【NG写真も公開!】ハンバーグが宙を舞う!話題の「くまのレシピ本」撮影に潜入したら、想像以上に壮絶で壮大な現場だった。
発売されるや否や、SNSや各メディアで話題となったレシピ本『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』、もうご覧いただけましたか? Instagramフォロワーは、本の企画時5万人からあっという間に16.7万人(8月19日時点)! 一体どうやってあの奇跡の1枚を撮影しているのか、今回はレシピ本の撮影現場に潜入してきました。
1枚の撮影にかける時間は約1時間⁉
まずは、普段くまのママさんがどのように撮影しているのかをご本人に尋ねてみました。
ーー1枚のカットで大体どれくらいの時間がかかるのですか?
ママさん「写真によって違うんですけど、たとえば、一番皆さんが目にされているであろうキャベツのせん切りのような躍動感のあるものは、1時間くらいかかりますね。全部私一人でやってるので。
三脚も持ってへんから、家にあるクッションを積み重ねてカメラを置いて、連写の設定にして。で、素材を空中に舞い上げながら撮影です(笑)。動画の場合は、ちょっと動かして撮って、ちょっと動かして撮ってを延々繰り返しながら撮影します」
すべてをお一人で! それは時間がかかりますね。とはいえ、1時間で撮影できてしまうんだ、という気もします。もっと時間がかかりそうなものですが、奇跡の一瞬をとらえるコツはありますか?
ママさん「カメラの知識も技術もなかったので、やりながら学んでいった感じです。どこから光が入るとどう写るかとかわからないので、とりあえず連写でたくさん撮って、その中から選べばええかなって。
そしたらね、だんだんとわかってきたんですよ。このタイミングでキャベツを舞わせるといい感じになるとか、この角度で狙うとこの子がより可愛く撮れるっていうのが」
ーーなるほど。その作業を黙々と、旦那さんがいない日中に行われているわけですね! そのほかに、撮影時気をつけていることはありますか?
ママさん「やっぱり、この子の素材が可燃性なので火に注意することと、ケチャップなどを飛ばして汚さないこと。この2点はめちゃめちゃ気をつけてます。だから、揚げ物をするときは私が料理して、この子は横で見てるんですよ。
その様子がフォロワーさんたちに意外にウケていて、海外の方から『キミが燃えてしまわないように、ママが料理してくれてるんだね!』ってコメントが入ったこともありました」
プロの撮影スタッフ総出で挑んだ撮影は、1枚2時間!
さてここからは、普段のママさんの撮影ではなく、プロのカメラマンによる書籍用の撮影現場の様子をお伝えします。ママさんのご自宅にて撮影したのは、全部で5品。加えて、くまくんの1日の様子など日常のカットを撮影しました。編集担当の横山由佳さんから聞いた撮影隊の様子や裏話も交えてお伝えします。
横山「いつもママさんが愛情たっぷりに撮影しているくまくん。ですから、私たちもすごく丁寧に、時間をかけて撮影に向き合いました。
一番時間がかかったのは、『きのこたっぷりれんこんハンバーグ』の撮影です。くまくんがフライ返しでハンバーグをひっくり返している一瞬を収めたのですが、これが本当に難しくて。
というのも、物って放物線を描きながら飛び上がり、頂点で一瞬止まりますよね。その瞬間を抑えないといけないんですよね。ハンバーグの面がカメラ側を向いていないと美しくないし、側面だけではハンバーグだってわからない。さらには、フライ返しの位置とか、そのほかのバランスもとれていないといけなくて。
それはもう、何回ハンバーグを飛ばしたか……(笑)。しかも、1枚いいものが撮れても、もっと良いカットが撮れるかもしれないという欲が出てくるんです。そんなこんなで、1カットを撮影するのに2時間以上かかりました。ママさんがいつも1時間かからず撮影されているのが信じられません」
ちなみに、今回は特別にNGとなった写真も公開します!
こちらが大成功!奇跡の一枚!
NGカット①
タイミングが合わなくて、ハンバーグが舞わず!
NGカット②
くまくんの顔にハンバーグが被ってしまった!
NGカット③
今度はフライパンとフライ返しが重なってしまった! ハンバーグもブレてる!
NGカット④
すごく惜しいけど、ハンバーグが飛びすぎ&くまくんの目線が追いつかなかった!
そんな難易度の高い撮影現場では、スタッフ一同、特にカメラマンのプロ魂に火が付いてしまったようで、「ママさんの写真以上のクオリティのものが撮れなければ、自分が来た意味がない!」と、シャッターを切り続けていました。結果、2日間で撮影したデータは実に1000枚以上!
ーー確認ですが、レシピの数は5品ですよね?
横山「そうですね(笑)。撮影後も、カメラマンさんのこだわりがすごかったです。あがってきた色校に入る赤字は、くまくんの毛並みの微妙な色味だったりして。くまくんの可愛さを最大限伝えるために、最後まで厳しい目でチェックしてくださいました。もちろん、料理の写真も注意深く確認済です! デザイナーさんも、何パターンもデザインを上げてくださいましたし……プロ集団が皆本気で挑んで、こだわり抜いて出来上がった一冊です」
加工は一切なし!すべてアナログで撮影するこだわり
カメラマンさんの苦労がわかったところで、最後にもう一度、ママさんの撮影術を伺いましょう!
ママさん「野菜をせん切りしている写真を見て、上から野菜を降らせてると思っている方もいるようなんですが、違うんですよ。ちゃんと包丁で切ったときに舞い上がった様を撮影しています。もちろん加工は一切無しです。なかなか信じてもらえへんけど、フェイク動画を見破る専門家とかなら絶対わかってくれるはずです!
今の時代、きっと合成とか修正とかすれば、簡単にすごい写真が撮れるのもかもしれないけど、自分の手でこの子を可愛く撮ることが私の信念ですね」
このママさんの信念に基づき、撮影隊が関わったカットもすべて加工一切なし。純粋に人の手だけで撮影した、まさに奇跡の一枚が凝縮されています。
ーーそういえば、海外の方からのコメントもたくさんありますね。
ママさん「コメントも問い合わせも、海外の方からめちゃめちゃ届きます。どこで買えるのか?っていう質問が多いですね。もしかしたら、パディントンとくまのプーさんに続くテディベアになれるかもしれへん!(笑)」
日々人気がうなぎ上りのくまくん。本当に、世界を代表するテディベアになる日も近いかもしれません。ママさんとスタッフ一同が全力で作り上げた『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』、ぜひお手に取ってご覧ください!
▶くまくんのレシピ本について詳しく知りたい人はこちら!
取材・文/水谷花楓