令和の悪魔「鈴木もぐらという害虫」

盗っ人猛々しい…

この言葉を体現する男が令和の吉本興業に1人いる。

空気階段・鈴木もぐらという害虫だ。

筆者のお笑い芸人としての2年後輩だ。

人を害虫と呼ぶと普通は罪悪感が芽生えるものだがこの男に害虫と言っても全く罪悪感が芽生えないどころか褒め言葉にすら感じる。

なぜなら害虫としての人生を楽しんでるからだ。

まず彼を語る上で欠かせないスパイスは何と言っても借金だ。借金額およそ700万。正直、嘘かほんとかわからないし本人のだらし無さを見るに全て把握してるか謎だ。

別に借金をする事が罪じゃない。返す意思もなければ悪びれるそぶりも無い、貸してくれた人間に誠意を持って接する気持ちも正直感じられない、それが問題なのだ。

奴に良い仕事が入って一時的に金ができた時に金を返せよと言っても「俺が金を借りた同期の芸人は実家が質屋で大金持ちなんです。質屋ってのは人の涙を金に変えてるとんでもない仕事です。だから僕は返さなくていいんです」と全く聞き入れなかった。お笑いのノリだと信じたいが目は血走っていた。

基本、素直で良い奴で人には怒らないし、意外と大阪芸大卒のインテリなので博識で独特の魅力がある。醜い体型だが運動神経もよく卓球も強いし、将棋に至っては芸人で1番強いかもしれない。なんだろう?タモリ倶楽部の様な男なので公私共に芸人ウケとお笑いマニア受けは抜群だ。ネタも相方のおかげもあるが抜群に面白い。

ただ何故か徹底した反論癖がある。9:1でも自信満々で反論してくる。常に自分が借金している事を正当化する為のアンサーを探し言葉の狭間を彷徨っている。

生い立ちは複雑で家庭は破綻して父親はフィリピン人と駆け落ちして、母親の再婚相手は極道だった。面白いので銃で撃たれて死んだ事にしたが実際は病死で母子家庭で育ったので生活は苦しかった。

正直、生い立ちだけ聞けば皆が同情するし、ボクシングの世界チャンピオンになっていてもおかしくないほど反骨のもぐら少年の物語だが本人はわりとあっけらかんとして特に実の父を恨む訳でもなく、それなりに人生を楽しんできた。彼の魅力として悲壮感がないのだ。大阪芸大もギャンブルで勝った金で授業料を払い、ギャンブルに負けて中退した。

借金に話を戻すとかつて吉本興業にはそんな人間ばかりだった。しかし、時は移ろい法整備が進みコンプライアンス厳守の世の中で破天荒な借金王は令和の若手お笑い界で岡野陽一と鈴木もぐらだけになった。

岡野陽一と鈴木もぐらは仲良しだ。類は友を呼ぶを体現している。ただ岡野は歪んだ美学がある。

"遺伝子は残さない"

自分勝手気ままに生きる代わりの代償としてその誓いを立てた。立派かどうかわからないし一般論では勿論ないが芸人という特殊な立場上、賛同する部分もある。

そして、もぐらの盟友岡野陽一が唯一もぐらを軽蔑しているのが…もぐらは遺伝子を残してしまったのだ。

子供が産まれたことを祝福できないほど我々は鬼畜ではない。ただクズお笑い芸人鈴木もぐらを己の勝手かもしれないが可愛がり至近距離で見てきた者にとって心から喜べなかったのは事実だ。

(大丈夫なのか?)

(行くとこまで行っちまったな…)

(それをやっちゃあおしまいよ…)

子供に何も罪はないし、会えば可愛がると先輩として誓った上で俺は子供が出来たと聞いた時に呆れてしまい本気で説教した。

「子供なんて金が無くても勝手に育ちますよ!俺がそうですもん」と冗談の様に反論されたのでちゃんとした強さのゲンコツをくれてやった。ハゲたおっさんが太ったおっさんに本気で怒り、ゲンコツをくれる様は競輪場でしか見た事がない。

他の芸人達はもぐらに甘い。そりゃ遠目に見れば芸人専用の破滅型エンターテインメントで痛快だからだ。

(もっとやれ)

(もっとやれ)

もぐらはそんな下には下がいると思いたい芸人達が創った化け物なのかもしれない…

皆、ファンタジーとして見てしまうしクズ芸人もぐら自身もファンタジーとして見て欲しいのかもしれない。ただ近ければ近いほどシリアスに見てしまう…

ザ・ノンフィクションをテレビだからまだ見てられるのだ。近しい場所にいたら…

(こいつのガキはどうなってしまうのか…)

俺が悩む事ではないのだが芸人の先輩後輩というのはうまく説明できないが生死を彷徨った戦友の様な特殊な絆がある。

そして、俺は子供が産まれてからもぐらと少し距離を置いた。

意味はないかもしれないし、アイツからしたらただ飯をご馳走してくれる人なのかもしれないが俺が距離を置く事でもぐらに意識革命と覚悟をもたらしたかった。

時は経ち、子供の成長は待ってはくれない中、ファンタジーに考えれば面白いのかもしれないが、シリアスに考えれば考えるほど予断を許さないもぐらの状況は多少、好転してきた。絶対に辞めないと思っていたギャンブルをほぼ辞め、昼夜問わずバイトをして芸人としても名を上げてきている。ただ細い糸を手繰り寄せている繊細な作業の段階ですぐに気を許せば呆気なく切れてしまう。相変わらずタバコは辞めてないし、クズのガン細胞を完全に取り除く事はできない。

子は親を選べない。クズ芸人鈴木もぐらの息子として産まれた事をコンプレックスにおもい、芸人という職業を恨んで欲しくない。

お節介だよな…

関係ねえもん

ただ、なんかほっとけねえんだよなぁ…

こんな人間にこの世界に入らなければ出会わなかったもの。幸か不幸かわからんけど。

だから俺はこれからも令和の悪魔「鈴木もぐらという害虫」を温かく冷やかに見守りたいと思う。

もぐらの息子の幸を願いながらね。

ソーシャルディスタンスを保ちながら見ればクズ芸人の生き様は面白い。ただクズ芸人の内側で笑えない苦しみを味わってる人もいる。

人間ってのは表裏一体。

クズ芸人を経過観察してる貴方の中にも鈴木もぐらという害虫が潜んでいるかも(笑)


#キナリ杯



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