ハヤシヒロユキ(POLYSICS)インタビュー 

 POLYSICSのリーダー、ハヤシヒロユキの最新インタビューをお届けする。

 POLYSICSは先日、結成25周年記念となる全国25箇所を回るツアーが終わったばかりだ。3月3日の渋谷クアトロ公演は25周年ツアーのファイナル、翌3月4日は26周年突入最初のライヴという名目で2デイズを行い、めでたくツアーを終えたのである。私は3/4公演に赴き、いつに変わらぬPOLYSICSの元気な姿を確認したのだが、気になるところもあった。

 ショウが始まりしばらくしてハヤシがMCで「これからはちょっとイメージを変えなきゃいけないと思っている、もう少し落ち着きたい」という意味のことを言い出した。観客はすかさず「えー!」と抗議の意志を示した。私はハヤシのその一言はほんのジョークだと感じたし、おそらく観客の大半もそう思ったはずだ。だが「えー!」という抗議を受けたハヤシは、なんだか戸惑ったような表情で口ごもり、そのまま演奏に突入。ショウの終わり近くになって「やっぱり落ち着くなんて無理だよね、アハハ」と冗談めかして言ったものの、会場はなんとも微妙な空気に包まれたのだった。終演後、楽屋に挨拶に赴き、ハヤシ本人やマネージャー氏と話したが、どうも「落ち着きたい」という一言はまんざら冗談ではなく、ハヤシなりに思うところがあっての切実な言葉だったことがわかってきた。私はあの観客の反応を見て「こりゃポリは今の路線のまま、とことんまで行くしかないな、こんな熱い期待を裏切れないな」と感じたしハヤシ本人にもそう言ってしまったが、それは無責任な受け手の立場だからこそ言えることなのだった。

 私とPOLYSICS/ハヤシヒロユキの付き合いはそれなりに古い。『1st P』リリース時に所属事務所UKプロジェクト旧社屋2階の狭い小部屋でインタビューして以来、アルバムやシングルが出るごとに必ずインタビューしてきたし、海外ツアーも含め節目のライヴはすべて見てきた。結成10周年、15周年、20周年の時も全部取材している。いつだってハヤシは明るく元気で前向きで、本当に楽しそうにPOLYSICSのことを、自分の音楽のことを、自分の好きな音楽のことを語っていた。人間だから悩んだり落ち込んだりすることもあっただろうが、決してそんな態度はおくびにも出さず、ウエットな感情や迷いや悩みなど絶対に作品やライヴに出すことなく、徹底的に乾いたテクノ・ポップ〜ニュー・ウエイヴをやり続けてきた。だがここに来てハヤシは、POLYSICSはひとつの大きな転機を迎えているようだ。

 POLYSICSはツアーを終え、現在は充電期間中である。プロモーションするようなリリースや大きなライヴの予定も公になっておらず、本来ならばインタビューに応じるようなタイミングではない。だが3/4のライヴのあの出来事が喉にひっかかった小骨のように気になって仕方なかった私は、あえてハヤシにインタビューを申し込んだ。もちろんバンドの現状やハヤシの心情も含め率直に話してほしい、と取材の趣旨を伝えてのオファーだ。長年取材し、見続けてきたアーティストが悩み苦しんでいる。そうした状況を黙って見過ごすことはできなかった。ファンにも彼が今どういう心境でいるのか知ってほしいと思った。

 ハヤシは快く取材に応じてくれた。以下がそのやりとりである。会話は2時間以上にも及び、なかには公表できないような裏事情などもあり、すべてを掲載するわけにはいかなかったが、それでも現在ハヤシの心情やバンドの現状などをすべて包み隠さず喋ってくれた。写真もなし、テキストのみで16000字以上という長い記事だが、最後までじっくり読んでいただきたい。

 私はハヤシが現在の苦境(と言っていいだろう)をなんとか克服してくれると信じているし、彼の才能や人を惹きつけ愛されるキャラクター、そしてバンドメンバーやスタッフなどの助けがあれば、また元気と自信と勢いを取り戻してくれると思っている。こうした経験が、彼を一回りも二回りも大きくしてくれるはずだし、またファンの前に姿を表す時は、すべてを吹っ切って一皮も二皮も剥けた新生POLYSICSを見せてくれるはずである。(小野島)

ライヴの動員は落ちている。CDの売り上げも下がってる。何かを変えなきゃいけないと思った

ーーハヤシ君にインタビューするのは20周年の『That's Fantastic!』の時以来です。

ハヤシ:え、もうそんなに経ちますっけ。

ーーちょうどナカムラリョウさんが加入して最初のアルバムでした。

ハヤシ:あぁ、そうかー。そんな、5年も。

ーーハヤシ君には『1st P』(1999年)の時からずっとインタビューさせてもらって。10周年とか15周年とか20周年とか、節目にはだいたいインタビューしている。だから25周年もやらなきゃダメだろうということで(笑)、無理を言ってこういう機会を貰いました。

