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「関わった相手をだめにする」人の性質

前提1:親が子を愛する方法は、今後一生その子が他人を愛する方法の原型になる。そしてその愛し方は自分自身にも当てはめられる。



恋愛はしばしば対象への執着という形で、社会生活上なりを潜めていた子ども時代の愛情関係の機能不全を再現する。たとえば親に奉仕し、支配を受けることで存在を許されてきた無力な子どもは、無意識に「この人(親)に愛されなければ生きていけない」という自己保存のためのルールをつくり出す。このルールは大人になり、別の常識や生活基盤を持つことでいったんは退避するかもしれないが、恋愛関係が結ばれることによって「この人に愛されなければ生きてゆけない」という自己保存のための警報が鳴らされると、対象に転移を起こし、過去の失敗した(そしてどうしても失敗と認めなくない)愛情関係を正確に再現する(反復強迫)。

したがって、自分が恋愛対象にどのような態度を求め、執着するかという様子は抑圧された子ども時代の関係形成をさぐるための足掛かりになる。



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△依存関係は奉仕される側が支配しているとは限らない


「条件つきの愛情」が形成する愛情関係を思い出してみよう。互いの支配と被支配、交換原則の打算によって成り立っている依存関係は、第三者の登場を拒む「閉じられた愛情」を特徴としている。

「閉じられた愛情」は、相手が自分以外の対象―――たとえば友人やその人の家族、趣味嗜好など―――と関係を結ぶことを拒否する。相手が自分ではない存在に興味を持つことで、自分が必要とされなくなる不安が呼び起こされるため、自分以外の愛情を一切受けないような依存的な態度を要求する。恋人や配偶者の関係に対する猛烈な嫉妬心はこの不安に起因している。

しかし、このような関係をどちらが依存していて、どちらが依存されていると明確に区分することは難しい。共依存と呼ばれるような、実のところ互いが互いに依存している状態がそれに当たる。

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