OriHimeはロボットなのか?

OriHimeはロボットなのか?

見た目もロボット、動きもロボット、、、でもロボットじゃないよね!

一度、OriHimeに会ったことがある人、OriHimeを操作したことがある人 ならきっと分かるはず。。。

OriHimeは気の効いたことも喋るし雑談もできる! 笑ってなんでやねんとツッコミも入れるし、相手の言っていることに寄り添いただうなずくこともできる。

涙を流すことはできないが、喜怒哀楽の感情を人に伝えることができる。

そう「伝える」というより…『感じ合える』というのが正しい表現だと思う。

今年は、新型コロナウィルスのため、老若男女がソーシャルディスタンスを保つことを求められた世界となった。だからOriHimeのようなテレプレゼンスロボットが、非接触型・非対面型として注目されたという面もあるのだが、本質はもっと違うところにあると思っている。

非接触型・非対面型という特徴だけなら、今や一人に一台のPCやスマホなどを使えばいいのだ。例えば、WEB会議ツールを使えば簡単に会議など参加することができるが、テレワークが長びくなるにつれて、多くの人がそこにコミュニケーション不足やチーム力醸成の難しさ等の課題があることに気がついた。

一方、OriHimeはそこに“在る人間の関係性“が何より重要であり、相手を想う気持ちや相互の信頼感があれば、OriHimeなら感じ合うことができるのである。WEB会議のような画面越しでは遠くの人という無意識の意識が働き、細やかな感情を伝える(感じとる)ことが難しい。しかし、手を振るなどのジェスチャー・首を回して周りを確認する動作等を伴う人型のOriHimeがそこに在るからこそ、今その人の存在感を感じ、肉声から伝わる微妙な感情を想像することができ、結果としてその想いや愛が感じられ、伝わるのである。

だから、人と人のぬくもりを感じることが難しかったコロナ禍だからこそ、人と人のぬくもりがとても大事だと多くの人が気づき、よりはやくより深く“本質“を理解した人達が、今OriHimeを受付けなどで使いはじめているのだと思う。

私が勤務するNTT東日本では“つながるをつよく“をコンセプトとしているが、まさに、強く確かにつながることの新しいコミュニケーションスタイルをOriHimeは提供しているのである。

技術やサービスはその“本質“を知ると、新たな世界に誘ってくれるものである。ぜひ、OriHimeの本質を理解してOriHimeを使ってみたいという方は、私に気軽に話かけていただければと思う。OriHimeと共に、いろいろな人の想いをみてきた私だから、少しでも皆様のお役に立てればと思う。

最後に、おもしろエピソードを大人バージョンと子どもバージョン一つづつご紹介して、今回のコラムを終えたいと思う。

現在、五反田dガーデンにてOriHimeのスマホ教室が開催され、120cmのOriHime−Dが導入されている。



2年ほど前に、この等身大のOriHime−Dの開発段階において、ユーザインタフェース機能と衝突防止機能の搭載とともに、NTT東日本の社内イベントにて我々とオリィ研究所でともに検証する営みがあった。

【★大人バージョン】

一見すると普通のAIを搭載したロボットに見えるので、近づいて来る方が多い。

しかし、遠隔(地方)から人が操作して東京のロボットを動かしているということを聞いたあとに、なぜか多くの人が「そちらのお天気はどうですか?」と会話を始めることに私は気がついた。

一般的に、天気や気温など気候の話は、初対面の人との最初の会話のきっかけづくりに最適なものと言われている。しかし、その前提条件としては、同じ場所にいること・対面であることが多いと思う。そのような会話・雑談においては、同じ場所にいるのだから相手も同じ天気や気候を体験しているため、天気の話題そのものが相手との共通点となり、会話のスタートにもってこいのネタとなる。

ところが、最初に遠隔(地方)から東京にアクセスしてロボットを動かしていることを説明し、そのことを知っている人が、あたかもそこにいるかのように天気の話題を持ちかけて雑談をスタートしているという面白い事象がおきていたのだ。(一般的なケースと違い、会話ネタと場所の関係性に少しアンマッチが起きている状況かと思うが…)

そう…これはまさに、

その人の“存在感がそこにある“という証   なのだと思う。

【★子どもバージョン】

子どもたちが集う場所に、OriHime-Dを2台導入してみた時のことである。

1台は、小学生の子どもたちにOriHime−Dの操作端末を渡して、実際に操作してもらうという企画だったが、さすがに現代っ子‼︎いとも簡単に操作を実施していた。

さらにもう1台は、未就学児の小さいお子様向けとして、遠隔(地方)から東京のロボットを操作してお盆にのせたキャンディーを子供たちに配るという企画だった。その時に、子どもたちはキャンディをもらいながらOriHimeパイロットの方と楽しく会話をしていた。

と、そのうちの一人のお子様が、なんと、OriHime−Dの背後に周り、スカートのようなフォルムのところを触ったり、背中の部分を開けようとする行為をしだしたのだ。

最初、私も一瞬何が起こったかわからなかったのだが、よくよく聞いてみると、街中で見るAIロボットの受け応えに慣れていたお子さんは、ここにあるOriHimeがあまりにもスムーズに喋り、キャンディーを配りながらその場の空気を読んでその子供にあった話題で話しかけて来ることを、すごく不思議に思ったのだ‼︎

そして、生身の人間がロボットの中に入っているに違いない!と思って、すかさず人間がいることをチェックしに行ったのである。

子供は、正直で嘘をつかない… 「そこにいるって思ったから」

そんなクスッと笑いたくなるような可愛らしいエピソードだが、直感的にすべてを理解した素直な子供の行動に感心しきりだった。

そう、

OriHimeはロボットだけどロボットじゃないんだよなあ…。

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