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獲得しない手も?外国人選手の影響力が低下していく2つの理由

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影響力を失う外国人選手たち


 レギュラーシーズンも終わり、ポストシーズンが始まった。だが球団編成を行うものにとって、来季は既に始まっている。このオフにどのようなチーム編成を作れるかがシーズンの行方を決めるといっても過言ではない。準備の時点で勝負は始まっているのだ。

 そんなオフの戦力整備において、ドラフトとともに各球団が重視するのが外国人選手の獲得だ。ドラフト補強できる選手はやはり未熟な場合も多く、即戦力にはなりづらい。弱点をすぐさま補強できるという点で外国人選手は有用だ。特に日本人選手に不足するパワーを補うという点で、外国人選手に依存するチームも多い。毎年、どういった外国人選手を獲得するか、枠をどのように扱うかで、各球団頭を悩ませているだろう。

 ただこの外国人選手を取り巻く状況は時代とともに移り変わっているようだ。以下の表1を見てほしい。以下はDELTAがWARの集計を行う2014年以降、各年度における外国人選手の貢献度トップ10だ。貢献度には総合指標WARを用いている。

総合指標WARとは
https://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_explanation.aspx?ecd=201&eid=20007

 まず各年度の上位層を見ていこう。2014年からしばらくの間、トップ層には5.0-7.0ほどのWARを稼ぐ選手がいる。上位常連はランディ・メッセンジャー(当時阪神)やクリス・ジョンソン(当時広島)など。それ以外の選手も上位は、外国人選手という条件なしで見ても、リーグトップクラスの選手たちだ。

 しかしこの上位選手のWARの数値が現在に近づくにつれ低下していく。2017年にはマイルズ・マイコラス(当時読売)のWAR7.5がトップだったが、今季外国人選手最大のWARはC・C・メルセデス(読売)が記録した2.9。トップ選手の貢献度が小さいシーズンだった。今季に限った話ではなく、表を見ると2018年以降に全体的に外国人選手の貢献度が低下。2017-18年には10位の選手ですらWAR3.0を記録していたが、今季はトップの選手ですら3.0に到達していない。どうやら現在は外国人選手不作の時代にあるようだ。

 上位10選手ではなく、外国人選手全体でも見てみよう(表2)。全体で見てもさきほどの表1と印象は変わらない。直近シーズンに近づくにつれ外国人選手の貢献度は低下しているようだ。最も高かった2018年(86.8)から比べると、今季は38.5と半分以下に落ち込んでしまった。2020年以降は外国人選手枠も広がり、彼らにとってはチャンスが大きくなっているはず。にもかかわらず外国人選手の貢献は小さくなっているようだ。

今後影響力低下が加速する2つの理由


 これには様々な原因が考えられる。新型コロナウイルスが及ぼす影響もあるだろう。ただこれ自体、つまり原因に関する考察は今回行わない。ここで掘り下げたいのはこれからのこと。今後、こうした流れ、つまり外国人選手の影響力低下はより加速していくかもしれないことについてだ。

 なぜそう考えられるのか。

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