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『わたしの主人公はわたしだから!』の話 ~シャニ6th 横浜Day1~

 アイドルマスターには約25年の歴史があり、シリーズも多岐にわたる。楽曲の総数も多く、オリジナル曲だけで1,000曲を超える。そんなアイマス楽曲の中で、一二を争うほどに好きなのが『わたしの主人公はわたしだから!』だ。2024年4月21日に開催された、アイドルマスターシャイニーカラーズの6周年ライブ「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 6thLIVE TOUR Come and Unite! Fantastic Fireworks」Day1にて、同曲に関する最高の思い出ができた。

 同曲は、2021年2月17日発売の「THE IDOLM@STER SHINY COLORS COLORFUL FE@THERS -Luna-」に収録されている、福丸小糸のソロ曲だ。このアルバムを最初に聴いた時の感想が「3番目の曲、なんかおかしいぞ?」
だった。


 このアルバムでフィーチャーされているTeam.Lunaは、クール系(デレでいえばクール、ミリでいえばフェアリー、SideMでいえばインテリ)のアイドルが集められている。当然、カッコよかったり落ち着いた曲が多くを占めるはずだった。しかし、3番目に収録されていた曲は、ピロピロしたサウンド、盛り上がりそうな合いの手と、Lunaのアルバムに収録されていることに違和感を覚えるものだった。作曲は本多友紀さん(シャニでの個人的代表作は『Black Reverie』『Hide & Attack』。アイマス外だと『Star Divine』などなどなどなど)。なんだか様子がおかしい。
 ここでようやく、歌詞の異様さに気付く。歌詞から感じられる焦燥感。そして、自己肯定感の低さ。なんとなく共感を覚える。シャニマスのサービス開始当初にW.I.N.G.で心を折られた自分は、以来ずっとキャラクターの個性を認識しようとしていなかった。このままではいけない。『わたしの主人公はわたしだから!』という楽曲が、福丸小糸という人物を深堀りするキッカケとなった。

 福丸小糸は、焦燥感と低い自己肯定感の下に生きている気がする。コミュを読んだりする中で、その性格にシンパシーを感じた。「自分が福丸の立場だったら、ノクチルの他メンバーと自分を比較して萎縮してしまうに違いない」「福丸はいつも頑張っていてえらい……」――そんな福丸小糸に対して、自然と「応援したい」と思えるようになった。

 福丸小糸という人物にとっての大きな契機が、昨年7月に開催された「我儘なまま」だったと思う。3rdライブでは叶わなかった声出しが解禁されるということで、ソロ楽曲のポテンシャルが発揮されることを楽しみにしていた。一方で、Day1のチケットしか握れていないという不安材料もあった。開演前は、ソロ楽曲が両日披露されるという保証はどこにもなく、「死ぬほど盛り上がる(であろう)小糸ソロはDay2披露に違いない」という、自分を苦しめる妄想が浮かんでいた。ライブ開演1週間前くらいから精神を軽く病むほどだった(つらい)。
 結局、各ソロ曲のほとんどは両日披露された。心の底から安堵した。現地参加したDay1、羽根の生えた天使がセンターステージにいた。その瞬間を見届けることができて、本当に良かった。そして、Day2を配信で観ていて、小糸ソロの曲順に驚かされる。とても良い配置だった。コール文化の薄いシャニマスで、しかもソロ曲で、これほどまで盛り上がる曲があっただろうか。この曲のポテンシャルに人々が気付き始めたのだ、と思った。
 Day1当日に会場で有志よりいただいた『わたしの主人公はわたしだから!』のコールガイドの存在も大きいと思う。愛を感じる内容で、「福丸小糸を応援している人達がこんなにもいるんだ!」と嬉しくなった。この取組みは、きっと今日に繋がっていると思う。

 時は流れ、6thライブを迎える。自分は、仕事の都合で横浜公演Day2に参加できないことが開催前から確定しており、「福丸小糸ソロが横浜Day2で披露されたらどうしよう」と、早くも憂鬱な気持ちになっていた。
 6thライブからの大きな試みとして、DJコーナーの設置が挙げられる。他ブランドのライブでよくあるシャッフル制度が本格採用された。ここで『チョコデート・サンデー』が流れた瞬間、死を悟った。ソロ曲は普通に披露されること、オリジナル歌唱キャラが不在でのソロ曲披露があり得ることが分かったからだ。大阪の2日間はとても楽しかったものの、横浜Day2への不安が大きくなった。

 そして迎えた横浜Day1、福丸小糸はDJをし始める。ビックリしたが、これで「『わたしの主人公はわたしだから!』が披露されることはないだろう」ということを悟った。披露されないことは残念だけど、今日はもう何も気にせずに楽しもうと勝手に思っていた。何はともあれ、DJに抜擢されたことが嬉しかった。DJブースで孤軍奮闘する姿が良かった。そして、楽しいライブはあっという間に終盤へ向かっていく。

 告知映像終了直後、問題が起きた。

フォィィィィィンン… テレ↑テレ↓テレ↑テレ↓テレ↑テレ↓テレ↑テレ↓テレ→テレ→テレ→テレ→テ!!

