マガジンのカバー画像

気まぐれエッセイ

92
時に幸せを、喜びを、 時に苦しさを、寂しさを、 その日その時ありのまま、気まぐれなエッセイたち。
運営しているクリエイター

#悩み

大地の上で暮らす生き物

生まれた時から大地の上で暮らす生き物がいる。 その生き物たちは、我が物顔で前ばかり見ているものだから、 「こっちの世界はどんななんだろう」 とモグラみたいに顔を出した僕たちを、 平気で踏み潰してゆく。 踏み潰したことに気付いたとしても、 「そんなとこに顔出してるのが悪いんでしょ」 と言わんばかりの表情だ。 その生き物たちは 大地の下にも世界があることを知らない。 僕たちが大地に生かされていることを知らない。 生きているのが当たり前で 自分が世界の中心で

希死念慮

希死念慮。 時にそれは仕事ができないくらいに 不可抗力で大怪我をしたいという想い。   希死念慮。 時にそれはこの寂しさを誰かの声かけで なんとかして欲しいという他力本願な願い。   迫る問題を解決もできない 諦めて死ぬこともできない 自分ではどうにもできない   だから   誰でもいい 人でなくてもいい 思わぬ誰かに 予期せぬところから 救われたいという   他力本願な願いなのだ。

夜中の引力

澄んだ空気の夜中は 外に歩き出したくなるんだ。   君はきっともう眠っていて 木々ですらも寝息を立てて この街を独り占めしたみたいで そよぐ風の香りを、僕だけが知っているみたいで ”フフン”と優越感に浸ってみたりする。   僕のことと 僕のこれからのことを考えてみたりする。   頭をもたげていた苦悩は 果ての見えない暗い空に溶け出していって 僕の苦しみは、僕一人で抱えなくて良いものなのだと、悟る。   きっと夜中は 君にも優しいはずだ。

不幸から逃れてはらしくないではないか。

行こうともそこには空腹がある。 行こうともそこには満腹がある。 帰ろうともそこには争いがある。 帰ろうともそこには平穏がある。 どこかしこに別れがある。 どこかしこに出会いがある。   私の中に不幸がある。 私の中に幸せがある。   逃れられぬのだ。 だからこそ己が人生よ。   不幸であり続けなければらしくない。 幸せであり続けなければらしくない。