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【雑談】竹弓失敗談〜火入れを間違えた〜

弓右衛門の竹弓失敗談の第一弾になります。

普段は矯正器や弦の張り方のみで調整していたので、
火入れをする機会はなかなかに訪れないのが現実ではあります。
今でこそ感じるのが、圧倒的に経験値が足りないのです。

当時は火入れを教えてもらって、これで矯正の幅が広がった!とウキウキしていました。どんな弓でも来い、みたいに有頂天になっていました。

道場の大掃除を行うと古い弓が出てきました。
とりあえず張ってみると、同時の感想で”胴が直線的すぎる!"と思いました。
今でこそ、そういう弓もあるんだと納得できますが、
当時の私の知識では”もっと丸くしなくては”と判断してしまったのです。
火入れも覚えて、火入れで調整してやろう、なんて思ってしまいました。

道場には火入れに適切な熱源がありませんでした。
(当然、ドライヤーや電熱器は道場の標準装備ではないのです。)
季節は冬でしたので、ストーブがありました。ヤカンを上に置くと、沸騰もできるタイプのやつです。
そう、これに目をつけたのです。(こんな形のやつです)


ストーブの上に内竹側が向くようにして、棚を駆使して弓を固定しました。
握り付近に熱があたるようになってます。
ストーブと内竹の距離は5cmくらいだったと思います。
弓が温まるまで談笑、、、して、いざ張らん!

裏反りがあったので、床張りを選択して、握り付近を支えます。
拳を床方向に押し込んで、本弭を引き上げようとしたら、左手におかしな。感触が。
おかしい、なにかふにゃふにゃする感触が。
初めての感覚に戸惑いながらも、張ることを試みました。
しかし、弓が折れてしまったのです。

煎餅を割るときのようなパキ、っておいう感触ではなくて、
どら焼きを割るようなふにゃっとした感触でした。
湿ったビスケットに例えてもいいかもしれません。

賢明な読者の方は気づいてるかもしれません。
そう、温度が高すぎて炭化してしまっていたのです。
炭化した炭素繊維の末路は、、お察しの通りです。

この記事で間違った選択を続けたが故の結果を知ることができたと思います。
古い弓だったためダメージは少なかったですが、これが常用してる弓だと思うと、ゾッとします。

この時の正しい選択は張った状態で切詰めを紐で縛り、安定させてから弓具店に持っていくことでした。
今の知識を用いるならば、胴が長い弓もある、直線的な弓もある、と考えることができます。弦通りを確認して、おかしかったら矯正器をかけるか、村取りを選択する。リスクのある火入れは最後に行うべきでした。
ああ、ほんとうに勿体ないことをしたと思います。

竹弓は折って覚えろ、とは言いますが、
火入れで折る、とか、矯正中に折る、などは意味してないかなと。
みなさんも変な矯正の方法は試さないようにしましょう。

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