[日々鑑賞した映画の感想を書く]「少年の君」(2019年 デレク・ツァン監督) (2021/9/10記)

 評判に違わぬ傑作。貧しいけど健気に頑張る優等生の少女と心優しい不良少年の物語…というと、古今東西ジャンルを問わず死ぬほど類似作品がある定番モノだけど、そこにいじめとか受験戦争とか階級格差とか、そういう現代的なテーマを絡めることで、シリアスで緊張度の高い作品を構築している。中国が舞台だけど、日本でも通じる話。

主役のふたり、特に主人公の女子高生を演じた女優さんは凄いの一言で(本国では国民的人気女優らしいが、私は知らなかった)、彼女の表情や仕草のひとつひとつに目を離せない魅力…というか迫力がある。日本でこの役をやれるとすれば、若い頃の満島ひかりかな…

なんかお話が東野圭吾っぽいな、と思っていたら本国では盗作疑惑で騒ぎになったとか。でもそんなことが全くマイナスになってないのは、俳優の頑張りと、脚本と演出が恐ろしく巧みだから。欠点もあるけど、それ以上に作り手の気迫を感じた。間違いなく今年を代表する作品になるでしょう。(2021/9/10記)

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