時代はクリぼっちを超えたクリ抜歯だ!-クリスマスに親知らずを抜いた記録 追記

クリスマスに、私は生まれて初めて入院をした。思えば幼少期から骨折やら何やらとは縁遠く、運が良かったとしみじみ思う。
その入院も抜歯のためである。健全とあるといえよう。

コレはただのアラサー女が、親知らずを抜いた時の記録である。


抜歯に至るまでの道筋

まず、私がなぜ抜歯をせねばならなくなったかについて触れておこう。
私の上左側の親知らずは21の時に抜歯しており、右側もその時に抜歯したと思い込んでいた。
その年の夏に地元を離れ、そこから6年。一度も歯医者に行っていなかった。愚かである。

言い訳をすると、歯が痛くならなかったというのはある。特に不便がなければわざわざ行こうとならなかった訳だ。割と歯を磨くのが好きなのもあった。
なんでも、私は唾液の分泌量が多く虫歯になりにくい体質らしい。その代わり歯槽膿漏にはなりやすい、とも言われたが。
年に一度は検診をした方が良いとは分かっている。来年からはちゃんとするとここに残しておく所存だ。

歯医者へ向かった日

しかして今年の11月13日。歯が痛過ぎて物が噛めなくなった。幼少期の詰め物が取れたと思われる感触だったので翌日、6年ぶりの歯医者に向かった訳だ。
「これはひどいな〜……」
歯医者さんにしみじみ言われた時の罪悪感たるや。
なんでも、詰め物が取れているし虫歯になり掛けの部分がいくつもあるとのことだった。詰め物の処置もありそこから私の歯医者通いが始まった。

抜いていなかった上側のもう一本の親知らずも虫歯の原因になっていたとのことだったので早々に抜いてもらった。
「頬の肉がすごい、器具が入らない…コレは歯ブラシが入ったわけがない」
と言った言葉が聞こえた気がする。気のせいだと思いたいが悲しいほどに私の頬は丸い。
抜いた歯は磨けていなかった場所がくっきりわかるような感じで、一部分が真っ黒でそれ以外は真っ白だった。

「下の親知らずはうちでは抜けない。歯茎にほぼ埋没しているけれど一部分だけが露呈していて、その隙間に食べカスが詰まると虫歯の原因になる。抜いた方がいい」
抜歯後にそんな説明を受けて、私は抜くことを決意した。虫歯は嫌だと思う程度にはその歯医者に足繁く通う羽目になっていたからである。
紹介状を書いてもらい、地域で1番大きい病院へと向かった。

クリスマス抜歯が決まった理由

大きな病院は、とてつもなく混んでいた。口腔科に向かえばそこも若干混んでいる。朝イチで向かっても、だ。大変なことになったなあとじわじわ感じていた。
診察はとくに何を見られたわけでもなく、紹介状に入っていたのだろう、私の歯のレントゲンを見せられた。
「ここに神経通ってますから腫れますね!」
明るく告げる女医さんの言葉に「やっぱりやめていいですか?」と言いたくなったのを飲み込む。
一本ずつだとその日のうちに帰れる、二本一気にだと入院になるとのこと。
メリットデメリットを考えたが「一気に済ませたい……」という一心で入院を決めた。
「いつにします?この辺とか空いてますけど」
予定を見る。趣味の予定の無いあたり、月経が来るタイミング、そして仕事が休めそうな日……全てを照らし合わせた時に都合が良かったのが、その月の終わり_そう、12月25日であった
「25日って……行けます?」
「大丈夫ですよー」
正直、ダメだと言って欲しかったが仕方がない。かくして賽は投げられたのである。

