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今では『贅沢仕立て』もあるらしい

月に一度の“なかよしタイム”があったので疲れた。
なかよしタイムとは、


『小学1年生から6年生までが2人ずつ・計24人で形成されるグループで遊ぶ』


というものだ。

今日の遊びはドッジボールだった。
小学5年生にもなると、低学年にフルパワーで投げることはできない(明確なルールはなかったが、暗黙の了解だった)


ただ、手加減し過ぎては負けてしまうし、高学年には全力を出し切らねばならない。
絶妙な力加減の調節を求められるという別の意味で疲れる時間だったのだ(楽しかったけど)


「ただいま―。帰ったよぉ」
「おかえりぃ」


腹を空かせて帰ると、調理の音が聞こえた。
ランドセルを置き、台所に入ると白く輝く小袋の3個束が机の上に置いてある。

これはッ!!


マルシンのハンバーグだ。



母がちょうど焼き始めるところだったので、見学することにする。
先生に、


「見学は、『見』て『学』ぶことや。ボーっとしとったらあかんよ」



と言われたことがある。
マルシンのハンバーグの偉大さを調理過程から学んでいこうと思う。

袋から取り出して観察すると。ハンバーグは全体が固形状のラードで覆われていた。
このラードにより、油を引かずに焼くことができる。
母の負担が減るのは、息子としても嬉しい。
調理する人のことまで考えているとは・・・・・・。
考案者はきっと思いやりのある人だろう。


加熱により温まったフライパンにハンバーグを安置すると、ジュウジュウと音がする。
ある程度焼いたらひっくり返し、裏面を焼きにかかる。



マルシンのハンバーグは、それぞれの面で焼き方を変えることができる。
この点も他のハンバーグにはない魅力だ。
片面は、焦げ目を多くする。
もう片面は、ほどほどに焼く。
この焼き方の効用は食べる時にご説明したい。


袋から出す→フライパンに置く→ひっくり返す
これだけで作業は終わり。

簡単である。

今日の献立は、白いご飯、具だくさんのみそ汁、マルシンのハンバーグだった。


ハンバーグは、小学4年生くらいから2枚提供されるようになっていた。
マルシンのハンバーグに何をかけるか?
これが重要
である。


シンプルに塩コショウというのもよいが、今回はケチャップとマヨネーズを混ぜたオーロラソースにした。



ケチャップとマヨネーズをそれぞれ直接ハンバーグの上にかける。
箸でグルグル混ぜると、赤と白がマーブル模様になり美しい。
マルシンのハンバーグをナイフとフォークで食べるのは邪道だ。


かぶりつくのが正しい。



均整のとれた楕円形のマルシンハンバーグが、かじられたことで変形する。
いびつとなったハンバーグの形をなぜかしげしげと確認し、そっと皿に置く。

かじったハンバーグを咀嚼するとき、さきほどの工夫した焼き方が活きてくる。


焦げ付いた片面ではカリカリとした食感を楽しみ、ほどよく焼いた面ではマルシンのハンバーグ独特の肉肉しい味を堪能するのだ。


オーロラソースは本来ならばケチャップとマヨネーズの割合を1対1にして作る。


だが僕はマヨネーズをやや多めにするのが好きだった。
あの少しすっぱい味が、どういうわけかハンバーグに合う。
ハンバーグが消えてなくならないうちに、ご飯をかっこむ。
白いご飯がハンバーグの塩気とマッチし、いくらでも食べられそうだ。


スカスカだった胃袋も大いに喜んでいる。

肉ばかり食べていると怒られるが、野菜たっぷりのみそ汁もあるので問題なかった。
ハンバーグ、ご飯、ハンバーグ、ご飯、みそ汁という流れで栄養バランスよく食べていたと思う。


なかよしタイムで疲れていたはずだが、すっかり回復し、午後からは友達の家に遊びに出かけた。


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