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久しぶりの友だちに会うときは、前日から心のギアチェンジを済ませておく。

明日、友だちに会う。ちゃんと2人と会うのは、およそ5年ぶりである。

5年もあれば、人はしっかりと変わっている。容姿や考え方、それから声だって、当時とは少し違うかもしれない。

だけど、わたしたちの記憶は、5年前でピタリと止まっている。時計の針がずっと12時で重なったまま電池切れを起こしてしまったような、そんな感じだ。

そんな友だちと会う前日は、あらゆる方面での準備が必要だ。

まずは服装。待ち合わせ場所で、ひさびさに会った瞬間を想像する。いまの自分として、相手に与えたい印象を抱いてもらえることが理想である。当時も着ていた大切な服を、選んじゃったりして。

つぎに声のチューニングだ。友だちに会うときに、自分がしていた声に戻してみる。当時はまだ二十歳で、声も幼かったはずだ。ちょっと低い声をだして、時の流れを感じてもらいたい。だけど声はテンションと比例する。結局あれこれやったとしても、その場で声をコントロールすることはほとんど難しいため、徒労におわりやすい。でも一応やっておくのだ。

そして最後は、心のギアチェンジだ。あのころの思い出や起きた失敗をおさらいする。そして5年たった今の自分と比較をして、あのころは若かったなあとセルフ振り返りをおこなっておく。そうすると、今の視点から、過去の出来事をとらえ直すことができる。今だったらああはしないよなあとか、あのときは子どもだったよね、なんて整理しておくのだ。これで「大人になっているけど、当時のわたしとも変わっていない」、そんな絶妙な塩梅の、オーダーメイドな心のギア調整が完了する。

これで準備は万端だ。

あとはしっかり寝て、無事に待ち合わせ場所にたどり着くのみ。

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