抜歯当日の流れ

25日

ここからはブルースカイに逐一投稿したので大体は記憶と記録が残っている。この時点で朝食は食べては行けなかったというのを前提としてほしい。

8:15 8時半に口腔科の受付に来るように言われていたので15分前に到着。徒歩で来た。一番重かったのは飲料水である。

8:21 入院周りの書類を提出し検温をする。割と同じような人がいた。クリスマスなのに!?と思わんでもない。

8:30 軽く顔見せ程度の診察。「元気ですか?」「はい元気です!」みたいな。小学生の頃を思い出した。

8:35 入院受付を行う。9時にまとめて移動と説明を行うといわれて待ち。

9:00 病棟へ向かう。この時点で5,6人居てびっくりした。まだ他にも数人いる様子だった。

9:20 同じ病室になった人たちと一緒に、病室へと移動。軽い使い方の説明をされて入院着を渡されて着替えるように言われた。
手術については何も言われず割と困る。荷解きと着替えをしてぽんやりLINEなどをしていた。

病院イン

11:00 ここでやっと説明と点滴を受ける。手術が15時ということに慄く。

点滴しにくい血管だったらしく看護師さんに苦心させてしまった。看護師をやってる姉に「これが普通か?」と聞く。「あたしたち血管無いから」と言われた。無いわけないだろ。

衝撃の事実

12:00 入院経験のある友人(私のひだまり)のアドバイスに従い寝る。点滴の諸々でシーツに血痕が落ちてしまっていたので交換するということで起きて歯を磨いていたら同室の方の昼食が届いた。いい匂いがしてちょっとだけつらかった。朝食抜きだからである。

14:00 寝れるだけ寝ておく。あと1時間だと思っていたら点滴が追加。時間が繰り上がるかもしれない、と言われた。

14:30 人生初手術!ベッドのまま移動となる。上着脱いだりこちゃこちゃしてそのまま連れていかれた。
手術室も同じ階だと思っていたらなんと手術室は2階だった。ベッドのままエレベーターに乗るなんて貴重な経験になったが、2階は割と外来の方や業者さんも多く通っているようで、かなり恥ずかしかったのは言うまでもない。

諸々の確認をされ手術室へ。別の人と間違いが無いように、生年月日とどこの施術かというのをたくさん確認された。手術室の奥の待機ブース、そこから手術室へとどんどんと奥に進んでいった。ポケモンの四天王戦みたいだった。

かるくお医者さんと話した気がする。内容は忘れた。
「麻酔を入れますね」
と言われても少し記憶を保っていた覚えがある。口の中を器具でぐりぐりされた。それで。そのまま意識は落ちて行った。
手術説明の時点では「うとうとする」くらいではなかったかと思うのだが。

15:15 40分ほどで無事終了。ガーゼが奥歯に詰められており酸素注入器が付けれていた。直後の自撮りを見るに顔もパンパンだ。★

16:15 そのまま寝て起きた。詰められていたガーゼを回収された。多分この時に3分割された6カケラの奥歯を貰ったんだと思う。
夕食も無いとこの時に言われた。そう、私はクリスマスに絶食した女にもなったのだ。★

17:10 血圧体温を測ってもらいお水を飲んでよい許可が出る。ちまちま動いたらクラクラしたので横になった。★

18:15 このあたりでやっと意識がはっきりする。★のマークを付けたところはせん妄があったのかはわからないが、この間にLINEとSNSの投稿を行っているのに全く記憶が無い。
珍しく自撮りまでしてるのに、だ。記憶がスコーンと抜けているのがめちゃくちゃ怖い。ここで痛み止めを飲んだのは覚えている。

20:30 ここまでの間『のどは乾くがトイレに行きたくない』というジレンマになる。
汚い話だが、術後からずっと点滴されていたので排尿ペースはすごいことになっていた。点滴が終わったらと思ったらずぐに追加されるのだ。大変なことをしたんだなあとじわじわ思っていた。

22:30 ここでようやくいったん点滴が終わる。自由になったので荷物の整理をこの時点で始めていた。
しかし昼に寝れるだけ寝たのもあり全然眠れなかなったのは言うまでもない。

この時点での1日の総括は『とにかく頬に力を入れると痛いが呂律に支障はない、口の中はずっと血の味、点滴がある限り尿意はすごい』だった。そのまとめで良いのか。

26日

6:15 言われていた通りに点滴が再会。痛いなら痛み止めを飲んでください!と言われたので飲む。

7:25 ここで砕いた歯に気付く。記憶が無くなっていたので何でここにあるのかわからなかった。組み立てようとしたが解けないパズルだった。この街で優しさに甘えて居たくは無い。