ハヤシ:ありがとうございます。

ーーどうですか、25周年を終えて26年目に突入した今の気持ちというのは。

ハヤシ:まずは25周年ツアーを無事終えられて良かったなと。25本を1年かけて周る。しかも毎回必ず新曲を演奏する、というテーマで。ゆっくりペースではあるけど、このご時世なんでいつ中止になるか、自分もコロナになっちゃうかもしれないし、そういうところですごい気を張っていたから。たぶんメンバーもみんなそうだと思うし。どこも中止にならずにできたのはやっぱり嬉しかった。

ーーそうですね。

ハヤシ:で、3月3日と4日に25周年のファイナルと26周年最初のライヴを続けてやってーーまぁ、実質クアトロ2DAYSなんだけど、ただの2デイズじゃなく違うものにしたかったし、それはできたなと思っていて。そういう意味ではホッとしました。ただ26周年ライヴでは、正直もうちょっとできたんじゃないか、自分の中ではまだまだだなぁと思う部分もあって。“おめでとう、ワー!”みたいな感じにはなれず、もやもやした気持ちで数日間過ごしていたかな。

ーーそれはなぜですか?

ハヤシ:26周年ライブに向けてメンバーともスタッフとも話して、イメージしてきたものがあったんだけど。イメージしてきたもの、やろうと思ったことを遂行しようとすると、何かこう、殻にとどまっちゃうというか。ちょっと面白みに欠けるというか。ただ決まったことをやっていく、みたいになっちゃうとつまんないんだよなぁ俺、っていうのは自分でもわかっているんだけど。若干そういう風になっちゃったかなぁ。

ーー決まったことをやっちゃうっていうのは、自分なりのPOLYSICSの型みたいなのがある程度決まっていて、そこから抜け出せないみたいな……

ハヤシ:いや、それは音楽のスタイルとか、演奏の話とかじゃなくて、ライヴの形式の話です。小野島さんが観てくれた日(3/4)は曲ごとのブロック分けをこまめにして、MCも多めで。いつもは5曲くらいドドドってやって休んで、また5曲くらいドドドってやって休んで、最後、大爆発!みたいなライヴですけど、そういうのを変えたかったんですよ。

ーーふむ。それはなぜ?

ハヤシ:同じことをずっと…POLYSICSのライヴのフォーマットみたいなものをずっと変えずに25年間やってきたわけで。でも実際のところ、ここ10年くらい、お客さんの動員が落ちてきている。CDの売れ方…なんて、今はもう全然参考にならないけど、それも全体的に下がって、落ちているのは目に見えてわかっているから。ここで何かを変えようっていうところで、みんなとも話していたし。変えたいっていう自分もいたし。

ーーショウのやり方みたいなものが決まりきっていて、それがちょっと飽きられているみたいな状況を感じていた。

ハヤシ:まさにそうです。例えばMCの煽りとかですよね。良かった時のライヴの煽りみたいなものを自分は引きずっていたという感じで。

ーーいいイメージでずっと来ていたものをあえて変える必要はないと思っていた。

ハヤシ:うん。でもやっぱり現実を見ると、そういうところから変えていかないとなぁ、と。

ーーあの時のMCで、「そろそろちょっとイメージを変えなきゃいけないと思っている、落ち着きたい」みたいなことを言っていたけど。

ハヤシ:言いましたね。

ーーそうしたらお客さんが「えー!?」ってなって。

ハヤシ:あの「えー!?」は、びっくりした(笑)。

ーーその後は何を言っても「えー?!」って(笑)。

ハヤシ:人生をやり直したいなってちょっと思った、そこで(笑)。

ーーいきなりああいうことを言い出して…最初は冗談のつもりなのかなって思って、お客さんもそう思ったと思うんだけど、そのあとの様子も見ると、どうもまんざら冗談でもないのかなと。

ハヤシ:(笑)いやいや。あれは半分冗談のつもりであって。結局、あのライヴのセットの後半は立て続けに押しまくる、いわゆるPOLYSICSの鉄板なスタイルでやったじゃないですか。「落ち着きたい」と言ったけど結局落ち着くことは無理だった、っていう流れにしたかったんだけど、なんか(会場が)しんみりしちゃったなぁ、みたいなのがあって。

ーーあの発言ってショウの流れの話だけじゃなくて、バンドの根本的なあり方とか振る舞いとか音楽性にかかわるものとしてお客さんが受け取った可能性もある。それで想定したよりも客席が沈んじゃったんじゃないか。

ハヤシ:そうなんですかねえ。ウーン……。

ーーお客さんは大好きなポリには変わって欲しくない。でも実際ライヴの動員は落ちている。だから変えたいっていう意思がハヤシ君にあって、そういうショウをやろうと思ったことは確かなわけですよね。

ハヤシ:うん。

ーー自分が今までやってきたことが…だんだん今の時代にそぐわなくなってきたみたいな、そういう実感はあったんでしょうか。

ハヤシ:うーん、もともとそういう、時代に合う合わないみたいなことを考えずにやってきたんですよね。結成の時からなんだけど。ただ、同じことを続けていて飽きられているんじゃないか、っていうことの方が大きいかな。

「落ち着いたハヤシヒロユキは全然面白くない」と自分でも思うよ(笑)

ーーハヤシくんはポリでやっていることが自分のやりたいことのすべてで、自分のやりたいことはそれ以外にはない、って常々言ってきたじゃないですか。それは変わらないわけですか?

