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捕手のフレーミングスキルはいかにして改善するのか

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名手・甲斐の課題・フレーミング


 さて、第1回で取り上げるのはフレーミングである。このオフにはフレーミングについて興味深いニュースが流れた。甲斐拓也(ソフトバンク)が自主トレにおいて、フレーミング練習に取り組んでいるというのだ。

 甲斐は球界最高の守備力と評判高い捕手だ。ゴールデングラブ賞6年連続受賞という実績が、その評価の高さを物語っている。しかしそうした評価とは裏腹に、DELTAアナリストが行うデータ分析による守備賞“DELTA FIELDING AWARDS”では、毎年評価が振るっていない。昨年も対象捕手13人中11位と下位に沈んだ。

 その最大の原因となっているのがフレーミングである。2022年、アナリスト宮下博志の分析によると、甲斐のフレーミング評価は-6.7点。NPB平均の捕手に比べ、フレーミングによりチームの失点を6.7点増やしたと評価されている。ちなみに2021年は-13.2点だった。いずれにせよかなり弱点となっているようである。今回、甲斐自身がこうした現状を踏まえ、改善に取り組もうとしているのだろう。

 ただそもそもフレーミングとは改善可能なスキルなのだろうか。今回はMLBで改善に取り組んだ例を紹介してみたい。

ミッチ・ガーバーのフレーミングを改善させた片膝立ち


 代表的な例として挙げたいのがミッチ・ガーバーである。ガーバーのフレーミングに注目が集まったのは前所属ツインズ時代の2019年だ。この前年にあたる2018年、ガーバーのフレーミング評価[1]は-8.3点。フレーミングが大きな課題となっていた。ガーバーはこの問題の解決に取り組み、翌年は+4.2点に大きく改善させている。

 ガーバーの課題は低めの投球に対するフレーミングだった。ゾーン底でのストライク獲得率は33.7%。これは球界で最も低いものだったようだ[2]。フレーミング改善のためには低めの捕球をなんとかしなければならない。

 そこでガーバーが取り組んだのが片膝立ちの姿勢だ。通常、捕手は膝を地面に接地させず構える。これを片膝が地面に接地させたかたちに変えたのだ。現在のプロ野球でもこういった捕球姿勢の捕手は珍しくない。

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