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【ファイアーエムブレム エンゲージ】画力(えぢから)と非常識の力であなたを過酷なシミュレーションRPGの荒野に誘う傑作
ファイアーエムブレムは本気で作られている
ファイアーエムブレム エンゲージ……わたしはタイトル名を間違えるとどこからともなく出現して手槍で殴ってくるというファイアーエムブレム警察が怖いのでファイアーエムブレムは以下FEと表記するが、初報のPVを見た時点では正直、このゲームをナメていたフシがある。当時の自分にはFE風花雪月の遅れたブームがやって来ており、学校教師となり教え子同士が戦争で命のやり取りを行うサツバツとした世界に生きていたので、FEエンゲージのあのキラキラとしたキャラクターや指輪に宿る英雄と合体(エンゲージ)して戦うヒーロー番組めいた演出、「鉄の剣」ではなく「てつの剣」といった表記に「ほ~、なるほど、新作は、まあ、いわゆる、お祭り的なやつですね」と眼鏡をクイクイと上げるしょうもないインテリ野郎のような態度で傍観していた。つまり、ナメていたのだ。だが開発のインテリジェントシステムズはゲームを本気で作っており、伝統あるシリーズを自信を持って販売している任天堂も当然、本気である。ナメてなどいない。
あまりにも絵面が良い
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わたしが本作で最も開発の本気度を感じたのはキャラクターの3Dモデルの完成度の高さだ。Mika Pikazo氏がデザインした派手でイカしたキャラがイベントシーンや戦闘アニメだけではなく、ステータス画面の所謂「顔グラフィック」にまで顔だけじゃなく全身像の高品質3Dモデルが使われておりとても華やか。カーソルを合わせるとキャラにふさわしいポーズをとってくれるし、戦闘前の武器を構える時にもキレのいい動き(これとっても好き)をしてキャラごとに表情がキリッとしたりニヤリとしたりと個性が発揮されている。そんな個性が強いキャラが仲間だけでも40人以上、当然敵やモブキャラも全て手抜かりの無い強力3Dモデルで仕上げている。いかにキャラクターを魅力的に見せてやろうかという開発陣の本気のこだわりに、わたしは必殺の一撃を受けたのだ。
【New!】
— CGWORLD.jp (@CGWjp) November 20, 2023
"実在感"のあるルックでキャラクターを魅力的に見せる『ファイアーエムブレム エンゲージ』https://t.co/3qjrz35ery #CGWjp #FEエンゲージ
Mika Pikazo氏デザインによる色鮮やかなキャラクターを軸に、初採用のUnityで挑んだその開発について、インテリジェントシステムズに聞く。
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戦闘アニメのクオリティも極めて高く、格闘ゲームのようなダイナミック&スピーディーさがあり、プレイ中に何百回も見ることになるが飽きが来ない。剣士のキビキビとした気持ちのいい体捌き、重量の乗った斧を叩きつけて地面が抉れる、攻撃を回避したときの刃物がかすめ通るような効果音、倒されると絶叫してめちゃくちゃに吹っ飛んでくれる敵……。アニメはOFFにできるがこれをOFFにする人はあまりいないんじゃないだろうか。
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ユナカ氏の格好良すぎる立ち回り。二段回し蹴りを避けながら背後を取る所作は美しく無慈悲。この素晴らしいモデルとモーションはシミュレーションゲームだけにしておくにはもったいないですよ #FEエンゲージ #NintendoSwitch pic.twitter.com/uZi8BPVjxV
— Onigawara316 (@Onigawara316) August 22, 2023
エンゲージ斧専用モーションの斧グルングルンしてから突進するやつ、余韻のズサーッまで美しい #FEエンゲージ #NintendoSwitch pic.twitter.com/IPgYYTUveQ