ハヤシ:そう、ですね。うん、それは変わらず。やりたいことというか、表現したいことはそうですね。

ーー自分がソロを作っても結局ポリと一緒になっちゃうから、やっても意味がない、みたいなことを前に言ってましたよね。

ハヤシ:はい。でもそこは若干変わってはきているかな。というのは、まだ全然イメージしていないけど、例えばソロをやるとしたらもうちょっと自分にとってのプリミティヴなものというか…POLYSICSとは違った自分にとっての電子音の気持ちいい部分を追求したものになるのかなと。ヤノとかフミとかの、メンバーが存在しないもの。そういうソロはあるかもしれないですよね。

ーーバンドじゃないっていう。

ハヤシ:そうそう。で、多分インストでやると思うんですよね、やるとしたら。

ーーよりマニアックになる。

ハヤシ:そうそう。完全に趣味。10分くらいシンセのセッション、みたいな(笑)、そっちの方のソロ。やるんだったらそっちかなっていうのはあるけど。POLYSICSじゃないっていうのはもっと例えば、ウエットなメロディとかね、そういうのは全然関心ないけど。

ーーバンドのヴォーカルが弾き語りのツアーをやるとか、コロナ以降、めちゃくちゃよくあるじゃないですか。

ハヤシ:ありますね。

ーーでもハヤシ君がそれをやるとは思えない。

ハヤシ:そうですね、そういうのが全くないんですよね、自分の中には。

ーーそこはもう、昔から見事に一貫しているから素晴らしいと思う。そういう一貫しているところが好きだからお客さんは今もライヴに来てくれるわけじゃない? だからそこは変に変えてほしくないなっていうのは、多分あそこに来ていたお客さんはみんなそう思っていたんじゃないか。

ハヤシ:うんうんうん。

ーーでもそのお客さん自体が少し減ってきているのだとしたら、減っているけど未だについてきてくれている人たちに向けて一生懸命やるか、それとも違うところに目を向けて、違うところからお客さんを引っ張ってくるようなことを考えるか。1つの選択だと思うんですけど。

ハヤシ:はいはい。それは毎回思っていることで。毎回来てくれるお客さんがちょっと前までは600とか700とかいたんですよ。ここにいる人はみんな本当にポリが好きな人だ、みたいな。でもそれが減っている現状みたいなものは認めざるを得ない。だからその人(未だについてきてくれている人)を喜ばせるようなものを、とはやっぱり考えてはいますけどね。でも自分がそんなに器用じゃないっていうのもわかっているし。

ーー何をすればいいのか、ショウの進め方を変えるっていうのが一つのやり方だったんだろうけど。

ハヤシ:うん。

ーーそれ以外にやり方があるとすれば何でしょうか。

ハヤシ:何があるんでしょうね……今の質問の答えになっているかはわからないんですけど、自分にとってのやりたい音楽のスタイルとか、かっこいいものっていうのは多分変わらないと思うんですよ。「落ち着きたい」って言ったけど、それは「落ち着いたライヴの進行」であって、「落ち着いたハヤシヒロユキ」は全然面白くないんじゃないかって自分で思うわけ(笑)。昔のライヴ映像とか見ると、なんだろうなこの人、みたいにちょっと思っちゃったりするわけよ(笑)。すごいテンションだな、みたいな(笑)。

ーーそれこそがPOLYSICSだってみんな思ってるよね。

ハヤシ:さすがに2003年ごろと今は、当たり前だけどライヴのやり方とか歌い方も変わってきている。あの時は30分一本勝負、みたいな。1時間半でも全速力みたいな。さすがにそういうライヴは今はしたくないっていうのはある。ただ自分が音に対してテンションが上がっちゃう感じとか制御できない感じとかね。そこは変わらないと思うんですよね。

ーーでしょうね。ただ20年前と比べて自分のライヴが知らず知らずのうちにだんだん変わってきている、と。

ハヤシ:うんうんうん。

ーーただそれはお客さんには気づかれにくい変化かもしれない。私もそんな変わったという印象はないし。

ハヤシ:うーん、かもしれないですねえ。

ーーそれは20年経って年を取ったからそうなったのか、自分自身も少しずつ変わってきたのか、どちらなんでしょうか。

ハヤシ:そこはねえ、やっぱ年なのかなあ。ライヴ、ツアー中に喉を壊すことが多くなったし。これはさすがに良くないなぁ、と。歌い方を変えてみるのを現場で試して、掴んできたやり方とか。あとはギターの弾き方もね。昔はギターをボーンって投げたりしちゃったけど(笑)、良い音を出すにはどうすればいいか考えるようになった。ちょっとピッキングを変えてみたりとか、プレイスタイルを変えたりとか。そういう、ちょこちょこした積み重ねとか、ですかね。

ーーお客さんから見た印象を変えたくないから自分の弾き方とか歌い方みたいなのを工夫している、という感じに近いんでしょうか。

ハヤシ:うーん、多少あるのかもしれないですね。POLYSICSのハヤシヒロユキとしてクオリティを下げたモノを見せたくないって思いはもちろんあるから。具体的に何年って言えないですけど、いつしかそういうものにはなっていましたね。

