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フジロックの配信で聴こえる歓声に音楽業界を憂う

フジロックの配信をYouTubeで観ているが、明らかに客席から歓声が聴こえてくる。それもかなりの音量で。
フジロックのHPを改めて確認したが、感染防止ガイドラインに大声での声出し禁止と明記されている。
https://www.fujirockfestival.com/guide/guideline

このまま「あ、こいつコロナ脳だ!」と思われても困るので、自身の考えを早めに表明しておくと、野外フェスであればこれくらいの歓声は構わないと思う。

すでにプロ野球などの野外興行では声出しが行われており、クラスターの確認などが取れていない実績を考えると、マスクをした上での多少の声出しはさほどリスクは大きくないと判断しても良いだろう。ガイドラインの基準はこの段階でさすがに保守的すぎるだろう、と感じる。

しかし、これはあくまでも個人の意見であって「大声禁止」というルールは存在する以上、守らなければいけない。個人的にとてつもない恨みを誰かに抱いていたとして、その人を殺してしまえば法律という一律の基準で裁かれるのと同じである。

この大声の歓声が事実上黙認されている状況がほんとに悲しい。
この悲しさの矛先は、ルールを破っている観客でも黙認しているフジロック自身でもない(まぁ多少思うところはあるけど)、すべてを現場任せにしてきた音楽業界の構造である。

野外の歓声が問題ないと思うのであれば、「音楽業界としては現時点で集まっている情報、実績を踏まえ問題ないと判断します」と団体が声明を出せば良い。これまでもアーティスト、ハコによって声出しや感染対策のルールはまちまちで非常に分かりにくかった。業界全体の基準や考えをもっとリスナーに発信しても良かったのではなかろうか。少なくとも自分が観測できた場所ではそのような動きは一切見られなかった。

そして今日も観客と主催者側の現場でのなし崩し的な歓声黙認が起こっている。そこにはこれまで真面目にルールを守ってきた人たちの悲しさややるせなさがあるだけで、何のドラマも生まれていない。
業界の人たちはいつか戻ってくる日常に向けて一丸となってドラマを作っておくべきではなかったのか。こんななし崩し的な解禁で誰が心を動かされるのか。

繰り返すが、自分は歓声でコロナが広がることを憂慮していることは一切ない。誰も共感しないストーリーで日常が戻っていくのがただただ悲しい、ということが言いたかっただけだ。


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