馬_前肢_正面

芝とダートでは走り方が違う!!


前回、大まかではあるが日本のダートコースというものはどんなものなのかということを解説した。

今回は、その舞台で結果を残すのはどんな走りができる馬かということに焦点を当ててお伝えしていく。

まず始めに…

題名にもしたが、「芝」と「ダート」では同じ走りをしていては勝てない。

前回も少し触れたが、両舞台で活躍する馬は少なく、全然違う質が求められることはわかっていただけると思う。

小さい頃、公園で走るのと砂浜の砂がある程度深いところを走る場合では、走りやすさが全然違うことを子供ながらに感じたものだ。

両者の違いは何か…。

着地し、次の一歩を踏み出す際の足の安定力である。

足を返すグリップがしっかりできるかどうかの違いである。

乾いた深さのある砂場では、足が砂にとられてしまう。

違う言い方だと、足が泳いでしまうという表現の方がわかりやすいかもしれない。

ただし、馬の場合、決して砂の上に脚が乗っているわけではない。

現在、JRAの砂厚が9cmに統一されているが、脚が砂に着地する時の衝撃と重みで、脚は砂の中に沈む。

蹄先が路盤に引っかかる程度に当たるような作りになっていて、そこまで脚が流れたりアンバランスになることは少ないとされている。

では、芝とダートを走る際に一番異なるのはどこか…。

それは前肢の使い方である。

Twitterや本note内で以前から、基本的に「馬の走る推進力は後躯から」ということを何度もお伝えしている。

後肢のキック力が推進力に繋がるのだが、この時の前肢の使い方、動かし方が主に競走能力に反映される。

そして、そこが芝とダートで異なる。

前肢を前に思いっきり伸ばして走る芝の舞台では、脚が芝に埋まっていても、容易にかき分けて前方に出せる。

完歩が大きくなることに繋がり、ゴールを少しでも速く駆け抜けることに有利になる。

しかし、ダートだと同じようにはならない。

何度も両舞台における多くの馬の走りを観ていただきたい。

ダートでは、芝と同じように前には出しにくく、いったん上に脚を引き抜いて走っている。

当然着地のときは上から叩きつけるような形になる。

掻き込む走りというのはこのことを示している。

その分歩幅は芝に比べて小さくなり、駆動力を活かしてピッチを速くする走りかたが多くなる。

これが、一般的な「ダートの走り方」だ。

元騎手である佐藤哲三氏が、紙面でダートレースの予想を公開した際、注目点として、

「パドックでは胸を張って、前肢を叩きつけるように歩いている馬が良い。」

と挙げていたことからも騎手目線でも同様だと言える。

しかし、芝からダート替わりする馬で、いかにもダート向きの走り方をするから舞台替わりが良い方向にいくかと思いきや、そう限らないことも多く難しい。

ここで一つポイントがある。

先程、前肢を持ち上げる走りとお伝えしたが、それによって全体的にフォームが高くなる。

そして、これは自然とエネルギーのロスが大きくなる。

なので、低い姿勢を保ちながら前肢を持ち上げて脚の回転を挙げる走り方ができる馬こそダートで走る。

私は歩様からして身体の柔らかい馬を好む。

しかし、ダート馬では硬い馬でも走る馬は少なくない。

身体が柔らかいほど、前肢の伸びもあり、背中のバネを含めて後ろからの推進力をスピードに転換させられるのだが、それは芝の舞台の方が顕著に活きる。

ダートに関して言うと、身体がやや硬かったとしても、低重心でブレが少なく走れる体幹の強さと駆動力のある馬が走る傾向がある。


サウスヴィグラスやゴールドアリュール産駒はその点において秀でており、成績に表れている通りである。




※作者 一口馬主マスターB
Twitter  → https://twitter.com/onemouthmaster2


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