ーー昔のような調子でガーって突っ走っていると、体力的にきついものがある。後半は息切れしちゃうなと。そんな感じがあって、そうしないために色々な工夫をして、言ってみればPOLYSICSとしてのイメージを保つための努力みたいなものはやってきた、という。

ハヤシ:そうですね、それこそ、ジョギングとか、そういう小さいところから(笑)

ーーハヤシヒロユキがジョギング!(笑)

ハヤシ:(笑)僕、結構やっていましたよ。武道館決まった時くらいから。昔はね、「なんだよ、ロックじゃねぇな!」とか、そういうのをやるのは大友康平くらいだろう!って勝手に思ってたんだけど(笑)。今や自分もバリバリやってます、という(笑)。

新たな代表曲ができてない

ーーなるほど。そうやって人知れず努力をしながらPOLYSICSらしいライヴを続けるために頑張っているわけなんだけど。

ハヤシ:うんうん。

ーー酷なことを訊くようだけど、にも拘らず動員が減ってきているのは、飽きられているということがあって…どういうところが飽きられちゃったんでしょう?

ハヤシ:まぁ…毎回、ライヴの印象が変わらない、みたいなところはあるのかなぁと。あと……今回25周年ツアーをやるにあたって、いわゆる新旧織り交ぜのベスト選曲のセットリストみたいなものを考えるんですよね。そこで新たな代表曲ができていないなぁって気づいて。これはまずいなって。特に2018年以降、20周年あたりから。

ーー新たな代表曲がないからライヴでやる時は昔の曲が多くなる。

ハヤシ:そうそう。周年ライヴだから昔の曲が多くなるのは良いんですけど…にしても、ちょっと焦るというか。

ーーそれは単に代表曲となるような曲が書けないでいるのか、何か別の要因があるのか。

ハヤシ:2019年まではコンスタントな曲のリリースもあったし、新たな代表曲と思って作る曲もあったし、ライヴで自分でも推すんだけど、なかなか………あれってね、自分の思い以上に、いろんな現象が相まって代表曲って育っていくものじゃないですか。お客さんの盛り上がりだったりとかライヴの一体感とか。そこまで行かなかったんだなーって思って。

ーー20周年の時のインタビューで話題になったのは、アフロビートっぽい感じの曲とかがあって。

ハヤシ:うんうん。

ーーあれがすごい新鮮で。あれが新たなPOLYSICSのシグネチャーみたいになっていくんじゃないかっていう話をしたと思うんですけど。

ハヤシ:あれもねえ。あの時は「ですよね」なんて言っていたんだけど、結局自分はアフロビートにそんなに詳しいわけじゃないし。トーキング・ヘッズは好きだし、フェラ・クティも良かったけど……結局DEVOくらいですよね、自分の血が入れ替わるくらいの衝撃は。(アフロビートに)それはなかったですし。もちろんそんな音楽ばっかりに出会うことはないんですけどね。やっぱりその時その時の新鮮な思いが強かっただけで、本当にのめり込む、ドはまりする……それこそ、アフロビートに出会ったディヴィッド・バーンみたいにはならなかった。

ーーあの時、ナカムラさんが入ったことによってバンドに新たな刺激が加わって、凄く活性化したっていう話をしたでしょ。

ハヤシ:はいはい。

ーーそれはおそらく本当にそうだったと思うんだけど。その後ナカムラさんが抜けちゃって。で、後釜を補充するわけでもなく3人で続けてるわけですが。

ハヤシ:自分が思っている以上に、新メンバーを入れるってことが大変だったなぁっていうのが正直あって。結成20年のバンドに新しい血を入れるっていうことの大変さ。割とそこは、気合論で何とかなるって自分は思ったりしたんですけど、うまく行かなかったかなぁ。あと、彼に求める部分と、彼のやりたいことが、あまりうまく合致しなかった。俺も彼をもっとうまく使いこなせればよかったんだけど、割とそこも難しかったかなぁ。

ーー新しいものを、新しい血を取り入れようとしたけど、うまく行かなくて。

ハヤシ:そうです。それで3人に戻って。だからってマイナスワンでやるわけじゃなくて。3人用にまた過去の曲も整理してシーケンスも多少変えたりして。2011年に3人になった時とはちょっと変えたんですよね。2011年はカヨが抜けて…手弾きキーボードがなくなって、その代わりにシーケンサーが入った、みたいな。メンバーの一人に電子音が加わった、みたいなイメージ。でも今の3人になってからは電子音の部分をどんどん減らしていって。足りない部分を色んなシーケンサーで埋めていた部分を、それすらやめたらすごいスッキリして。これはこれでいいな、みたいな。

ーー4人になった時と、3人に戻った時と、動員とか、そこら辺はどういう変化があったのでしょうか?

