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「いい人」であることに苦しむ人とは

前提3: 自己犠牲的な人とは、自分の機嫌を取る責任を放棄して他人に奉仕する人である



自己犠牲的な人、すなわち自分への愛情の責任を放棄してまで他人に奉仕する人は、「自分の事情を疎かにしてまで」他人に奉仕し、それをよいことだと思っているため、周囲に対して見返りを期待する。しかし、自分を満足させることができない人の利他は、心から誰かを喜ばせたいという感情によって行われる利他と違って、最終的にはその相手が自分を満足させてくれること、つまり利己的な感情によるものであるか、この人に見離されてはいけないという強迫的な動機に憑き動かされているため、相手にとってむしろ過剰であったり負担になる場合が多い。このため、自己犠牲的な人が「いい人」として振る舞おうとすればするほど相手にとっては荷が重くなり、期待していた見返りがないどころか、逃げられたり避けられたりという結果すら招いてしまう。そうするとますます愛情への不安が喚起され、ますます過剰な負担で自分や相手を苦しめるという負の連鎖が起こってしまう。

このとき、自己犠牲的な人の中では「私は”いい人”であるのに周囲はわたしを認めてくれない」という誤認が起こる。「いい人」をないがしろにする世の中で「いい人」であり続けるのは損だと考え、「いい人」をやめようとしたり、偽悪してリアリスト的に振る舞うことを習慣化し始める。他人との干渉を避け、他人に恩を着せたり買ったりしないようにすることで過剰な負担の苦しみを軽減しようと試みるが、今度は孤独に陥ってしまう。

今の世の中で「いい人」をやめたいと言ったり、やめるべきだと推奨する人が増えている理由としてはこの「自己犠牲的な人」と「いい人」が混同されているという事情が挙げられる。したがって、まず「利他的な振る舞い」と「自己犠牲的な振る舞い」がどう違っているのかを明確にしなければならない。本来、「いい人」であることは、その人に負担よりも利益をもたらしてくれる性質のものだからだ。



HSPの特徴2:  他人が要求していることを「空気を読んで」いち早く察知する。度を越して他人に奉仕するため、他人と一緒にいるだけで疲れてしまう。



前回に触れた「不機嫌な人、身勝手な振る舞いをする人」を見ると放っておけなくなる、という特徴と同様に、無差別で過剰な、度を越した「気配り」もまたHSPの特徴として挙げられるものの中に含まれている。


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