幼い朝に始まるお鍋コールをどうにかしてほしい

 夜勤6時、幼い朝を屋上で見上げた。鼻をツンと刺激してくる冷たい空気。キンキンに冷えてやがる。ふぅーう、なんだろうか。とても、お鍋が食べたくなった。

 お鍋、お鍋、お鍋。ほっかほかでじゅわじゅわなお肉。しなしなの野菜。こんにゃくもうまい。具材の味が滲み出たスープ。まだまだ帰れないというのに頭の中で元気よくお鍋コールが始まってしまった。

 「お鍋!お鍋!ONABE!」

 わー、うるさいうるさいうるさい!
夜勤だと帰るのは残業もあって昼過ぎになるだろう。苦しく、長い戦いのゴングが鳴り響いたのだった。

 「ミルフィーユ、おでん、すき焼き、あゝ…ホームシックナイ…」

 仕事場に戻って鍋を洗いながらぶつぶつ呟いている。鍋を洗う作業は3時間くらいあって、部屋に1人。バーバーワーワー機械が歌っているから熱唱しても気づかれやしない。

「パーパマーマどうもありがとう〜」
叫ぶように熱唱して余計にエネルギーを使うとすぐお腹が減る。

「ホルモン鍋もええな…」
止まらないお鍋欲。

 退勤して外に出ると完全体となった朝が迎えてくれた。いつものように目がびくんびくんする。朝に鍋を食べる習慣がなかったからか、夜より少し暖かいからか、空と同じようにお鍋欲はからっからに晴れてしまっていた。
無くなったのならそれでいいのだが、ヤツは暗くなると再びやってくるのだ。めちゃめちゃ陰湿なヤツ。夜に仕事がなければチャージ出来るが、仕事があるからチャージできずにいる。そんなことお構いなしにコールは始まってしまう。困ったものだ。

 お鍋がしたいと言っても1人でお鍋より、仲良い人とお鍋をしたい。なんだってそうだが、美味しいねと共感しながら食べるのは至高だ。彼女も欲しいが友達も同じくらい欲しい。最近は広島の音楽仲間が増えてきて仲良くさせてもらっているから、隙あらばと機会を窺っているところだ。週末お鍋でも買って用意しておこうか。ONB!!




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