ハヤシ:それはねー、ちょっとわかんないんですよね。ちょうどコロナ禍になったから。でも、客の盛り上がり方としてはそんなに変わらなかったですよ。ライブの景色とか、やっている感じは、4人から3人になったところでそんなに変わらない。

新曲を出してないから、出会う機会がない。ライヴでやるところまで行くけど、リリースするほど仕上げられない。調子が上がってこない

ーーなるほど。古くからずっときている熱心なお客さんはもちろん多いけど、新しいファンがついてきてる実感はありますか。

ハヤシ:ん-、ちょこちょこ、はあるけど、新しい、例えば若い層が大きく増えてる印象っていうのは、ないかな。

ーーそれはやっぱり、さっき言っていた新たな代表曲が作れていないっていうことにもつながってくるんですかね。

ハヤシ:それはね、感じていますね。うん。例えば今ならサブスクとか、色んな出会いがあるわけじゃないですか。そこにアピールはできてないなぁ。新曲自体がリリースできていないから、出会う機会も減ってる。

ーー確かに最近、新曲のリリースがないっていう状況が続いてますね。

ハヤシ:一応ライブでやっている新曲はあるんですけど、それがリリースまでいっていないのは……まぁ色んな理由があるんですけどね。今回のツアーも毎回1曲新曲をやるっていうテーマを設けてたんですけど、それをリリースするまで仕上げられていないっていうのが正直なところかもしれないですね。

ーーふむ。

ハヤシ:コロナ禍になってまず何をしたかっていうと、曲を作っていたんですよね。でもそんなにうまく曲ができなかった。世の中のムードにあって、自分も落ちてっちゃったのもあって。

ーーまぁあの自粛ムードの中でポリみたいなテンションを上げる曲を作るのは、なかなかシンドいかもしれないですね。

ハヤシ:そうです、だから暗い曲しかできなくて(笑)。自分はそんなに暗いとは思わなくて、でもみんなに聞かせたら、なんか暗いね、みたいになって。そうなのかぁみたいな。そのあと、時間もあったので色々やったことないことにトライして。それでまた曲を作ってスタジオに入ったりもしたんですけど、やっぱりあまりうまくいかなくて。でもこういう状況になって、別に自分だけが不幸になったわけじゃない。そう、唱えるように自分に言いきかせて。自分で士気を高めるようにして。時間はいっぱいあったので。何とかしなきゃ、って思っていたんですよね。割とコロナ禍でもライヴはちょこちょこやれていて。出来上がった新曲は、リリースまでは至らなくてもライヴの中では試していきたいっていう時期ではあって。要はその過程で自分の調子を上げたかったんですよね。

ーーはい。

ハヤシ:毎回新曲をやるって決めた理由はそれで。そこでこう、鬱々としている自分のこの感じから抜け出したくて。で、新曲を試しつつやってきたんだけど、でもこう、自分でもやっていてわかるんですけど、周りのメンバーをまだ動かせてないなっていう感じがあって(苦笑)。なんかあるんですよね。そういう感じがね。

ーーそれはどういう?

ハヤシ:もっと行けるっしょ、ハヤシもっと行けるっしょ、みたいな(笑)。その感じをもう、ムンムンと感じて、みんなから。自分も、そうだなっていう感じがあって。この状況を変えるのは自分しかない。それで、2021年の10月くらいかなぁ。本当にもう、ここまで落ち込んだんだからここから頑張ろう!って思って「Cosmic Yodel」って新曲だったり、25周年ツアーでは1曲目にやっていた「D.B Bop」っていう曲ができて。そうしたら「お!」ってみんなからすぐ連絡があって。良いね、良いね、って来てくれて。やっと来た!みたいな。

ーーうんうん。

ハヤシ:もちろん完璧に調子が戻ったわけじゃない。でもやっとアクションを起こせたなって思って。

ーーそれをまとめて音源にして出そうっていう気はなかったんですか?

ハヤシ:……そこなんですよね。

ーー今は配信があるから前ほどリリースに対してハードルって高くないじゃないですか。

ハヤシ:そうなんですよね、うん。なんか、その感じがこう……やっぱりまだ自分が本調子じゃないのかなぁと。これをまとめてリリースしようよ!みたいな、そういうみんなを動かすパワーみたいなものが、やっぱりないんだよなぁ。

ーーそれは何が必要なんですか?

ハヤシ:うーん。なんでしょうね…うん。この調子が上がってないのはなんでなんだろうってすごい思うんですよね、自分でも。

ーーそれはライヴの動員が減り続けてる現状とか、バンドの将来に対する不安とか、そういうものだったりするんですか?

