トレーナーになるために必要な知識と資格

10年以上トレーナーを目指す学生(大学生・専門学生)向けの勉強会をやってきました。参加者はのべ1万人超。そこでよくもらった質問が『トレーナーになるために必要な知識』と『トレーナーになるために必要な資格』に関してです。
結論から言うと、知識はあって当たり前。資格がないと勝負の土俵に登れない、ということです。

トレーナーになるために必要な知識

解剖学と生理学がトレーニングでも治療でも基礎基本です。これが分からないときちんと指導が出来ません。日本語だと『あいうえお』、英語で言えば『ABC』がここに当たります。
多くの学生さんが特殊なテクニックや指導方法を学びたいと感じているようですが、そうではなく基本が大事です。学校で必ず学ぶ内容が大事なのです。
youtubeなどで運動を教えている動画がたくさんありますが、解剖学や生理学を無視したようなマズイ動画もあります。youtubeで学ぶのではなくきちんと学校で学ぶことをオススメします。

解剖学や生理学以外にも『心理』の知識は必要だと思います。心理学を学問的に学びましょう!というのではなく、相手の気持ちを考えられる人にならないとトレーナーとしては成長できません。選手だけでなく監督やコーチの気持ちも理解することが求められます。
専門知識ばっかりの頭でっかちになるのではなく、人の気持ちのわかるバランスの良さがトレーナーには求められます。

あと最後にスポーツ現場に出る時に必須の知識があります。『心肺蘇生法』です。万が一に備えているのがトレーナーです。万が一に備え、きちんと緊急対応できるようにしておいてください。

トレーナーになるために必要な資格

トレーナーをメディカルトレーナー(治す人)とフィジカルトレーナー(鍛える人)と分類したとします。

メディカルトレーナーを目指すのであれば、『柔道整復師』『鍼灸師』『理学療法士』などの医療ライセンスがあったほうがいいです。無資格でも出来ないことはないですが、メディカルと名乗るのであれば医療系の国家資格を取得していたほうがいいです。
ちなみに急性外傷(骨折や捻挫など突発的に起こるケガ)の対応であれば柔道整復師が強く、慢性的な痛みの治療であれば鍼灸師が強いイメージです。理学療法士は医師の指示の下、治療を行う感じです。急性外傷の多いスポーツのトレーナーになりたいのであれば柔道整復師がいいですし、そこまで多くないのであれば鍼灸師、理学療法士でもいいと思います。

フィジカルトレーナーを目指すのであれば基本的に民間資格です。一番スポーツの分野で大きい団体は『NSCA(NATIONAL STRENGTH AND CONDITIONING ASSOCIATION)』です。それ以外には『JATI(日本トレーニング指導者協会)』というのもあり、こちらも大きな組織です。
フィジカルトレーナーになるのであれば、これらの資格を取得すると仕事をする時に少し有利です。(あくまでも少し有利という感じで、これらの資格があると必ず仕事がもらえるというものではないです。)なくても十分に仕事に就くことは可能です。僕自身はこれらの資格を持っていませんでしたが、スポーツチームの仕事をいくつも担当していました。もちろん資格があったほうが有利だったかもしれませんが。
資格はなくても仕事はできる。資格があって損をすることはない。フィジカルトレーナーに関してはそんな感じです。

AT(アスレティックトレーナー)はどうなの?とよく聞かれますが、医療資格でもなくトレーニング系の資格の中間のような学びをする資格だと思います。医療資格ではないので治療が出来ないのがネックな資格です。なので医療ライセンスと一緒に取得するとできることが増えていいかもしれません。日本代表クラスやJリーグなどはATと医療ライセンスの両方を持った人が多いのが現状です。

ぶっちゃけると

僕は資格はほとんど持っていないです。大学や専門学校の先生もやっていますが、何でも知っているほどの知識量もないです。
でも、仕事がなくて困ったことはありません。逆にお断りすることのほうが多いくらいです。
知識が多ければ多いほどいいトレーナーになれるわけではありません。資格が多ければ多いほどいいトレーナーになれるわけでもありません。最低限のレベルを超えれば、あとは個人の勝負です。ただ最低限を超えられないと勝負にさえなりません。

高校生の僕にアドバイスするなら

フィジカルトレーナーなのかメディカルトレーナーなのか決めかねているなら、医療資格を取るように勧めます。医療資格は独立開業のできる柔道整復師か鍼灸師がいいと思います。(理学療法士は独立すると、理学療法士の資格を使っての仕事ができません。)医療系の学校に進んで、フィジカルのことも学校外で学びます。おそらくほとんどの医療系の学校ではフィジカルのプロトレーナーがいないのできちんと学べません。そこは外部のセミナーや勉強会で学ぶ方が効果的です。

もしくは体育大学に行って、すごいアスリートたちに囲まれて4年間過ごす。3、4年生になった時に柔整か鍼灸の学校とダブルスクールで通う。
ただこれをやるには2回学校に行くことになるので800万円くらい必要ですね。

やはり最短でトレーナーになるなら医療系の専門学校に行き、外部でも勉強する。これがいいかなと思います。

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