[日々鑑賞した映画の感想を書く]『セックス・ピストルズ』(2022 ダニー・ボイル監督)(2022/7/16記)

 見ましたよセックス・ピストルズのドラマ。ディズニー・プラスにて鑑賞。監督は「トレイン・スポッティング」のダニー・ボイル。大変に面白かったです。

 一応史実に忠実に、でもドラマだからところどころフィクションも交えて、当時の実写フィルムも適宜挿入して、この稀代のお騒がせバンドを描く。原作がスティーヴ・ジョーンズの自伝なので、主役がスティーヴというのがキモ。ジョニー・ロットンが主役じゃないから、良い意味で客観的で俯瞰した、そして肩から力が抜けたドラマになってる。ダニー・ボイルはピストルズと同世代なので、あの時代の空気感をよく捉えて再現しているし、ドラマとしてもよくできている。とにかく連中をとことんクズの底辺の最低野郎として描いていて、だからこそ英国の社会も文化も根こそぎひっくり返す革命を起こせたのだ、というのがよくわかる。汚くてせこくて悪くて情けなくて、全然美化してないのが良い。シド&ナンシーのくだりも、最低なんだけど泣かせるところもある。あの時代のファッションの感じもよくわかる。そして、本当の意味でパンクだったのはピストルズだけだった、ということも。

 メンバーはもちろん、マルコム・マクラレン、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ナンシー・スパンゲン、クリッシー・ハインド、スージー・スー、リチャード・ブランソンなど、英初期パンク史を形成した重要人物たちが特に注釈もなくどんどん登場するので面白い。特にクリッシー・ハインドはかなり重要な役で登場する。確認してないがクリッシーの自伝も参考にして脚本を書いてるはず。ピストルズの興亡譚だが、スティーヴとクリッシーのラブストーリーでもある。ダニー・ボイル流のけれん味たっぷりの演出も楽しい。

 全6回。一度見始めると止まらないので注意。(2022/7/16記)


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