7:35 点滴が逆流し慌ててナースコール、1回目。これ呼んでいいものなのか迷ったが真っ赤になるのは視覚的に怖いのでこの後もバンバン呼んだ。

8:30 1日ぶりのごはん!!!全粥・ふりかけ・牛乳・ちょっとしたおかずとなめこ汁だった。ちなみに言っておくと私の嫌いな食べ物はきのこ全般とねばねばしたものである。よりによってといった感じで面白かった。一応箸は付けたので許されたい。

1日ぶりのご飯


8:45 担当看護師さんのご挨拶がある。「15時には退院ですね!迎えはありますか!」と聞かれて「無いです!!」と答える。悲しいね。

10:10 点滴逆流2回目。処理してもらってからトイレに行きたかったのでとっても焦ることになった。なお追加の点滴はこの時点では無く中で若干固まりかけたのかちょっと入れてもらった薬品が痛くて怯える。

12:30 ごはん!!!まだまだお粥・おかず類・サラダ・ヨーグルトという組み合わせ。割と偏食なので口に合わない可能性に怯えていたがめっちゃくちゃおいしかった。大人になったということかもしれない。

全部美味しかった



14:20 ラスト点滴。これが終わったら帰れるといわれてウキウキ。

15:00 点滴逆流3回目。この日の点滴は全部終わりに逆流したのでよほど看護師さんもお忙しかったのだろう。お疲れ様です。

15:15 処置していただき退院ということになる。とりあえず解けないパズルもとい抜歯された歯は写真だけ取って処分をお願いした。

15:30 諸々を済ませて病院を出た。乗ろうとしたバスが10分近く遅れていた。そんな感じで終わった。
費用を明記しておこう。薬代・入院費・諸費用合わせて4万円少しだった。小旅行くらいするなあと思わんでもないが健康のためだ。安いものだと思おう。

持ち物の話

さて、初めての入院で用意しろと言われたリストに乗っ取り用意したものを列挙しよう。のちに同じ手術を受ける方の参考になればと思う。

病院のリストに載っていたもの①

  • タオル

  • バスタオル

  • 洗面用品

  • シャンプーリンス

  • パジャマ

一応言うと、ここまでのものは全部使わなかった。抜歯は入浴して血行が良くなると再出血の可能性があるためかお風呂に入れなかった。
パジャマは院内貸し出しのものを借りるとは言われていたがすぐに着替えてもらうと言われていた。その後に着替えるかもしれない、と一応持っていたが不要だった。

病院のリストに載っていたもの②

  • ティッシュ

  • イヤホン

  • 充電器

  • ビニール袋

  • 飲み物

  • コップ

  • 着替え・肌着

この辺りはもってこいと言われたし実際必要不可欠だったものだ。ビニール袋はゴミ入れにした。複数あって良かったと思っている。
靴は『当院はスリッパが禁止です』と言うのがあったので新品を前日に用意した結果だ。ドンキで二千円しない靴だったが割と履きやすくて気に入っている。

飲み物は途中で買いに行けないので用意するように言われて2リットル分(500×4)を持ち込んだ。足りないよりは多い方が、と思ったのだ。コレは別に少なくても良かった気はする。全部飲んだが。

処方薬としてうがい薬が出たので、コップは絶対に必要であった。紙コップでも良かったかもしれないが退院後も使うことを考えるとちゃんと買って良かったと思う。

着替えや肌着は帰る時用のものだ。朝1に来て帰る時にしか着なかったので私は着替えは持ち込まなかったが靴下と肌着はさすがに変えた。

リストになかったが持ってきて良かったもの

  • 上着(羽織物)

