天皇生前退位問題に関連して

・ブログに2016年7月16日公開した文章の転載
・現在の上皇が天皇在位時、生前退位をめぐって議論されていた時に記述した文章です

天皇自ら退位を望むことも考えられるのだから、今回のようなケースを想定していなかった政治家たちの怠慢と思考停止以外のなにものでもない。

天皇制を現在のようなかたちで存続させた場合、将来、天皇が総理大臣の任命を拒否するなんていうケースも可能性としてはおこりうる話である。(このような発言を不謹慎だとかいって非難する輩は思考停止した馬鹿だから、政治についても天皇制についても発言しないほうが社会のためではある。まあ、言論の自由が保障されているんだから、「発言するな。」とは言えないけれどね。)

憲法解釈としては、国会で総理大臣が選ばれた段階で総理の資格を得るのだろうから、天皇による任命が行われなかったからといって、総理の資格を失うわけではないのだろう。
ただ、憲法解釈があてにならないのは、憲法解釈の変更という名目で集団的自衛権の行使が既成事実化されようとしていることによってあきらかだと思うが......。

日本の政治が混乱状態におちいったとき、「政敵が総理に就任するのを阻止するために、天皇に働きかけて総理の任命式を中止させる」だとか、「ヒットラーのような危険人物が総理に選ばれて、天皇自身が、そのような人物を総理に任命することはできない、と任命を拒否する」ケースも、まったくないとはいいきれない。
天皇による総理の任命は形式的・儀礼的行為であって、総理の就任に実質的には影響を及ぼさないことを、憲法解釈ではなく成文化しておいたほうが、将来おこりうる混乱を未然に防ぐためにもいいと思うけれども。

そもそも、天皇が総理の任命を拒否したら、憲法遵守義務を守らなかったことになるのか、天皇が憲法遵守義務を守らなかったらどうなるのかについて、政治家や官僚たち、そして主権者である国民たちはきちんと考えているのだろうか?
天皇に関する問題はタブーとして、思考すること、議論することを放棄してはいないだろうか?

昭和天皇の戦争責任問題が、非常に大きな政治問題として議論されてきたのだから、「天皇の拒否権」を制度として確立し、天皇が拒否権を行使したらどうなるのか、どうするのかを事前に制度設計しておくべきだと思うが......。

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