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買った洋服は、みな「分霊箱」。

昨日、いくつかの洋服を捨てた。5年くらい着てクタクタになったもの、好みが変わったもの、来年はもう着ないと確信したものなど、合計4着だ。

捨てる決意は固かったはずなのに、ゴミ捨て場にそれらの入った袋を置くとき、とても辛かった。ばいばい。声に出したらきっと寂しそうな声をしていたと思う。

ハリー・ポッターに出てくる絶対的悪役のヴォルデモートも、同じ感じだったのだろうか。劇中には、ヴォルデモートが自分の魂を7つに分けるというシーンがある。そして魂が宿ったペンダントや杖や日記などのことを「分霊箱(ホークロックス)」と呼んでいた。

7つある分霊箱がこの世に存在する限り、ヴォルデモートは生き続けることができてしまう。だから主人公のハリーたちは、ヴォルデモートを葬るために、この分霊箱を壊そうと試みるのだ。

そしていざ分霊箱が壊れると、ヴォルデモートは身が張り裂けそうなダメージを受ける。どんなに遠いところでたった一つ破壊されたとしても、立ちすくむくらいの痛みだそうだ。たとえ戦闘中だとしても、彼には成す術がないようだった。それもそのはず、自分の魂がひとつ壊れてしまったのだから、よほどの痛みだったのだろう。

そんな風に、もう着なくなった洋服の入った袋をゴミ捨て場に置いたとき、わたしはとても辛いように感じた。きっと洋服には、知らず知らずにうちに愛着という名の魂が宿ってしまっていたのだ。

こんな想い、あと半年くらいは御免だ。

今持っている服をながくながく大切にして、これから買う洋服は、簡単に捨てない良いものにしなければなと思ったのだった。

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