 「それ」は本来たった3秒ほどのはずだが、悠久に感じられた。何が起きているのか分からなかったが、身体が、そして魂が反応した。『わたしの主人公はわたしだから!』が流れ始めたのだ。
 刹那、283プロのアイドルがみんな出てきた。当たり前だが、福丸小糸役・田嶌紗蘭さんもいらっしゃった。福丸小糸ソロ曲は、シャイニーカラーズ全体曲になった。
 ここで、異次元フェス(アイラブ歌合戦)Day2にて披露された『コットンキャンディえいえいおー!』について触れておきたい。黒澤ルビィさんのソロ曲であり、ラブライブ!公式YouTubeチャンネルの再生回数1位である。虹ヶ咲以外にソロ曲を披露することはないだろうと予想しており、Day1はその通りだったので、Day2でこの曲が披露された際は度肝を抜かれた。しかも、ライブのあんないい順番で。たくさんのアイドルが集った歴史的なお祭りでも、フルサイズ披露を許されたソロ曲はこの曲だけだった。「ソロ曲でもここまで辿り着けるんだ!」と、同曲にソロ曲の可能性をみた。
 福丸小糸がソロで歌う『わたしの主人公はわたしだから!』は大好きなわけだが、「全体曲で披露されたらどのような印象を持つだろう」ということについて、考えもしなかった。シャニのライブで想定できなかった事態だからだ。しかし、結論としてはメチャメチャ良かった。1番の「まって~!」の果穂とか、2番の「何で!?」をリスペクトするイルミネとか、この曲を歌う想像ができない斑鳩ルカさんとか、見どころだらけだった。「みんなが福丸小糸の曲を、ライブのアンコールで歌っている」という事実がなんだか誇らしく夢のような時間だった。いつの間にか、異次元フェスの『コットンキャンディえいえいおー!』のような存在に昇華していたのだった。DJといいアンコールといい福丸小糸の特異日だったわけで、終演後には放心状態になってしまい、アーカイブ公開期間もいつの間にか終わり、夢心地のままGW終盤の今に至る。

 Day2で福丸小糸がDJをすることはなく、『わたしの主人公はわたしだから!』も披露されなかった。もしも自分がDay1不参加、Day2参加だったらどうだっただろうか。考えるだけで恐ろしい。今回は廻り合わせの良さもあった。次にこの曲がライブで披露されるのはいつだろうか。東京ドームで開催されるMOIW2025で、やらないだろうか。早く、「『わたしの主人公はわたしだから!』の主人公はわたしだから!」になりたい。

 福丸小糸のプロデューサーという大層な役目を名乗ることは自分にはできない。自分はあくまでも、シャニマスというゲームを通じて神の視点を得た只の福丸小糸のオタクだと思う。オタクというのはゴールがない概念な気がするが、今回の『わたしの主人公はわたしだから!』は、ひとつの大きなゴール達成に違いないと思う。夢を現実に変えてくれた福丸小糸というアイドルを今後も応援していきたい。

謝辞

福丸小糸さん
いつもありがとうございます。
直近ではW.I.N.G.お疲れ様でした。ゆっくり休んでください。

もっとやれます

田島紗蘭さん
福丸小糸さんを演じていただいて、本当にありがとうございます。感謝してもしきれないほどです。6thライブ、楽しませていただきました。『僕らだけの未来の空』、メチャメチャ良かったです。今後ともよろしくお願い致します。

本多友紀さん・矢鴇つかささん
『わたしの主人公はわたしだから!』を作ってくれてありがとうございます。あんな楽しいピロピロイントロとピロピロ間奏にしてくれて本当に良かったです。これからもギターソロを入れ続けてください。

秋浦智裕さん
『わたしの主人公はわたしだから!』のコール&レスポンスを楽しいものにしていただいてありがとうございます。この曲の詞のおかげで今日も生きています。

さいごに

 本多友紀ピロピロ楽曲シリーズを紹介して筆を置きます。

♪ 『Petit Etoile』 / petit corolla
 『温泉むすめ』より。いちばんピロピロしています。


♪ 『まっすぐ→→→ストリーム!』/ 日向千夏(CV:岡咲美保)
 『オンゲキ』より。疾走感高め。


♪ 『MY SPIRAL』/ 岡咲美保
 一般曲。『まっすぐ→→→ストリーム!』コンビの再来で歓喜。 


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