ハヤシ:バンドの将来への不安は、ずっとあります。実際に新しいことをやったところで、結果どうだったんだろうって思うし。まだまだ下がっていく一方なのはわかっているから、何かを変えたいって思いながらも……うん。何かこう……そんなの大丈夫だよ!って自分の中で言える確固たるものがないのは、なんでなんだろうなってずっと思うんですよね。

ーーうーん……。

ハヤシ:で、新曲にしてもリリースするまでいけてない。曲が仕上がっていないし。25周年ツアー中に調子が上がっていったら良いなぁと思ってたんですけど、なかなかそういう風にはならなかった。

ーーならなかったですか。

ハヤシ:もちろん、5年ぶり6年ぶりとかに行ける町では、凄い待っていてくれた感を強く感じたし、ライヴはどこも良い感じでやれていたので、25周年っぽいライヴでお客さんを楽しませることはできたという達成感はあるんですけど。でも実際そんなに動員が良かったわけではなかったし。

ーーそうなると、今も来てくれているお客さんを喜ばせることももちろん大事なんだけど、離れていくお客さんとか、もしかしたらまだ見ぬ未知のお客さんを新たに呼び込む作業が一番大事になって行くんでしょうね。現状を打破するためには。

ハヤシ:うんうん、そうですね。離れたお客さんをっていうのは確かにね。

ーーそのためにはやっぱり、新曲を出すとか、常に新譜を出す方が、バンドが動いている感じってやっぱり伝わるじゃないですか。

ハヤシ:はいはい。

ーーいま、ハヤシヒロユキが何を考えているのかって言うこともバッと伝わるし。

ハヤシ:うんうん。

ーー曲が仕上がらないから出せないっていうのはもちろんその通りなんだろうけど、それまでは逆に、締切を先に決めちゃって、そこまでに何としても曲を仕上げるっていうことをずっとやってきたわけじゃないですか。

ハヤシ:そうですね、確かに。コンスタントにリリースできたのは締め切りがあったから、っていうのは確かに、言われてみればそうですよね。ツアーもあって、いろんなスケジュールが先に決まってて、それに向けていろんなことが動いていって。

ーーそれでクリエイティヴなマインドみたいなものが刺激されていく、そういう良い循環ができていた。

ハヤシ:そうですよね。まさに。それが一旦コロナでなくなって。そこから、自分でそういう循環を作れなくなった。それなのかもしれないですよね。新曲を作ることでバンドが動いている感じ。まさにそうですよね。そこができてない、今までとは違う流れに自分が戸惑っていたかもしれないですよね。

ーー例えばPOLYSICSの内部で、フミちゃんとかヤノくんが曲を書いてくることはないんですか。

ハヤシ:ないですね。

ーーハヤシ君から出てくるものをみんなで形にしていくっていう。

ハヤシ:それがPOLYSICSなんじゃないか、みたいなのはありますね。例えば僕が作った曲にフミが加わってさらに良いものになるっていうのはあるんですけど、ゼロからイチを作るのはハヤシ、っていうのはやっぱり期待されている感があります。

ーーあぁ。今までいろんな人に取材してきて思うことがあって。バンドだけやってると煮詰まることも多くなる。バンド以外のアウトプットを持つことでラクになって、バンドにもいい影響が出る、ということがあるみたいで。

ハヤシ:うんうん。

ーーハヤシ君の活動は今、全部POLYSICSに集中しちゃっているわけだけど、そこから違うアウトプットを持つっていうのも選択肢としてはありなんじゃないかなっていう。

ハヤシ:うーん。

ーーだからさっき、コロナの間に作った曲がみんな暗い曲だったっていう話もあったけど、逆を言えば、暗いハヤシヒロユキを突き詰めたらもしかしたらメチャクチャ面白いものができるのかもしれないし、バンドにも新しい局面が開けるかもしれない。それで、もしかしたら新しいファンがつくかもしれない。

ハヤシ:あぁ…そうですねえ。今ちょっと話を聞いて思っていたのは、コロナ禍で最初の頃に作った曲はPOLYSICSとは直結しないけどむしろ、今日の取材の最初の方に言ったような、自分がソロをやるならみたいな、もっと個人的なものには直結していたと思うんです。そういうアウトプットができるのであれば…ちょっと世の中に吐き出してみたいなっていうのはありますね。

自分の中でこれはダメ、これはPOLYSICSっぽくない、みたいなのを決めちゃってるところはけっこうある

ーーメンバー3人ともポリに集中しすぎじゃないか、とは感じていて。別の発散する回路を持てばもうちょっと楽になれるし、バンドにいい影響もあるんじゃないか。ハヤシ君もDOPING PANDAのフルカワユタカさんと一緒にやったり、ドレスコーズに参加したり、色んな人とやっていたでしょ。

ハヤシ:やっていましたね。特にドレスコーズは相当刺激を受けました。セッションで曲を作る、他人の現場で、みたいな。相当大変だったけど、今振り返ると楽しかったです。

ーー自分がすべてコントロールするんじゃなく、他人から求められることをやる。それによって自分の新たな可能性が広がる。頼んでくる人は、ハヤシ君ならそれができると思ってオファーしてくるわけで。それは自分の新しい可能性がその人によって開かれたということだから。それがまた新たな刺激になっていって、もしかしたら新たなポリの局面が開かれるかもしれないし。

ハヤシ:うんうん。それね。もちろんやってみたいけど。そういうのがあったらね、もちろんやりたいし、やった方が良いと自分でも思うし。

ーー25年やってきて知らず知らずのうちに決まってきているポリの「枠」みたいな部分ってあると思うんですよ。いろんな新たな刺激を受けることでその枠を全部取っ払うことができたらどうなるのか、ちょっと興味深い部分ではあります。

ハヤシ:うんうん、それね。そういう何かね、自分の中でこれはダメ、これはPOLYSICSっぽくない、みたいなのを決めちゃってるところは多少あって。多少じゃないな、けっこうあるな。そこでこう、その中でも新しいものとか、良いものみたいな……良いものっていうのは良い歌詞、良いメロディとかではない、POLYSICSの良いもの。一聴してこう…ゾクゾクするような「なんだろうこれ?」みたいな刺激や引っかかりがあって、でもちゃんと愛嬌がある、みたいな。そういうPOLYSICSのワクワクするポイントみたいなものはあって。そことどう折り合いをつけていくか、みたいなことを考えちゃうんですよね。

ーーPOLYSICSをやっていくにあたって、これは最低限守らないといけないっていうポイントって何ですか?

