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小学校の時例の好きだった女の子とナメクジに塩をかけて殺した。私達が住んでいた団地から学校まで行くのに1番近い階段のど真ん中で、塩漬けになったナメクジの死体はずっとうっすら姿をとどめていた。上京する直前にも見たけど最初からコンクリートについたシミだったような顔をしてそこにあった。通る度に罪悪感をおぼえた。地元に居た時はそんな事ばかりだった。その子の好意と信頼を獲得する為に色んな人に嫌われるような事をして、その度に嫌な気分になった。その子が学校をサボって私の事なんか忘れて外で年上のヤンキーと連んで煙草を吸ったりセックスしたりしてる時も勝手に戦って勝手に敵を作って気付いたら孤立していた。その子はそんな事知る由もないので不意に登校してきてぎゃあぎゃあ好き放題喚いて私の筆箱をひっくり返して大喜びしていた。田舎の人間カーストではヤンキーが上位に来るので段々その子の悪口を言う奴はいなくなっていった。中学の時はガタイが良くて如何にも強そうな先輩と付き合ってたからその効果もあるかもしれなかった。浮いてはいたけどクラスの子と普通に話してるのを見るようになった。私だけが癇癪持ちのやばい奴になった。その子は私が孤立しているのを見て登校した時は一緒にいてくれた。いつの間にか立場が反転していた。その子が好きって表現する為にはその子を嫌う全員を私が嫌いにならなきゃいけなかった。馬鹿みたい。でも昔に戻っても同じ事をすると思う。2人でいる時は危ない事ばかりしていたのでその子は特にいつも傷だらけだった。足に木の枝などの棘が刺さって皮膚をほじくり返して抜いたりするのは日常茶飯事だった。釘が足を貫通したこともあった。その子と遊んでいる時はいつもドキドキした。階段の踊り場から飛び降りた事がある。私は高い所から飛び降りた事がなかった。その子に飛べって言われなきゃ飛べなかった。大人になった今は高い所が怖い。死ぬのが怖くなかった頃に戻りたい。取っ組み合いの喧嘩をして死ねって言いながら拳を振り上げている時、家族への憎しみや思い通りにいかない人生への怒りや自暴自棄や非生産的な我儘が全部その子と私の愛の行為になった。

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