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自己愛と自尊心の違い

愛された育った人は「私は存在していてもよい」という自尊心を手に入れ、それが良いものであれ悪いものであれ、自分自身に変化が訪れても変わらずに愛することができる。

しかし、そうでなかった人は、「私は存在していてもよい」という承認を渇望し、他者から無限に供給しなければ尽きることのない不安に襲われる。

これからの文章では「私は存在していてもよいのか」という疑問を「存在不安」と呼び、種々の精神的な苦しみのひとつの原型として参照してゆくために、まずはこの存在不安がどのようなものであるのかについて説明してみたい。



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△青い矢印は自尊心、赤い矢印は自己愛を示す



これまでに触れてきたように―――親が子どもに、そして子どもが他人や自分自身に向ける愛情にはいわゆる無条件の愛情と条件つきの愛情のふたつがある。

「条件つきの愛情」は「あなたがこういうふうである限り愛する」という約束のようなものであり、この愛情は「条件が満たされなければ途切れる愛情」、つまり不安定な愛情である。

もうひとつの愛情、無条件の愛情と呼ばれるものは、「あなたが存在している」ということに向けられる。この愛情は互いが存在している限り途切れない、「あなたが存在しているということは、あなたがどんなふうであるかに関わらず喜ばしいことである」という相互的な信頼のもとに成り立っている愛情である。

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