ハヤシ:あぁ。今思うのは、曲がパッと始まった時にこう、一聴してポリだとわかるものっていうか。それは電子音、シーケンスの部分だと思うんですけどね。それから声とか。他のものにない、自分たちらしさみたいなものといえば、その電子音と声は大きいですけどね。声と言っても「音としての声」なんですけどね。そこがまずないといけない。

ーーなるほど。

ハヤシ:あとは、世の中たくさん色んな曲がある中でも、やっぱり似たようなものを作りたくないなっていうのはあって。

ーーそれは当然、ね。

ハヤシ:そこはやっぱり大事にしていたいかなっていうのはあるかな。ただ結構自分の中で、これをやったらPOLYSICSっぽくないなあっていうのは決めちゃっているから。そこがまぁ、良いのか悪いのか。

ーー25年間ずっと、ヴィジュアルもそうだし振る舞いも曲もそうだし、ずっと貫き通してきたわけじゃないですか。

ハヤシ:うん。

ーーそうなるとイメージみたいなものがある程度固定化してくるのは仕方ないわけで。そこで新しいものがやりにくくなるのはあるのかもしれないですよね、良くも悪くも。

ハヤシ:今ちょっと思っているのは、そのこだわってる部分、変えたくない部分の筋力というか、そういうものをもっと強くするっていうのはちょっとありますけどね。もっともっと個性的にする、みたいな。自分の得意としている部分をさらに大きくする、強くする、強化する。そうするとこれはこれで一つ、マンネリを超えて新しいものになるんじゃないかなって思ったりもするんですけどね。

ーー他の誰にも追いつけない、真似できないような強力な個性を目指す。

ハヤシ:でも、たぶん良い曲ができる時って、あんまりこういうことを考えていなくて。なんか、できる時に勝手にできるものだと思っているんですよね。前の小野島さんのインタビューで言ったんですけど、『1st P』を聴き返した時に…昔は恥ずかしくて聴けなかったんですよ、未熟すぎて。ファースト・アルバムにはバンドのすべてが詰まっているってよく言うけど、そんなのウソウソ、とか思ってて。

ーーあぁ、言ってましたね。

ハヤシ:そうそう。でも、ある機会があって聞き直した時に、すごいイビツなバランスで面白かったんですよね。今の自分じゃできない音のトリートメント感というか…凄いなこれ、みたいな。そのイビツであることの強さってあるよなと思って。理屈じゃない、理論じゃないみたいな。

ーーそうですね。いろんな試行錯誤してるんだけど、その過程こそが面白かったという感じもある。

ハヤシ:初期のPOLYSICSとかって割とそういう風にさらけ出せていたのかな。自分がやりたいこととか昔は、これっていうのは決めていなかったと思うんですよね。いろんなものを今よりもっとオープンにしていた気がしていて。あの感じってちょっと、今の俺じゃできない、できなくさせているなぁというか。25周年で昔の曲を聞き返して、昔はすごい自由にやれていて……うん。この時の俺は楽しそうだなと思ったりもしちゃって。そう感じるのは、今の自分はやっぱり調子よくないってことなんだなぁと。

ーー何かに縛られていると感じるところがあるんでしょうね。

ハヤシ:うん。そうですね。それが今の現状だったりもするし。それかまぁ、もっと根本的な部分で、色々知ってしまってこう、抑えているのかもしれないですね。

ーーデビュー当時っていうのはセオリーや公式がわかっていないから、試行錯誤のままにやって、時にはセオリーから外れたこともめちゃくちゃやっているけど。それが今聴いてみると面白い。

ハヤシ:うんうん。

ーー今はセオリーを色々な意味で知りすぎているから。

ハヤシ:そうそう、そこがちょっと。

ーーほかならぬハヤシ君が25年かけて、ちょっとやそっとじゃ崩れないような、ものすごく強固なセオリーを築いてきたから。

ハヤシ:うん。コロナ禍になって自分を振り返った時、そこがちょっと厄介だなって思っていて。すごいこう…何か(枠やセオリーを外れたものをやることに)ビビってるなぁみたいなものがあって。それは良くないなぁって思う。だからって別にハチャメチャな音楽をやりたいわけではなくて。なんかこう…厄介な感じなんですよね。そういう意味では。

