火星人襲来―その7

メンテと休息のため、1週間に一度スイッチを切られ自分たちは微動だにしなくて、そのまま1日を迎えることに対して、ジョンとメアリーはだんだん恐怖心を抱くようになってきた。

それに、自分たちが到着してからの年間の工程表は脳内にきっちり収められていたが、人間の住める空間(住居)と食料等の貯蔵庫をを3ヵ月かけて完成しても、工程表は送られてくることはなかった。

ただ時々建設資材を積み込んだロケットが到着して2体のアンドロイドの脳内に組み込まれた設計図の通り普通の家族が住めるような住居の建設を進めていった。

第一陣のクルーが8ヵ月ほどかけて火星に到着するという連絡を受けてから、ジョンとメアリーは自分たちが一体どういう風になっていくのか真剣に考えるようになってきた。第一陣のクルーは200人ほどで、火星探査のための調査員、建設会社の社員、労働者と雑多な人間の寄り集まりだった。出発前のニュースでは、地球上で、彼らが火星に到着する初めてのクルーと大々的に伝えられていた。ジョンとメアリーの件は一切触れられていなかった。

3メートル、500キロの重さの、ロボットとしても規格外の自分たちがなぜ作られたのか、ジョンとメアリーは徐々に理解していった。

酸素のない火星、水も食料も必要のないアンドロイド、24時間働くことができること、それに重力の関係で自分たちの大きさがちょうど作業するのには適していること等。初めて送り込まれて、貯蔵庫、住居を建設する創造物としてはこれほど自分たちに適したものはいない。

自分たちの仕事は全く無視されていることも疑問の一つだった。最も恐れているのは、初めてのクルーが到着する前に何らかの形で、自分たちアンドロイド2対が痕跡のないような形で破壊されるのではないかということだった。ジョンとメアリーは作業をしている間は、ほとんど会話を交わさなかった。ただ時々共同作業をするときには声を殺すようにして話をした。どんな形で自分たちの会話が漏れているかもしれないからだ。

プログラミングされている言語の中でめったに使われない言語を使うようにしていた。ジョンもメアリーも自分たちを構成している設計図を探しているようにしていたが、ロボットの情報は、ほとんど消去されていた。ジョンが初めて突き当たったのは、ロボットの情報を消去する方法という項目で、それに付随して、復元の方法という項目に突き当たり、自分たちの情報をすべて復元することができた。1週間の1日の休息時に指令センターに自分たちは微動だにしていないという連絡を送り、その一日の休息を使ってジョンとメアリーは地下壕を作り出した。未解決になっている自分たちの体に仕掛けられている自爆装置は人間のクルーが到着する一日前に発見することができた。

相野ロボット工学研究所の影の理事長山本タカシは身分を隠してクルーの中に混じっていた。希少な言語を使って、会話をしていくジョンとメアリーが何かを企んでいるのではないかという疑問を持ったためだった。

                          ー続くー

全く好評ではないためにこの物語を終わりたいのですが、一度書きだしたものは必ず終結させるという、他人迷惑な信念があり、最後まで書いていくようにいたします。









ドイツ生活36年(半生以上)。ドイツの日常生活をお伝えいたします。