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1.02 Weekly Report Vol.587

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1.DELTAの目線 ~進塁打は得点を増やさない。12球団の進塁打データをチェック~

強打者・細川成也も対象に。中日が行う進塁打練習の是非

先日、SNS上で秋季キャンプでの中日の練習が話題になった。中日は今季低迷の原因となった得点力不足を解消するため、進塁打の練習を行ったようなのだ。

報道によると、バンテリンドームでの戦いではお互いなかなか点がとれないため、その貴重な1点をとるためのバントや進塁打の練習を重視して行っているという。チーム最高の打者である細川成也も例外ではなく進塁打練習を行っていたようで、これについて賛否が分かれたようだ。

セイバーメトリクスは進塁打をどう考えるか

セイバーメトリクスはこの「進塁打」についてどのように考えているのだろうか。これについては「Productive Outs Are Not Productive(訳:生産的なアウトは生産的ではない)」という分析がよく知られている。Productive Outs(生産的なアウト)とは走者を進めるようなアウト、いわば進塁打のようなものだ。

この生産的なアウトが得点にどのような影響を与えるのか回帰分析を行ったのがこの文献である。この分析の内容については、以下DELTAアナリスト蛭川皓平氏の解説が詳しいが、生産的なアウトは「得点増加を優位に増やさない、むしろ減らしさえするかもしれない」という結論に終わっている。

実はこの分析は2004年のもの。それ以降、セイバーメトリクスの世界ではこの分野についてそれほど熱心に分析が行われたわけではない。送りバントの分析についても同様だが、多くのアナリストはここを分析したとしても勝敗への影響度は大きくない、鉱脈はないと見て、それほど熱心に分析を行っていないのだ。

セイバーメトリクスの観点から得点を増やすために重要と言えるのは、とにかくチームのOPSを大きくすること。この大きさでチームの得点の90%以上が決まる。進塁打は普段の打撃フォームを崩して行うものだ。進塁打に励むことは得点を増やすかわからない、むしろ減らすかもしれないもののために、90%以上の部分をないがしろにするリスクがあるというふうにも考えられる。こういった考え方もあって、アナリストは進塁打に否定的なのだ。そもそもMLBであればアナリストでなくとも、進塁打には否定的である。

先日、DELTAでは送りバントについて記事を公開し、大きな反響があった。これについてもアメリカではそもそもこういった反響はないだろう。進塁打も送りバントも、ほぼ終わった議論として認識されているのだ。

12球団進塁打状況まとめ。中日以上に進塁打に取り組んでいるのはあの球団

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