ーーどうすればいいんですかね。

ハ:うーん。まずはね……でもまぁ、アウトプットを増やすのは一つありますよね。表現もそうだし。色んな人に会うとかもね、もちろん大事だと思うんですけど。

POLYSICSの大事な部分をさらに強くしたい。でもそうじゃない部分を柔軟に変えていく。それが今やりたいこと。

ーー今POLYSICSがやっていること、ポリの存在がワンアンドオンリーであることは、これは間違いないと思うんですよ。ヴィジュアル面も音も含めて、ポリ以外には誰にもできない、ってことはみんな認めると思う。

ハヤシ:うん。

ーー問題はそれがどれだけ受け入れられるかどうか。確固たるモノがあって、それを貫き通して動員が減ってきてるのだったら、それを本人が良しとしていないのだったら、どうすればいいか。

ハヤシ:そうですね。そのワンアンドオンリーの部分をさらに突き詰めたいのはもちろんあるんですけど…ライヴのやり方みたいなものももちろん変えてはいるんだけど、確固たるものをそこで崩すとね、弱くなるかもしれない。弱いものを世の中に出したくないっていうのは当然あって。弱いものっていうのは、ポリの色がっていう意味でね。それこそ自分の中で積み上げてきたものをね、弱くなった状態で出したくない。

ーー歴史のある長いバンドって、そこでみんな悩んでいるんだろうね。

ハヤシ:うん。そんなこと一切考えず、自分の中で強いものだけをやればいい!ってバーンと言えるような自信が今、ないから。そこが問題だと思うんですよね。変えたいのか、変えたくないのか、変えるならどこをどこまで変えるのか、そこで今いろんな部分でせめぎあっている。さっき言ったように、POLYSICSのハヤシとしてはやっぱり、変わらない部分を見せたい気持ちもあるし、よりPOLYSICSらしさを強くしたい気持ちもある。でも変わらないといけないとも思っているし。そこが自分でもまだ整理しきれていない。

ーーなるほど。

ハヤシ:POLYSICSのPOLYSICSたるところというかな、うまく伝わるかわからないですけど、やっぱりオルタナティヴなものでありたいし…。他と同じことやっても自分が面白くないし、したくない。あとはやっぱり、楽しいライヴはしてナンボだと思うし。非日常みたいなものですよね。お客さんが自分の日常を忘れられるような。そこはやっぱり絶対必要だと思うんですよね。

ーー私が思うことはまず、目標っていうか期限を決めて作品をまとめてリリースする作業が一つあった方が良いかなっていうのと。

ハヤシ:うんうん。

ーーポリ以外のアウトプットをそれぞれメンバーが作って、そこからフィードバックすることでポリをリフレッシュしていくっていう作業みたいなものがもうひとつ。あとはポリの中で大事な部分とそうでもないものを切り分けしていって、そうじゃないものに関してはどんどん変えていって、新しいお客さんを開拓していく、っていう、そういう風なやり方もあるんじゃないかなっていうのが、私の思うことです。

ハヤシ:うんうん、いいですね(笑)。

ーーインタビューっていうか、スタッフの打ち合わせみたいな感じになりましたけど(笑)。

ハヤシ:ははは(笑)。POLYSICSの大事な部分をさらに強くしたい気持ちはあるし、でもそうじゃない部分を柔軟に変えていくっていうのは、やっぱり今一番やりたいことかもしれないですね。自分の中で。

ーーなるほど。

ハヤシ:ただ現実的にはバンドにとって厳しい状況が続いてるのは間違いない。そこを何とかしなきゃならない。うん。自分のやるべきことをもっとちゃんとやらないと変わらないなっていう現状もありますよね。

ーーやるべきことっていうのは。

ハヤシ:曲(を書く)ですね。

ーー良い曲を書く。最終的にはそこに落ち着くっていうことですね。

ハヤシ:そうですね。自分がやりたいことはやっぱりPOLYSICSだし、バンドは何とか頑張って続けていきたい。もっともっと楽しい音楽で世の中を驚かせたいなっていうのはあります。

ーーうん。

ハヤシ:なんか、昔から言っていることは変わらないですけど。そこは相変わらず変えずに、でも今のこのムードを変えたいっていうのもあるし。それでまた、面白い音楽を作っていきたいなと思っています。

(2023年3月16日:下北沢UKプロジェクトにて)

(WEBで読める、小野島による過去のPOLYSICSインタビュー)

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POLYSICS、ハイテンション&ハイエナジーなミニ・アルバムが熱すぎる!!!【インタビュー】(2013/10)
https://www.up-now.jp/articles/id/706
(リンク切れ)

『HEN 愛 LET'S GO! 2 ~ウルトラ怪獣総進撃~』インタビュー (2015/7/7)
POLYSICSハヤシが語る、ウルトラ怪獣への偏愛「オレが曲にしないとな、という使命感はあった」

祝、結成20周年! “孤高のバンド”POLYSICSが提示してきた「イビツな音楽」の楽しみ方(2017/2/22)
https://entertainmentstation.jp/68124
(リンク切れ)

4人編成になった新生POLYSICSからアルバムが届いた。結成20周年。進化するその手応えをボーカルのハヤシに訊く(2017年11月29日)https://entertainmentstation.jp/147001(リンク切れ)



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