見出し画像

産駒に伝わるのは筋・骨格の特徴だけではない!!


サラブレッドの場合、父が同じでも母が異なり、育つ環境も違う産駒たちでも父にそっくりに出る特徴は多く、環境因子に左右されない遺伝子によって継承されていく部分が確実に存在する点も競馬の面白さである。

伝わる特徴として馬体が明らかに見た目でわかる部分であるが、性格や癖も同様に遺伝する。

馬産地では2020年の交配シーズンが間もなく開幕する。

先立って種牡馬展示会が行われ、配合を考えている生産者や馬主を前にお披露目されるのだが、

近年の種牡馬のセールスポイントの一つとして挙げられるのが「サンデーサイレンスの血をもたないこと」であり、

毎年各々の種馬場で、それに該当する馬には長所としてそのことがスピーチされていることが多い。
(Youtubeなどで展示会の動画は観れます。)

加えて、今後はキングカメハメハの血をもたないことを同様にPRされることが増えてくることが予想される。

さて、本年最初の種牡馬展示会がブリーダーズスタリオンステーションで開催される。
(こちら→種牡馬展示会日

毎年、展示会直前に、父をPRするかのように産駒が走ったりする種牡馬がいる。

トーセンジョーダンもその1頭。

5年前に種牡馬生活をスタートした。

種牡馬入り当時、サンデーサイレンスとキングカメハメハの血をもたない種牡馬として生産者の期待が高かったことは多くのメディアの取り上げ方を見ると明らかである。

産駒は2世代がデビューし、まだ重賞勝ちはないが、初年度産駒のアズマヘリテージが小倉2歳Sで2着の成績を残している。

先週末の中央競馬で産駒のアヴェニイが東京競馬場の未勝利戦を勝ち、

バンクショットが小倉競馬場の1勝クラスのレースを勝利した。

良いタイミングである。

ただ、上述の2大巨頭種牡馬の血をもたない種牡馬は海外から続々と導入されており、トーセンジョーダンが種牡馬として生き残っていくためには更なる結果が必要であると考えられる。

本馬は天皇賞・秋を含めて2000~2500mの重賞勝ちの競走成績を挙げており、3200mの天皇賞・春でも2着の実績があるが、

馬体的には太くて短い首、太くてやや短めの繋といった特徴から、決して長距離を走れる身体ではない。

むしろマイルがベストと言える馬体構造だが、能力の高さで勝ち切れたのだろう。

しかし、こういった馬体構造から導き出される距離適性と実際の競走実績距離が異なった場合に、産駒に同様の外見上の形が受け継がれても、産駒が父と同様の距離をこなせないということがけっこうある。

現に、この1年間(2019年2月3日~2020年2月2日)でトーセンジョーダン産駒が中央競馬で勝利した平均勝ち距離は芝で1600m、ダートで1700とマイル前後での結果である。

これには本馬が父系から継承している性格も影響していると私自身は感じている。

本馬の祖父トニービン、そして父ジャングルポケットは口癖が悪くて有名である。

舌を出す癖があり、しっかりとその特徴は継承されていて、ジャングルポケットが現役時代にフレーメンをする機会が多いことは有名であった。
(フレーメン→上唇を上げて下顎を突き出す仕草)

ジャングルポケットは、東京競馬場の直線で、横を向きながら加速していたように一つの癖が競走能力に影響するのは珍し事ではない。

トーセンジョーダン自身も現役時代にリングハミを使用しており、この父系の口癖はしっかりと産駒にも伝わる濃さを秘めていると考えられる。

トーセンジョーダンの産駒の距離適性が父よりも短いのは、馬体構造ももちろんであるが、

この内面や性格も大いに影響しているはずである。

若い時にパドックで物見が多く、集中力を欠くタイプが多いのもジャングルポケットの血の特徴であり、それはトーセンジョーダンの産駒にも受け継がれている印象をもつ。

産駒の今後のさらなる飛躍のカギを握るのは、この性格・癖を熟知した上でどのように育成調教されていくかであろう。



※作者 一口馬主マスターB
Twitter  → https://twitter.com/onemouthmaster2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?