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【コラム】京弓を測ってみる

弓は先細りしていくもの、という原則がある中で、弓師によって落とし方は違うと思います。
手元に実験にちょうどいい弓があったので、幅を測っていきます。
さぁ、どんな結果になるでしょうか?

京都の流れを組む弓を準備

用意する弓は4張りです。
①柴田勘十郎(21代目)
②相州重仁
③九州の弓(柴田勘十郎にて村取り)
④柴田勘十郎(たぶん19代目)

どれも柴田勘十郎の技術が使われている弓です。
ここで疑問なのが、③の弓がどのような村取りをされているか?です。
幅の落とし方は弓師によって違うならば、同じ弓師が落とせば同じくらいになるのか、
それとも、産地ごとの落とし方をするか。。気になりますね〜。

いきなり測るのではなく、まずは予想をしてみましょう。

村取りの予測してみる

まずは21代目の銘”柴田勘十郎”から。
もともと弓が細身であるため、あまり上下を削っていないと思います。
京弓は胴を短くして、弓全体が会で丸くなる成りなので、上下を細くしすぎると船底になる危険性があると推察します。

次に銘”相州重仁”にいきます。
これも柴田勘十郎の技術が使われている弓ですので、同じ考えです。
ただ、成りがちょっと特殊で、京成とは違った成場になるので、そこがどう変わってるかですね。
姫反り部分が長く、弓が鈍くなることになるので、上のほうが細くなっていそうです。

次は京都で村取りしてもらった九州の弓になります。(銘は伏せます)
これは見ただけで内竹の幅を削った形跡があるので、角見が効きやすいような村取りがされてるのは確認できます。
しかし、以前よりも弓が冴えてる感じはしないので、上下の幅は変えていないかもです。人の弓ですしね。

最後は19代目の銘”柴田勘十郎”です。
成りが今の弓と違いすぎて、予想ができません。
握りがかなり細い。これだと上下に残るのか?っていうレベルで細い。
いや、逆に考えると、ここまで攻めた村取りをするのであれば、上下も攻めてるに違いない!ということで、他の弓よりもいっぱい落としてる、と予想します。

計測結果は意外なことに!?

結果はこんな感じになりました


どうでしょうか?
21代目はあまり細くしてないと予想しました。
結果は、順調に落としていますが、最後が落としきれてないですね

相州重仁は上が細くなってると予想しました。
結果は、逆でした。上が全然落ちきっていません。

九州弓 村取り by 柴田勘十郎
あまり落ちてないかと思いましが、そうでもないようです。
落ち方は非常にキレイです。
しかし、下の幅が広いですね。これは下が強い原因かもしれません。

最後は19代目
上下対象かのように幅が落ちてます。これはキレイですね。数字だけで美しい。落ち幅も他の弓の追従を許しません。
やはり、これくらい細くしていったほうが、弓のしなりをうまく使えるのでしょうか?

考察結果

柴田勘十郎(21代目)と相州重仁は姫反り〜末弭にかけては落とし方が共通しています。これは技術なのでしょうか?
しかし、どちらの弓もあまり弦音は良くなくて、弓返り速度も遅い感じがします。
力がうまく抜けていない理由はここの幅の差にあるのでしょうか?
同じ柴田系ならば19代目の弓みたいにかなり攻めた村取りをしてもいいかもしれないです。

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