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【2023年】国道418号八百津〜恵那区間(八百津ダート)と深沢峡五月橋の現状

国道418号八百津〜恵那区間、いわゆる「八百津ダート」。

日本3大酷道の1つとして名高い道ですが、個人的にはかれこれ10年間ほぼ毎年通い続けてきた思い入れの深い道でもあります。

木曽川沿いに伸びるこの道は、2028年完成予定の新丸山ダム湖に水没することが決まっており、沿道の風景は毎週のように目まぐるしく変化しています。

以前noteで紹介した場所にも大きな変化が現れているので、約3年ぶりに八百津ダートの現状を伝える記事を書いてみようと思います。

旅の始まりはやっぱりここ。

国道が否定されていることでお馴染み(?)の青看板から徒歩走破開始です。

青看板のすぐそばには通行止めの看板や標識が並んでいます。

夏に走破した際は通行止めと言いつつ自己責任で通行可能な状態でしたが、2023年12月現在は簡易ゲートが設置されて車両での侵入が不可能になっています。

青看板から先は特に変化は無かった(相変わらず荒れている)ので割愛しますが、二股トンネルの手前で非常に気になる場所を発見しました。

国道(左側)から山の斜面に向けて分岐する謎の道

去年までは何も無かったはずの国道沿いの斜面に、新しい道が出現しています。

一体何の道なのか?

白い筒の中には苗木が植えられている

答えを探しに坂道を登って行くと、その先にあったのは広大な植林地でした。

せっかくなので、てっぺんまで登ってみました。

ダム湖を上から眺めることが出来る程度の標高はあります。

植林地を一通り見て回った後は坂道を下りて再び国道へ戻ります。

八百津ダートで1、2を争う有名スポットの二股トンネルに到着しました。

しかし、トンネルの脇にも新たな道が出現していて、気になって仕方がないので先に探索することにします。

左手側の石垣が旧道っぽい雰囲気を漂わせているので、てっきりトンネルの反対側へ続いているのだと思っていたのですが……

道は途中から登り坂に変わり、トンネルの向こう側どころか直上の山へ向かい始めました。

坂道を登って行くと、その先に見えたのは白い筒。

そう、この道は先ほどの植林地へ向かう別ルートだったのです。

トンネル内部から恵那側抗口を眺める

謎の道2本の正体を暴いた後はいよいよ二股トンネル内部へ。

すると、ここにも変化が現れていました。

分かりづらいですが、路面に水が張っています。

水深は20cm程度ですが、長靴でなければ間違いなく靴が水没する深さです。

どうやら恵那側抗口から坑内に至る約10m程の区間が少し下り坂になっており、そこに水が集まって水没してしまったようです。

この水が何処からやって来たのかと言うと、実はトンネルの内部、より正確には天井からの漏水です。

以前から壁や天井からの漏水はありましたが、今回は冗談抜きに「小雨」レベルの量が降り注いでいました。

ちなみに、トンネルの路面水没区間は徒歩で越えられないので一旦引き返して車に乗って突破しました。

悪路と巨大な水たまりを越えてまで車を持って来たわけですが、トンネルを出た場所で再び移動手段を徒歩に戻します。

何故なら……

トンネルの先で土砂崩れが発生して道が完全に塞がっているからです。

この惨状はあらかじめTwitterで情報収集していたので知っていましたが、実際に現地で眺めるとガックリと力が抜けるような思いです。

かれこれ20年以上「酷道」と呼ばれながらも、なんだかんだ最低限の維持・整備はされ続けてきた道ですが、ダム工事が本格的に始動したこのタイミングでここまで派手に崩れてしまっては、完全復旧は絶望的かと思われます。

特に問題なのが、ただ山の斜面が崩れてきたというだけではなく、道の路盤ごとダム湖に崩落していること。 

こうなってしまうと道を再生するには路盤から作り直す大規模な工事が必要になるわけで……

管理者の土木事務所にしてみれば、既にバイパスも部分開通済みの未舗装酷道をわざわざ復旧させる理由など無いでしょうし、このまま水没まで放置されるのはほぼ確定です。

土砂崩れの原因となった斜面を見上げてみました。  

そう言えば、この山の上には先ほど探索した植林地があるんですよね……。

ひょっとして、植林地を造成するために直上の山を切り拓いたのが土砂崩れの原因なのでは……?

