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重症心身障害児の息子が重症心身障害者手当受給資格“非該当”になった話

重症心身障害児の息子が重症心身障害者手当“非該当”になった話


東京都には重症心身障害者手当という“心身に重度の障害を有するため、常時複雑な介護を必要とする方に対して、東京都の条例により支給される手当”があります。

東京都心身障害者福祉センターHPより一部引用

受給資格を認定されると月6万円が毎月受給されるようになるのですが息子は重度心身障害者手当の受給資格を認定されませんでした
これまで主治医やソーシャルワーカーさんからは受給資格認定の要件は満たしているので恐らく認定されるはずと言われていたため正直、通知を見る前の私はやっときた…でもきっと認定されているんだろうなと思っていたので衝撃をうけました
非該当という言葉はとても冷たくその衝撃はすぐ悔しさと悲しさに変わりました

ではなぜ息子は非該当になったのか
その後、私たち家族はどうしたのか

実際の通知書やその後、提出した書類や流れなど
知っておかなければ勿体無い話などその後の全てを写真付きで記録します

今現在も重症心身障害児は年々増えており今後も重症心身障害児が増えていく社会でいつ当事者になるかは分からない、現に当事者かもしれない
同じ状況に置かれている方や当事者ではないけれど周りや自分のもしものために参考にしていただけたら嬉しいです

なぜ息子は非該当になったのか


まず受給には ①東京都が定めた要件を満たすこと ②東京都の医師の診察、聞き取りを受ける この二点が必要です

また手続きとしては役所に書類を提出し東京都からの来所(もしくは訪問)の予約の連絡を待ち、予約が取れたらセンターに診察を受けに行き、次の審査会を待ち約二ヶ月後に審査結果の紙が自宅に届くという流れです。

今回の場合は11月に申請し1月に診察3月に結果が届いたため、申請から丸5ヶ月待ちました
ちなみに申請した月からの受給になるので認定されれば5ヶ月分の30万円が受給されていたということです

そして実際にきた通知書がこちらです

重度心身障害者手当受給資格非該当通知書

該当しない理由
障害状況の確認及び日常生活状況の聞き取り結果等から総合的に判定した結果、東京都重度心身障害者手当条例第二条第一項に基づく別表に定める程度の重度の障害を有するとは認められないため

重度心身障害者手当受給資格非該当通知書

別表は下記から確認できます

しかし実際別表のどの項目に当てはまらないと判断されたのかは記載はなく届いた封筒の中にも具体的な理由を記載されているものは一枚のありませんでした

納得がいかなかったため他に記載のあった役所の窓口に問い合わせると役所では分からないため、都の重症心身障害者手当の窓口に問い合わせてくださいと電話番号をいただきました

早速掛け直し具体的な理由を聞くと『重度の知的障害は認めるが、重度の精神障害は認められず本人が一歳であるから身体障害の固定がされていないためです』と伺いました ※三歳以下は発達に応じて身体障害の軽度が変わるため固定がされないということです
また診察を受けた時期が発症から間もないことを言われました(発症は7月、診察は1月でした)

別表をご覧いただくと分かるかと思いますが重度知的障害だけでは認定の要件には当てはまりません、そのため息子は非該当だということだそうです

この条例でいう「知的障害」とは、ほぼ18歳までの発達期に起きた障害をいいます。精神障害及び認知症などによるものは除かれます。
「重度の知的障害」とは、愛の手帳で1、2度相当の知的障害です。
「重度の知的障害」のみでは対象となりません。次のような常時複雑な配慮を必要とする程度の著しい精神症状を伴うものが対象となります。
・激しい問題行動
・難治性のてんかん

東京都心身障害者福祉センターHPより引用

ちなみに難治性てんかんを息子は患っていますが、この場合の難治性てんかんは抗てんかん薬などでも症状が抑えられず日常生活に支障をきたすレベルを示すそうで息子の難治性てんかんは症状が出ても日常生活に支障をきたすレベルではないので当てはまらないとのことです

行政不服申し立てを行うことに決めた理由


しかし家族も周りで支えてくださっている医療や行政の関係者の方は納得がいかず…このように納得がいかない判定を受けた場合、審査請求を行うことができるため不服申し立てを行うことにしました

