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コーポレートアクションのスピンオフ対応

 企業は大きく成長させるためにいろんなコーポレート・アクションという手法を使ってさまざまな形態でビジネスの継続や成長を実現しようとすることができる。そして、それらは少なからず、株主への影響が出ることになる。

 コーポレート・アクションの一つに、スピンオフというものがある。米国では比較的多く発生しているようだ。スピンオフとは、企業が資本関係を持たない全く別の企業を立ち上げることである。もちろん、従業員などは異動することになるが、全く新しい企業が誕生するわけなので、違う企業に入社することになるのである。この時、問題となるのは、元の会社の株主である。元の会社の一部が独立して別の会社になったのなら、新しい会社の株を保有する権利もありそうである。その時、もともと持っている株に対して一定数の株式を無償分配するという形式を取ることができる。そうすると株主にとってはそれまで保有していた株はそのままで新たな会社の株も保有することができるようになるのである。株主にとってはいい話に聞こえる。株価が下がらなければの話ではあるが。

 米国企業がスピンオフして元の株主に対し株を配当した場合、日本における株主は、日本の税法において処理されることになる。つまり、米国の税法の適用外なのである。おいてはその株を受け取ったときに源泉徴収対象となり、税金が課せられる。つまり、新たに取得した株は配当と見なされ課税されるということのようだ。

 これは、ほぼ10年前に同様のことに対し疑問を持った日本の株主が裁判を起こしたようだが、最高裁の判決としては、配当に当たるとみなし課税対象とし源泉徴収するという結論になったようだ。リンクは以下を参照。

太陽ASG国際税務ニュースレター

 これにより、株を受け取る際には税金を支払う必要が生じるということになる。

 最近では、IBMがスピンオフしてキンドリルという会社を設立したため、多くの株主が対象になっていると思う。また、株の取り扱い時の税金処理が面倒な場合には源泉徴収付きの特定口座を利用すると思うが、スピンオフの場合は、一旦、一般口座にうつされた後処理されることになるので、元の株式も新たに配布される株式も一般口座に入ってしまうことになり、それ以降は確定申告対象となる。なかなか、面倒である。

 私も僅かではあるがIBM株を保有しているため、今回の件に巻き込まれている。そのため備忘録の意味も含めて記事にしてみた次第だ。素人としての解釈なので間違った記述があればご指摘いただきたい。


#コーポレートアクション #スピンオフ #株 #配当 #源泉徴収

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