが、その効果は絶大でした。

 しかしマルチチャンネルはことポップ・ミュージックのジャンルではすっかり廃れてしまいました。ビョークなど一時はこのあたりの新しいメディア展開にはずいぶん熱心で、マルチ・チャンネルのアルバムもたくさん出していましたが、最近出た新作などマルチチャンネルどころかハイレゾデータすらもリリースしていない。いわゆる空間オーディオへの関心は一部で高まっているようですが、それもApple Music止まりで今回のイーノのように作曲から音源制作に至るすべてのプロセスをドルビーアトモスを想定して行われるケースはまだ稀でしょう。もちろん映画の世界ではドルビー・アトモスは当たり前の音声規格として定着してますが、最近では自宅のプライベート・スタジオでアトモス制作環境を整えるミュージシャンも増えているようで、今回のイーノをきっかけにこういう作品も増えるかもしれません。

 ウチの家も一応なんちゃってアトモス環境はあるんですが、天井にスピーカーを設置できないのでプア&不完全すぎて残念ながらこの日味わったようなマジカルな体験は無理だと思います。一応海外盤Blu-rayは予約しましたけどね。

 しかし日本のエンドユーザーで自宅にアトモス環境を整えているのは、おそらく音楽ファンやオーディオファンというより映画ファン、ホームシアターのファンでしょう。そういう人たちにイーノの音楽が届くかわかりませんが、もし機会があればアトモス版をぜひ聴いてみてください。面白いですよ。

 私が今作のBlu-rayを予約したショップを記しておきます。まだ届いてませんが。日本のユニバーサル・ミュージックが輸入盤という形で扱うそうなので、いずれタワーレコード等でも入手できると思います。


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