Tabloid Revue。たぶん其の三。もしくは番外編。

赤坂でのTabloid Revue、残り4公演となりまして。
満員御礼とは参りませんが、当初の予想よりも多くのお客様においで頂いて。ほぼほぼ有り難い空間での公演が続いております。
関心を持っておいで下さった皆様に感謝です。
*まだまだ、お越しをお待ちしております☆

ショー(レビュー)作りは、本当に色々と厄介で。
でも、好きだから仕方ない。で、この公演も取り掛かったのですが……制作を手伝って頂いているとはいえ。の部分もあり。
ま、そんなこんなは舞台裏のことでござんすよ。

ただ、まぁ、こんな自分勝手な作り方のショーなんて、今度いつ出来るのやら。です。
もちろん依頼されて作る舞台も喜びがいっぱい溢れておりますが、思われているほどには自由に作ってはいないのですよ。いや、むしろ依頼主に対する誠意と務めがありますから、ちゃんと斟酌しているのです。これは劇団時代も変わらずで………なんか好き勝手にやってるな、と思われていたフシもありますが・笑、ワタクシ的には頭を悩ませ、組織の為に、関わる皆々の為にバランスばかりを考えて作っていたつもりなのでございます。
でも自由気儘に見えていたのでしょうかね。ま、それが業というものでしょうかね。そして、作り手としては、悪い事ではないんでしょうかね。

さて自分勝手では無いと言った上でのことですが。
自分は余りイベント物とかコンサートで、自作の曲とかを入れたい人ではないのです。お申し出があれば、お断りはしませんが。自分から言うのは厚かましい気がして。
そんな自分的タブーを破ったのは三回ほど。

ひとつは、安蘭けいさんコンサート『箱舟』で、ゲストの浦井健治さんに『Blues Requiem』を歌ってもらった時。その公演で瞳子に歌ってもらうのは、(それまで何度も歌ってくれていたので)ちょっとtoo muchかなぁ、と&まぁ、健ちゃんなら良いかな(偉そう)、と。

二回目は、『DREAM, A DREAM』で。わたるに『ロマンチカ宝塚』フィナーレでの曲を歌ってもらい、続けて羽純るいちゃんと南海まりちゃんに『夜明けの天使たち』の曲を歌ってもらった時。
自分のデビュー作である『夜明けの天使たち』、この地上☆で二度と歌われる機会なんてないだろうし、100周年向けてのプレOGイベントである『DREAM, A DREAM』は、僕にとって「宝塚」というものと向き合う最後の機会だろうな……と思っていたので、お別れの意味合いも込めて、図々しくも組み入れてしまったのですよ。
羽純さん……にゃんがいた事も大きいですねぇ。仲間としても、娘役の生き様というものを考えるにあたっても、僕の宝塚人生前期で、とても大事な人でした。
『夜明け……』はトリプルヒロイン(さえちゃん版はダブルヒロイン?……音子もいれたらトリプルか)でしたが、にゃんはその一人。あだっぽく黒っぽい女性の役。
わたるがいて、にゃんがいて、魔が差したんですねぇ☆。
ある日の稽古場の、もう終了間際にステージングを付けて。最初にピアノでやった時。もう、僕もにゃんも、わたるも号泣で・笑。南海ちゃんゴメンね状態でした。込み上げてきた、僕たちの1997年の、あの季節。過ぎて戻らぬ26歳の自分が一瞬からだの中を通り抜けました。

さて三度目となりますのは今回です。
彩乃かなみさんに歌ってもらっている『A-"R"ex』の曲。
もう自分が宝塚を辞めると決めてから取り組んだ作品の一つである『A-"R"ex』は、本当に思い出深い作品です。自分が宝塚を巣立つにあたって、どんな作品にするべきか悩みました。結果、自分の世代が持っている感触(小劇場体質と中二病気質?・笑)の成分を多めに、何とか宝塚風味と融合させられないか、と。いらない挑戦だったかもしれませんが。
色々と長めのサブタイトルや曲タイトルは、その方が中二っぽいかなぁと浅はかな考えでしたね。(あと、さとる先生の長いバウ作品タイトルへのオマージュ……ではありません☆)
青木朝子さんが作ってくれたヒロイン・ニケのソロ曲と、そこからアレックスのソロ曲を経て繋がっていくデュエットが本当に素敵で。曲が出来てから、物語の締め括りを、その曲のリプライズにする事を決めました。
そして、歌ってくれたミホコが(アサコも)本当に素敵で。
ミホコとは、在団中に演出家としてそんなに縁があった訳ではありませんが、劇団のことです。自分の作品でなくとも、演出助手だったりナンヤカンヤで関わりはあるのです。そして、前述の『DREAM, A DREAM』だったり、『マディソン郡の橋』だったり。そして『不徳の伴侶』。ある意味、念願だったメアリー・スチュアートを演じてもらい、何だかOGさんの中でも近しくなりました。
ですが、我々は目に見えぬ運命、或いはプロデューサーさんの思惑や算盤によってしか出会いは叶いません。
もしかして、ミホコとこうして一緒に舞台を作るのも最後になるかも(誰に対しても、何時でも、そんな風に考えるネガティブ思考の私です)……と。
そう思うと、あのニケの曲をもう一度聞いてみたい、と我儘な心が我慢できなくなりました。
そうそう、原タイトルが長いので「ニケ」とだけ呼んでいます。
自分自身のタブーを破って、作品を私物化した瞬間なのです。ここに懺悔するのです。どうしても、『A-"R"ex』を知らない方々にも、青木さんの名曲とミホコの歌声を分かち合ってもらいたかったのです。

劇団仲間でも、再び巡り逢えるかどうかは偶然の賜物でしかありません。彩乃さんと、このところ御一緒出来たのは有り難い事でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?