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ライブハウスと著作権 その4

またまた間の空いた更新となりました。
今回は配信ライブにおける重要な権利、「複製権」についてのお話です。
これは配信ライブのアーカイブの有無に大きく影響します。

つまり「なんでこのライブはアーカイブ残してくれないんですか?」というお客さんの疑問に対してのお答えとも言えますね。

配信ライブのアーカイブを残す場合、外国曲に関しては「著作権使用料」以外に「複製権(シンクロナイゼーション・ライツ)」の料金が発生します。
これが結構な金額で、1曲につき数万~十数万円かかります。

音楽室DXのようなライブハウスでの公演ではとても割に合わないので、外国曲がセットリストに入る場合は生配信のみでアーカイブは残さないという形を取らせてもらっています。

「複製権」とは「著作財産権」に含まれる権利で、「無断で著作物をコピー(複製)されない権利」です。
DVDなどに収録して販売するのと同じ扱いになり、生配信ではなくアーカイブを残す場合についてはサーバーに音楽を固定(複製)することになるので複製権が働くことになるのです。
ちなみにライブの生中継では映像と音楽が固定されずに送信されるので、シンクロの権利処理は不要となります。

これは内国曲と外国曲とでは、映像作品への利用に関する取扱いが異なることから生じているのですが。

外国では音楽を映像に利用する場合、シンクロナイゼーション・ライツという特別な権利が働くと考えられており、外国では著作権管理事業者ではなく、著作権を保有する音楽出版社がこの権利を管理しています。したがって、日本においても、ヨーロッパ地域の一部の国を除き、外国曲を映像作品に利用する場合(ただし、テレビ放映やカラオケ映像は除く)、楽曲を管理する音楽出版社の許諾を得る必要があり、さらに著作権使用料とは別に指し値での使用料が発生します。

よく「カバー曲があるとアーカイブを残せない」という言い方を聞きますが、正確には「外国曲のカバーがある場合には許諾と使用料が必要。これをクリアするのは現実的ではないのでアーカイブは残さない」といったところでしょうか。
決して意地悪や気分でアーカイブの有無を決めているのではありません(笑)

もちろん許諾を取り使用料を払ってアーカイブを残している配信ライブもありますから、ここは各店・各演奏者の考え方によりますね。

かなりざっくり書いたつもりですが、やはり難しい言葉が並びました。
今回はこのあたりで。

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