【ファンタジー】結心観音 (2) 【創作大賞2024 応募作品】
第二章 失った日常出会い
娘と若者の出会いは、二年前に遡る。二人の家は狭い村とはいえ家同士は離れていたので普段顔を合わせることはなかった。二年前まで若者は父親との二人暮らしだった。母親は早くに病気で亡くなっていた。父親も年老いてからは無理が効かなくなり、段々外に行くことができなくなっていた。そして、ついには眠るように母親の元に旅立っていったのである。若者はある程度覚悟の上だったので、涙より先に、今後どうすればいいかを考えていた。通夜や葬式の準備もしなければならないのだが