— Onigawara316 (@Onigawara316) December 28, 2023
わたしは初報PVの後に出た「はじめてのファイアーエムブレム」のPVを何気なく見て「エッ、こんなカッコいいVtuberみたいなキャラが戦闘アニメどころかその前の戦闘結果予測の所でも武器構えてキリッとポーズとっててすげえイカしてるし表情も付いてる!スゴイ!」となぜか初報PVでは受けなかったビジュアルショックを時間差攻撃で喰らってどうかしてしまい、まだ知らないシステムとかエンゲージとか色々あったが気付いた時には既にカタログチケットの半券を叩きつけて予約購入していた。絵面が良いだけで買ってしまったのだ。絵面の良さはモノを選ぶ動機としては十分であり、わたしが本作を600時間以上遊んでいる最大の理由はカッコいいキャラクターがカッコよく動くから、というシンプルなものなのだ。
非常識パワーで手強いシミュレーションを乗り越えろ
ゲームを始めて数分で本作最大のシステムであるエンゲージを体験させられる(最近のゲームは目玉のシステムを出し惜しみせずにいきなり体験させてくれるものが多くなっている気がする)。あなたは指輪に宿るFEシリーズのキャラ「紋章士」とエンゲージ合体し超人的な力を得る。コスプレ戦士になるだけではなく、紋章士ゆかりの武器やスキルが使用可能になるほか、移動距離が非常識なほど増えてマップの半分ぐらいを進んだり、射程距離が非常識なほどある攻撃を5発叩き込んだり、戦闘中にガチャを回してユニットを召還したりとやりたい放題な必殺技まで使えてしまう。ストイックな印象があるシミュレーションゲームの世界でとんでもないことをしておりゲームバランスとか大丈夫なのかと思うほど強力だが、FEはご存じ手強いシミュレーションであり、計算された配置や圧倒的物量で攻めてくる敵軍勢にはそのぐらいやってもいいのだ。開発陣の極めて絶妙なバランス調整の賜物だろう。
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ファイアーエムブレムは怖くない
FEはシミュレーションRPGというジャンルの代表作だが、このジャンルは2023年現在、どれほど生き残っているのだろうか。今度発売されるアトラス社とヴァニラウェア社の強力タッグ作品であるユニコーンオーバーロードとか、スパロボとか、あとはインディーで少し確認できるぐらいか。90年代の半ばから後半あたりにはシャイニングフォースやFEDAとかいろいろあったが……今やジャンルとしてはマイナーであり、荒野なのかもしれない。だが任天堂は常にマジなので、難易度が高く、人が死んでロストし、タイトルを間違うと怒られる恐怖のゲームであるFEをはじめて遊ぶ人に向けてやさしく紹介する動画を出し、高めの難易度もノーマル設定なら盤面を巻き戻すアンドゥ機能的なシステムが使い放題、FE名物の人が死んでロストもカジュアルモードにすれば次のマップで復活する。エンゲージすれば非常識パワーで困難をいくらでも打開できる。「ほら、こんなに凄いパワーがあればキミにもこの難しいFEが出来そうだろ?やってみようぜ!」と、シミュレーションRPGの過酷な荒野を歩む助けをこれでもかと用意し、厳しさがあるゲームではあるがFEを恐れないでほしい、と貪欲に新規ファンを獲得しようとしているのだ。まあ正直ちょっとこれはどうかしらと言いたいところはあり、確認したい肝心な箇所が見にくいUIとか支援会話とかの引き継ぎ要素の無さとか経験値やお金稼ぎ戦闘である遭遇戦の敵が容赦無い全軍突撃をしてきて本編より数段厳しいの辛くない? とか、いろいろある。闇のネット世界であれこれ言われがちなシナリオのうんぬんやキャラクターの味付けの濃さに関しては個人的にはこのぐらいどうってことは無いのではと思った。指輪を集めて悪いやつを倒すぜ、ってぐらいシンプルなお話で丁度良いのでは。前作が特別にハードな戦記ものだったわけだし……それはともかく、わたしはこの時代に本気で作られた本気のシミュレーションRPGである、ファイアーエムブレムエンゲージを本気で評価する。こいつは、2023年の最強ゲームだ。
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