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世界を廻すベアリング

最近 日本精工の株を購入しました。日本精工と言えばベアリングの会社で世界3位の日本企業です。皆さん「ベアリング」自体は、一時期流行したハンドスピナーも記憶に新しく、良くご存知だと思いますが、ベアリングは「機械産業のコメ」と呼ばれているのはご存知ですか。よくよく考えると分かるのですが、この世界(我々が住む宇宙)はあらゆるものが回転しており、この回転エネルギーを上手に活用してモノが動いているわけです。ちょっと話はそれますが、ジョジョの奇妙な冒険 第7部の「スティール・ボール・ラン」にも、この回転エネルギーについて描写されているのですが、漫画とはいえ、この世界を動かしている原理を良く捉えているなぁと感心しました。要するに、この世は回転しているわけです。その偉大なエネルギーを上手に伝達させてモノを動かす為には、このベアリングが必要であり、「世界を廻すエネルギーを効率よく伝動する為のパーツ」ということ。結構地味なパーツですが未来を創り出す可能性に溢れた不思議なベアリングを生産しているのが日本精工のような企業なんです。

キャプチャ

ベアリングの世界ランクと勢力図

1位 SKF (スウェーデン)2位 シュフラ―( ドイツ)3位 日本精工(日本)という順位になっており、ベアリングの主要用途は「車」なので今後、世界に車が多く生産供給されればベアリングの需要は必然的に高まります。車が爆発的に増加するのは「モータリゼーション」、すなわち車が「生活必需品」になり大衆に広く普及するタイミングなのですが、これからモータリゼーションが進むのはどの国なのでしょうか。例えば東南アジア、既に首都圏では渋滞は日常茶飯事ですよね。今後、インフラの整備が進めば、より郊外に同じような現象が拡大しそうな気もします。生活は経済発展とともに豊かになるので、車を求める人たちは増えるのではないでしょうか。ドライブスルーが作られ始めているのもその兆しですよね。大量に人口を抱える中国やインドも益々車の生産数が伸びる予感がします。図にあるように、日本精工の売上シェアの半分はアジア、半分は欧米ですが今は「アジアの時代」なので、アジアで強い販路を持つ企業がシェアを伸ばしていくのではないかと思っています。もう1つ大きなターニングポイントになり得るのではないかと考えているのが「コロナショック」による各国の「Disengage」の流れです。特に米国は関税で障壁を作り、中国からの輸入品に対する追徴課税等、モノが自由に売り買いされる自由貿易がやりづらくなるはずです。この傾向はEUでも同じですね。冒頭に記載したベアリングトップのスウェーデンやドイツ企業は今後アジアでの売上を伸ばすことが出来るのでしょうか。マーケットの分断は勢力図を書き換える要素になるのではないかと思います。

図2

EV普及でベアリング需要は減るのか

車1台当たりに使われるベアリングの数は約100~150個必要と言われておりますが、実は今後普及が進むであろうEV車の場合、使用されるベアリング数が半分以下になるとも言われています。

図1

ベアリングの主戦場は自動車ですから、使用されるベアリングが半分になれば、それだけ大きな金額が縮小する可能性があり、ベアリング産業は将来苦境に立たされることになるかもしれません。この点、皆さんはどう思いますか。私はそれでも需要は伸びると思っています。ベアリングの正体が「世界を廻すエネルギーを効率よく伝動する為のパーツ」であるのであれば使用用途は変化するものの、ベアリングが消滅する世界が訪れることはないというのが私の考えです。motion for emotion 日本精工の経営陣には世界を変えるような新しいベアリングを創造してくれることを期待しています。数年後が楽しみですね。

NSK株価


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