【ニックス配合!?】 ディープインパクト×アンブライドルズソング ~走る体型とは?~
先日、来年のクラシック戦線を担ううえで重要なレースが東京競馬場で行われた。
そこで衝撃の走りを見せてくれた2歳馬がいる。
コントレイルである。
ダービー馬キズナを生産、育成したチーム・ノースヒルズがまたも楽しみな若駒を世に送り出してきた。
これまでデビューしてきた同世代の馬達の中で最もインパクトのある勝ちかたであったことは言うまでもない。
東京スポーツ杯2歳ステークスを1分44秒5の走破タイムで2着馬に5馬身の差をつけて快勝した。3着馬も2着馬から4馬身差があったので、現時点で能力が1頭抜けていることは間違いない。
メンバーが弱かったわけでは決してない。直線を向いた時の手応えが1頭だけ異なり、何か不利があっても勝ってしまうのではないかと思わせるくらいの内容であった。
さて、本馬の血統に目を向けていただきたい。
父はディープインパクト。産駒のこのパフォーマンスは頷けるが、今回注目していただきたいのは母父のアンブライドルズソングである。
実は、この配合の組み合わせの馬はこれまでも何頭も輩出されており、相性が良い。
これまで1億円以上の収得賞金を獲得しているダノンプラチナ(朝日杯フューチュリティS勝ち)やサイレントソニック(北九州短距離S勝ち)を筆頭に、
先日のデイリー杯2歳Sを勝ったレッドベルジュールも同配合である。
そして、ニックスとも考えることができるこの良馬の「体型」は実のところ全く異なる。
下の写真がディープインパクト。
そして、こちらがアンブライドルズソング。
何が大きく異なるかわかるだろうか。
異なる点は、前者はコンパクトな体型であるのに対して、後者は胴が非常に長い。
ということは…両者の組みあわせで、足して割ってちょうど半分くらいの馬体になれば走る!……
というと、そういうわけではない。
どういった馬体の馬が走っているかというと、それは胴が長くないタイプである。
アンブライドルズソングの影響が全身のシルエットを含め、馬体に感じられない馬が活躍している。
ミスタープロスペクターのスピード血脈を現代に繋いでいる貴重な種牡馬であるが、現代の日本の競馬に馬体の特徴はフィットしているかと言うと…そうではなさそうだ。
母系からミスタープロスペクターのスピード力を注入しつつ、自身の特徴は出さない良さがある。
現代の日本の競馬には、適性ある馬体バランスというものがあるのだ。
決められた距離をより速く走り抜いた馬が勝つ競馬。
その走行速度を左右するのは単位時間あたりの歩数とストライド(歩幅)である。
ストライドの大きさはその馬の走行フォームに大きく影響を受け、
日本のような平坦な馬場で走る馬にとってはより重要である。
走行速度を決定する因子は、上述した歩数とストライドであり、その両者を同時に高めることができれば、当然走行速度は高くなる。
ただ、難しいのが…
歩数が上がればストライドは小さくなり、ストライドを伸ばせば歩数が少なくなりやすい。ということだ。
しかし、この通例の概念をひっくり返したのがディープインパクトである。
出走メンバー中、ストライドが最高値で歩数が上位3番目だった菊花賞のように、1頭だけ最後の直線で異なる脚を繰り出せるには、絶妙な馬体バランスを兼ね備えているからこそである。
最後にもう一つ。
種牡馬として、強くアンブライドルズソングの特徴が出ていると感じるのが日本に輸入されたダンカークである。
本馬も胴が長く、背中も長めに見える体型はそっくりである。
ディープインパクト系の繁殖牝馬が多くなっており、今後アンブライドルズソング系の種牡馬との配合から誕生する馬が出てくる可能性があるが、
逆パターンの配合でも「体型」に注目して同産駒を見ることをお勧めする。
(※逆パターン:父と母父の組み合わせが逆になること)
<記事紹介>
・速く走れる身体のバランス
https://note.mu/onemouthmaster2/n/n0f2265d73639
※作者 一口馬主マスターB
Twitter → https://twitter.com/onemouthmaster2