「時の葬列」再発にまつわる騒動の一部始終

 オートモッドが80年代に主催していた(今もたまにやる)シリーズ・ギグ「時の葬列」は、日本のインディーズ史上特筆すべきライヴ・イベントだったわけですが、その主要参加アーティストを集めたコンピレーション「時の葬列」が再発されることになり

http://tower.jp/article/feature_item/2014/04/10/0704

 そのライナーノーツを頼まれて私が書いたんですが、その再発に関して、オートモッドのジュネが、事前に連絡がなかったと言い出してオレのところに怒りの電話を寄越したのが、4月11日のこと。しかしオレに文句言われてもオレが出すわけじゃないし、ただ担当の人(スカイステーションの芝省三さん)に頼まれてライナー書いただけなんだけどなあ、と戸惑うが、アーティスト自身が原盤権を持っていない場合、正直こういう話はよく聞くのである。それで芝さんの連絡先を教えて当事者同士で話し合ってもらうことにしたんだけど、ジュネの怒りは収まらず、こんなことをブログに書いたのである。

「バンドに無断でCDが発売されます!」
http://genet.jugem.jp/?eid=4832

<一体誰が今回の再発に動いてるのか分かりませんが、小野島大氏がライナーノーツを書いてるみたいなので、聞いてみればわかるでしょう。>

 これじゃまるでオレが今回の再発に動いた共謀者みたいじゃないかー(泣)。
 しかしそこで文句言っても泥仕合になるだけなので、ひとまず様子を見ることにしたんですが、どうやら話し合いがなされたようで、その顛末が再びジュネのブログに書かれている。

「CD無断発売事件解決いたしました。」
http://genet.jugem.jp/?eid=4837

 もちろん原盤保有者の了解を得た芝さんに法律上の瑕疵はなく、要は事前にアーティストに断りがあったかどうかという道義上の問題。それも連絡の行き違いが原因ということをジュネも理解し、円満に解決したようで、それどころか今回の再発をきっかけにオートモッド全カタログ再発のプロジェクトも発展しそうな気配であります。めでたしめでたし…ということで芝さんからも昨夜電話がかかってきて「騒ぎになったけど、かえって宣伝になってよかったよね、アハハハ!」とまあ、実にノーテンキというか(苦笑)。芝さんもかって徳間ジャパンのディレクターとして、80年代の日本のパンク/ニュー・ウエイヴの大物のほとんどに関わったことのある猛者なので、こういうちょっとしたトラブルの処理はお手の物なんですね。

 ということで、権利関係がいろいろ曖昧で契約の概念がアーティストにも理解されにくかった時代のカタログでは、こういう事は水面下でいろいろあるんだろうな、というお話でした。

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