見出し画像

旅客機の寿命はどれくらい?古くなった機体はどういう運命を辿る?


海外でこういう車を見るとドキッとしますね(^^)

 東南アジアや中東へ行くと、日本の中古車が商店名や会社名もそのままにバンバン走っている光景をよく見ますよね。外国人たちも日本語が読めませんので、「◯◯商店」とか、そのまんま車に書かれている日本語をむしろクールだと言って乗っているそうで・・・(^^)
 まあ、廃車にされないで、どこかの国で大事に使われていると嬉しく感じます。
 さて、飛行機の世界でも、そういう「使いまわされることはあるのか」ということですが、あるんです。今回はそんな話を。

◆旅客機の寿命はどれくらい?

 第二次世界大戦下の軍用機などは、日進月歩の進化がすごく、最新鋭の戦闘機などはもって1,2年でした。新しい機体が開発されると、使用していた機体はどんどん後方部隊に送り返されていく感じで、その寿命はすごく短かったのです。なので消耗品という感覚です。

 しかし、現代では、飛行機一機の価格も高騰し、おいそれと交替ができなくなりました。まあ、平和な時代になって昔のように技術開発競争に明け暮れなくなったというのもありますが。
 その時代の技術の最先端が航空機業界と思われがちですが、きちんと整備すれば、何十年も持つのです。なかには50年も飛び続けていた旅客機もあり、きちんと整備さえされていれば安全に飛行もできます。

 軍用機のB-52も、1954年初飛行以来現役で飛んでいます。最後のH型でさえ1963年配備ですので、50年以上使われているんですね。さらには、なんと2040年までの運用が予定されているそうですよ。

B-52

◆経済的寿命もあるので中古品も要注意

 ただ、気になるのが整備費用。歳月が経つにつれ、金属疲労が増していき、部品交換も増しますし、整備に時間もコストもかかるようになると、逆に新しい機体を購入した方が安上がりになるというケースが発生します。
 これが、経済的寿命といわれるものです。旅客機自体に問題がなくてもコストがかかることから、経済的理由をもって退役する旅客機が多いのも事実なのです。

もったいない・・・・

◆旅客機の再就職先は?

そう考えていくと、現代の標準では、旅客機の引退までの期間は約25〜30年くらいになりますが、引退しても第二の人生が待っている場合もあるのです。
 特に大型旅客機は横幅があるワイドボディなので、貨物を運ぶにはうってつけ。旅客の次は貨物を運ぶ「貨物専用機」という就職先も多いのです。

ボーイング747-400F のノーズドア

◆その旅客機の生産数も寿命に影響する

 一方で、わずか10年程度でスクラップにされてしまう可哀想な旅客機たちも存在します。これは少数生産の旅客機に多いのですが、メンテナンスする部品が調達しにくくなるうえに、その機体専用のスタッフも確保しにくいというのが理由です。
 実はパイロットは、その機体専用の操縦免許を取得しないと操縦ができないことになっています。自動車免許とは全然違うのです。
 また整備士も同様で、B777ならB777専用の整備免許が必要です。

 少数派の機種は、こういう意味で将来性がないと見なされて、中古市場に出しても買い手が付きにくいのです。買い手がつかなければ、まだまだ飛べるのにスクラップにするしかないのですね・・・。

◆新しい機種を好んで導入する航空会社は?

 車を購入する時でも「新車じゃないと絶対イヤ」という人もいれば「別に中古車でも構わない」という人もいるように、航空会社でも新しい機種を好む会社もあれば、中古機購入派の航空会社も存在します。
 まあ、両方のタイプが存在していることで、ひとつの旅客機を長く有効利用できるともいえますね
 ちなみに新しい機種を好む航空会社はシンガポール航空だそうです。格付けランキングで世界第2位、5つ星を獲得しているエアライン!

シンガポールエアライン

 これには理由があって、まず「利用者の印象が良い」ということ。そして機体が新しいほど整備に費用と手間がかからないという点があるのです。
 新車は高いけど、新鮮で気持ちもよく、メンテナンスに費用がかからないという点で購入するか。それとも、安い中古車で、後々のメンテナンス代がかかるのを覚悟して購入するかの違いなのでしょうか。
 日本では長く使用した道具などには霊が宿り、付喪神になるとか、「山川草木悉有仏性」という、「全ての物には心が宿る」というような仏教用語もあります。
 いずれにせよ、使っている時も、手放す時も、廃棄する時も、そのモノに感謝するという気持ちは持ちたいものですね。 


いいなと思ったら応援しよう!