不服申し立てを決めた理由

① 別表2号(6)体幹の機能障害により座位又は起立位を保つことが困難なもの(7)心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるものに該当すると考えられるため
…息子は脳症の後遺症によりMRIをみて座位や起立困難で回復は見込めないということが分かっており、嚥下障害や呼吸器不全により人工呼吸器が必須の生活となっています

②別表3号 重度の肢体不自由であって、両上肢及び両下肢の機能が失われ、かつ、座っていることが困難な程度以上の身体障害を有するものに該当すると考えられるため ※「機能が失われている」とは、回復困難な重度の身体障害(身体障害者手帳では、両上肢・両下肢・体幹それぞれが機能全廃相当)があるため、全く実用に供せない状態をいいます
…素人の見解ですが息子の場合、生きるために必要である呼吸などを行う脳幹のダメージは少ないため将来的に人工呼吸器を離れる可能性はあると言われると理解できますがMRIで脳を見ると身体障害は今後大きな回復が見れないという結果が明らかで身体障害は固定されていると判断できます

③診断書の提出は任意であると言われたため提出しなかったが、脳症で大きな障害を負っている息子を問診だけで判断するのは判断材料不足であると考えられるため
…診察の内容はほとんど問診でベビーカーに乗った息子をベビーカーから下ろすこともなく息子の動きや座位の程度なども確認はありませんでした

④ソーシャルワーカーや主治医などの医療機関が介入できないため
…素人では理解しきれない点があるためソーシャルワーカーさんに間に入っていただけるようお願いしましたがこちらが許可していても個人情報のため理由だけでも教えられないとのことだったため、今後の申請の対策としても審査請求をし書面で具体的な理由をいただくことになりました

行政不服申し立てにあたり用意したものと流れ


まず不服申し立てをする際には東京都総務局総務部法務課へ審査請求書を提出しなければならないため、法務局に電話し様式集よりフォーマットを用意しました

以下のリンクより流れと様式集を確認できます

添付書類はどんな形式でもどんなものでもこちらの根拠となるものを添付して良いとのことだったので出来る限りのものを用意しました

用意したもの
・審査請求書
・重度心身障書者手当受給資格非該当通知書
・重度心身障害者手当 審査請求書 と 障害福祉サービス等利用における医療的ケア判定スコア( 訪問診療所より )
・審査請求書の委任状( 医療従事者ではないため根拠をしっかりと記載できるか不安だったため訪問診療所へ委任 )※委任することは可能だが委任状を用意してくださいと法務局の方から言われました
・診断書 ( かかりつけの病院より ) 
・訪問看護における状況について( 訪問看護ステーションより )
・リハビリ内容について( 訪問リハビリステーションより )
・親子関係がわかる戸籍謄本や住民票( 息子の場合は自分で書類を書けないので代理人として父親が手続きするため親子証明が必要であるとのことでした ※ちなみに扶養しているものが代理人とされるため申請時なども全て扶養者である父親名義で手続きを進めていきます )

実際の書類(判定スコアの裏面の記録ができておりませんでした…)

気づかなければ損していたこと


①添付書類で根拠を主張できること
…重度心身障害者手当の窓口の方からは不服申し立てをしてもカルテを見直すだけなので判定はほぼ覆らないと言われていましたが、フォーマットを見て根拠を添付できることを知りさらに法務局に確認したところで根拠となるものは形式に縛られず提出できることを知りました

不服申し立てと並行し2回目の申請ができること
…当初、結果に納得がいかない場合、不服申し立てか2回目の申請をするしかないと言われていたためどちらかを選択する形しかないのかと聞いたところはいと言われ他ので不服申し立てのみを選んでいました
がしかし不服申し立ての判定が出るまでにも時間がかかると分かっていたため、重度心身障害者手当の窓口へ再度連絡し並行して申請ができるのか確認したところ出来るとの回答でした( 31日に知ったため役所へ駆け込みました… )

先日確認したところ現在予約が取れるまで6ヶ月ほど時間を要するとのことだったので知らなければ今の時点だけでも4ヶ月が無駄になり、不服申し立ての結果も通常で7ヶ月かかるとのことだったためスムーズにいっても35万円ほどの損をしていました…

最後に

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