改めて考えると、トンネル内部の異常な漏水とも無関係では無いような気が……。

憶測で悪者にするのも失礼ですが、少なくとも植林地が無かった去年まではここまで酷い崩落も漏水も無かったので……。

さて、土砂崩れに阻まれて恵那方面に進めなくなってしまったので、丸山バイパスと町道十日神楽線を経由して町道分岐点までやって来ました。

町道分岐とは、いわゆる「八百津ゲート」のある場所です(後からゲートの写真も登場します)。

八百津ゲートの奥、八百津ダートの万年通行止め区間が待ち受けているわけですが、その前に土砂崩れに阻まれて走破出来ていない「土砂崩れ〜八百津ゲート」区間へ向かいます。

これまでは西の八百津(丸山ダム)方面から東の恵那(笠置ダム)方面に向かっていましたが、ここから一旦逆走して東から西へ向かいます。

いきなり通行止めの看板が出迎えてくれます。

この先も未舗装とは言え、かつては3ナンバー車が走行可能な道でした。

ただ、現在は件の土砂崩れの影響で通行止めになってしまいました……と思いきや。

土砂崩れのさらに手前で重大な問題が発生していました。

突如として現れる、巨大な落とし穴。

道の半分を通行不能にするほど大きなその穴は、道が路盤ごとゴッソリ崖下に落ちた致命的な崩落でした。

こちらも、恐らく復旧はされぬまま放置される運命でしょう。

本来は誰も通らない道なのに、A型バリケードが設置されているだけでもありがたいことかもしれません。

落とし穴崩落の先も倒木ラッシュで廃道化が急速に進行していました。

車両が通らなくなった道はあっという間に荒れ果てていきます。

路面も草の海です。

靴やズボンに引っ付き虫系の植物の種子が大量に付着して大変でした。

あまりに写真が多過ぎるので割愛していますが、幾多の倒木と草の海を越えました。

そして、ついに……

土砂崩れの反対側へ到達しました。

どちらから眺めても「復旧は無理だな」としか思えませんでした。

復旧は無理です。

もし復旧したら鼻からスパゲッティ食べます。

というわけで、改めて八百津ゲートへと戻って来ました。

ここからは再び恵那市へ向けて東進します。

この区間は大半が恵那市域にある上に簡易的な舗装もされているので、厳密には「八百津ダート」ではないのですが、国道418号八百津〜恵那区間の中では最も「酷度」の高い道と対決出来ます。

上の写真は、道の両側から木々に侵食されて埋もれつつある国道の姿です。

倒木も当然のように出現します。

跨げば越えられる倒木は、障害物としては草の海や藪漕ぎの5倍は良心的です。

国道と言えども万年通行止め区間になると、えげつないサイズの落石が道の真ん中に堂々と鎮座しており壮観です。

3年前の記事でV字倒木を目撃した地点までやって来ました。

V字倒木はインパクト抜群の光景でしたが、翌年の時点で綺麗に撤去されて跡形もありませんでした。

この区間も最低限の維持はされているようです。

あまりにも倒木を見過ぎてこの程度なら何とも思わなくなってきました。

倒木不感症ですね(倒木不感症って何?)。

しかし、そんな自分でも驚くような光景を見せてくれるのが国道418号です。

「道は荒れてるけど、なんだかんだ笠置ダムまでは行けるだろ」などと余裕をぶっこいていたら

いきなり、これですよ。

思いっきり崩落しとるやんけ……

というわけで、今回の走破はここで終了です。

崩落地点はこちら→GoogleMapリンク

笠置ダムまであと数キロの地点でした。

非常に悔しいですが、さすがに崖っぷちを歩くほどの度胸は無いので……ヘタレでごめんなさい。

国道418号と岐阜県道352号の分岐点。直進する1車線の道が国道、左に分岐する0.5車線の道が県道。

国道418号は崩落ラッシュでボロボロでしたが、ついでに名脇役の岐阜県道352号大西瑞浪線の現状も確認しておきましょう。

見づらいですが、写真の左下に起点のキロポストがあります。

登山道に毛が生えた程度の道幅しかありませんが、かつては車が通行していた……とのこと。

少しだけ道っぽくなってきましたが、道幅は相変わらず狭く、原付と人が並んでギリギリというレベルです。

木々の隙間から赤い吊り橋が見えます。
岐阜県道352号大西瑞浪線の象徴、深沢峡の五月橋です。

崩落を慎重に越えつつ五月橋を目指します。

いよいよ、五月橋が目の前に……!

橋の上からの絶景を皆さんにお届けするつもりでしたが……。

残念ながら、完全に封鎖されていました。

GoogleMapのレビュー等を読む限りでは昨年の時点で既に封鎖済みだったようです。

フェンスの隙間から撮影。

対岸の瑞浪市側も整備状況は登山道レベルでしたが、現在は新丸山ダム建設に伴う水没補償の一環として新五月橋の架橋を含む県道の改良工事が進行しています。

改良工事により、五月橋と並ぶ深沢峡の名所「廃茶屋いさまつ」へのアクセスも不可能になってしまいました(建物は残っています)。

工事の進行と相次ぐ崩落により「名目上の通行止め」から「本物の通行止め」に変化しつつある国道418号八百津〜恵那区間。

興味のある方は、安全対策を充分に行った上で自己責任で走破にチャレンジしてください。


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