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(若手が)自分の頭で考えられない環境

よく言われますが、公務員はトップダウンの判断で物事が進みがちです。

言い方を変えると、意思決定に対して議論が尽くされません。(この要因については、他にもう1つ大きな理由がありますが、別記事にします)

下っ端の意見は、例えその担当者が3年目でも圧殺される雰囲気があります。最近流行りの「心理的安全性」などほぼなく、横で黙って聞いているのが「良い若手職員」です。

この環境で10年、20年ずっと過ごすとどうなるか。

まず、自分の頭で考えることができない人間が出来上がります。

さらに、訓練をしていない下っ端が上に上がるので、トップダウンされる判断そのものが、合理性が欠けていたり、よくわからなかったりというのが多々起こります。(それでも下っ端は黙っているしかない)

これは、今後の自治体経営を進める上で、非常に深刻な問題です。

それはなぜか?

今後、限られた人材・財源をいかに適切に振り分けていくか、という環境下に置いて、相応の判断能力を持った人材がいないからです。

かつては、人の数が増えていく⇨税収も増えていくということで、いい意味でどんぶり勘定でよかったものが、そうではなくなる。しかし、そんなときどう思考しどう判断すれば良いか組織内の人間が誰も訓練を受けていないので、行き当たりばったりの判断になりがちになる。

しかも、税金だから、という理由で、職員の育成に対する十分な投資はできていない。例えば、現在DX化の必要性についてよく目にしますが、業務改善のためのプログラミングができる職員など、全体の1%もいないでしょう。

ということで、これから人口減少が始まるスタートラインに立ち、全国の自治体はこれから悪循環モードに入ることになります。

ここで「民間に力を借りればいいんじゃない?」と思う方もいるでしょう。

確かに、各地でコンサルや、大学教授、資格保有者など利用しているところもありますが、彼らの提案や考え方について適否を判断できる人が内部にいない、というのが実情なのです。良い意味では知見を借りているということになりますが、悪い意味では丸投げです。

結果として、自治体という組織自体が衰退していくことになり、いずれは明治維新の際に廃藩置県があったように、統治システム自体も変わっていくのではと思っています。

または、生き残る自治体、滅びる自治体の格差が明確になるのではと思います。現時点で、自治体経営という視点を持った(定年間近の)トップが、20−30年後の未来のために、どれだけ「若手職員が育つ環境」という種をまいてくれているかでしょう。

最後に、この流れが変わりうる可能性があるとすれば、それはトップが変わる時です。

例えば、現在の大阪府知事の吉村さんのような、一定の職業のキャリアがあり、合理的な思考訓練をしている人間がトップに立ってくれていれば、良い流れの「トップダウン」が生まれ、環境が改善される可能性があります。

ただ、それでも、そんな能力を持った人間が、わざわざ政治という世界に出てくる人は稀ですので、大半の自治体は、職業政治家だったり、もともと公務員だったり、という方が首長になるのが現実です。

というわけで、「自分の頭で考えない人間が量産され、人口減少が続く2060年までの間に、大半の自治体は内部から崩壊していく」というのが、私が予想するストーリーです。

これについては、他の自治体の方にもお話を伺ってみたい部分ではあります。



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