  • めぐリズムのアイマスク

  • 顔拭きシート

  • 暇を潰せるもの

  • 保険証・診察券・書類

季節的にも上着はあって良かった。なくても平気なのだが気持ちの安寧が違う。柔らかな羽織り物が一枚あるだけで何となく安心した。

アイマスクはかなり持ち込んで良かったもののひとつだ。痛みやらなんやらで寝にくい時もコレがあるとかなり違った。これは複数あっても良いかもしれない。「寝れるときに寝ろ」、は友人から貰ったアドバイスの中でも本当に参考になった一つだった。

顔拭きシートは腫れた頬を冷やすのにも使えたしお風呂に入れなかったので気持ちさっぱりすることができた。洗面しても良かったのだがわざわざ洗い物やらなんやらを増やすことはないので良かったと思う。

そして暇を潰せるものは言うまでもない。待ち時間が潰せるものはいくらあってもいいと断言しよう。十角館の殺人読破した。あれどうやって実写化するんですか?

保険証・診察券・書類は言わずともみんな持ってくるとは思うが一応明記させて頂く。必須だ。お薬手帳とかもね。

リストになくて持ち込んで、それでもなくて良かったものは……マルチタップくらいだったか。コンセントをさせる場所が4つあったが1つしか使わなかった。2個以上コンセントを使いそうだったら持って行っても良いかもしれない。

終わっての感想

こんな感じで私の30時間強の初めての入院、初めての手術は終わった。忙しい歳末に手のかかる手術をしてくださった先生、諸々でお世話になった看護師の皆さま、たくさん話を聞いてくれた友人たち、支えてくれた家人、そしてフォロワーに感謝をあらためて述べさせていただきたい。ありがとうございました。

まだ抜糸やらなんやらはある。薬も全部飲んではいないので終わった、訳では無い。痛みもまだ若干残っている。しかし安堵感はすごくあると言って良いだろう。なかなかにない経験が出来たものだ。多分一生忘れそうにない。

同室のお姉さんも「仕事が年末休みだったからこの機会に」と言っていた。年末の過ごし方としての入院、というのは選択肢として割とあるのかもしれない。事実、一緒に入院した数人のうち半数は30代以下だったように思う。寂しいがそれも選択肢としてはありなのだろう。心置きなく、治療を受けられうのだから。
とは言え医療従事者の方には本当に頭の下がる思いである。本当にライフラインというのは立派な仕事だ。

来年のクリスマスは、美味し~い肉が食べたい。いや、クリスマスでなくても食べたいと強く強く強く願いここで顛末としては終了しよう。後日譚は改めて追記すると思う。

抜歯の抜糸の追記(2024/01/04)

朝8時20分、また私は同じ病院を訪ねていた。抜糸のためである。まるでアスタリスクのように糸が見えていたので怖かった。

病院に着くなりすぐ口腔外科に向かうと、「受付を済ませてください」と言われた。入院の時はすぐにこちらの窓口に来るように言われていたから勘違いしてしまったのだ。恥ずかしい。

改めて受付して検温する。36.7という微熱。
待つこと数分。あっという間に呼ばれた。かなりの人が来ていたので年初めを感じる。
この病院では初めて、歯医者さんの倒れる椅子に座った。手術と軽い診察しかしていなかったのだ。
「綺麗に治って来てますね〜」
とバツバツ切られて、ピンセットで抜かれていった。違和感と若干の痛みはあるがその程度だ。
「凹んでいて汚れが溜まりやすいので強くうがいしてゴシゴシ擦ってください」と言われた。良いんだ……。

紹介状を書いてくれた病院へのお手紙を書いてもらったので、この病院に(他の用事がない限り)来ることはないだろう。……と思ったが保険関係があったか。ちえ。
抜糸のみの金額は230円だった。流石に笑う。

術後はやはり痛みがひどかったが薬があれば耐えられた。日常で感じた不便なことといえば、お風呂に浸かれないのがこの季節だとつらかったくらいだろうか。その程度で済んだのは良い病院に当たったからかも知れない。

とかく改めて、この記事の幕は閉じる。ここまでのご閲覧に感謝すると共に、読んで下さった皆々様の歯が健やかであることを願うばかりだ。

#年末の過ごし方

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