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ONE JAPAN5周年記念対談~これまでとこれから~ #2 諸藤洋明&川﨑万莉

大企業の若手・中堅社員を中心とした企業内有志団体が集う実践コミュニティ「ONEJAPAN」は2021年9月で5周年を迎えました。現在では55社3000人が集うまでに拡大したONE JAPANですが、世の中に、「挑戦の文化をつくる」ための活動は日々続きます。ONE JAPANに深く関わるメンバーに、ONE JAPANに深く関わるメンバーにそれぞれの想い、ONE JAPANのこれまでとこれからについて聞きました。
第2回目はONE JAPAN幹事の2人、有志団体活性化担当の諸藤洋明とデジタルコミュニケーション担当の川﨑万莉の対談です。

「“一歩目を踏み出す場”をつくる」―ONE JAPANでの役割についてー

まずは自己紹介代わりに、本業で今、何をやっているか教えてください。

川﨑:2011年から野村総合研究所(以下、NRI)に勤めています。これまでのキャリアは、コンビニの業務システムの保守運用から始まり、プロジェクトマネージャー、システムコンサルティング、マーケティングから海外拠点の事業企画・支援まで幅広くやってきました。そして10月からは人材戦略の部門で働くことになります。顧客にサービスを提供する事業部門から自社の組織を活性化する部門へ移り、本業ではこれから新たなスタートというタイミングです。

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【川﨑万莉】野村総合研究所 産業ITイノベーション本部 HRM室人材戦略グループ 主任/ONE JAPANデジタルコミュニケーション担当幹事
2011年に新卒でエンジニアとして入社後、PM・システムコンサルタント・海外事業企画等、多様な職種を経験。2018年10月より同社有志団体「N次元」立ち上げに参画、「縦横斜めで繋がり、一歩踏み出す勇気を持てる場づくり」に取り組む。人が思わず動き出したくなる組織づくりが得意。

諸藤:私はNECに勤めて14年目になります。今の仕事は「行政DX」。官僚の人々が国の政策を考える際、デジタルでどうやったら実現できるかを考える…といった事業開発分野にいます。

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【諸藤洋明】日本電気株式会社 ガバメント・クラウド推進本部 マネージャー/ONE JAPAN有志活動活性化担当幹事
2007年新卒でNECに入社。SEとして政府系システム開発やプロジェクトマネジメントを経験。経産省の「始動」プログラムに参加したことをきっかけに、事業開発職に転身。2021年より新設されたガバメント・クラウド推進本部で行政のDXに取り組む。2017年に社内有志活動「CONNECT」を立ち上げ、全社表彰。好物はきなこ餅。

―ONE JAPANでの役割、何をやっているかを教えてください。

諸藤:肩書きは、「有志団体活性化担当」です。ONE JAPANは”企業内有志団体の集まり”なので、その”有志活動”を盛り上げるには何が必要かを考え取り組んでいます。具体的には、企業の代表者同士の悩みを共有する場をつくったり、好事例となる取り組みを他の団体に伝えたりといった活動を中心に行っています。

川﨑:私は、デジタルコミュニケーションの幹事をしています。活動としてはデジタルチーム、コミュニケーションチームの2つに分かれてやるものと、2つのチームが共にやるものとあります。デジタルチームでの活動を振り返って、いちばん大きな転換点はやはり2020年からのコロナ禍ですね。カンファレンスなど各種イベントすべてがオンラインになる中で、知見の共有や新しいツールの導入などを今も現在進行形で進めています。

一方でコミュニケーションチームの成り立ちは、数人が自主的に始めた「分科会」という枠組みで、ONE JAPAN内の情報を整理するチームでした。今は情報の見える化を行うなかで広がってきた課題、どうやってその情報に到達してもらうか、情報だけでなく人と人との接点づくりをどうするか、といったところまで枝葉を広げ活動しています。55社の参加団体の代表者同士が繋がるだけでなく、代表者じゃない人でも集まれる場やコミュニティづくり、メンバー同士のコミュニケーションをどうするかを考えて活動しているチームです。

諸藤:デジタルコミュニケーションと有志団体活性化は、セットなんですよね。有志団体活性化をするには、ONE JAPANに関心を持ってもらうことがまずスタートなんです。関心を持ってもらうには、集まれる場やコミュニティづくりがとても重要なので、デジタルコミュニケーションチームと一緒にONE JAPAN加盟団体の所属企業にいき、ONE JAPANがどういうものか紹介し、「外ともっと繋がっていきませんか」と有志を募る働きかけを行っています。

川﨑:そうなんですよね。企業の中には外に向かって「一歩目」を踏み出せていない人々もいるのではないかなという仮説のもと、「であれば、こちらから行ってしまおう」という取り組みが諸藤さんが話してくれた「キャラバン」です。ONE JAPANの魅力を伝えて、興味を持ってもらえたら、まずはカンファレンスや緩く集まれる場を紹介するんです。

有志団体活性化チームは企業の枠組みを越えた“越境の場”であるONE JAPANとして、各企業内にある有志団体に寄り添うのが役目。デジタルコミュニケーションチーム側は、各団体の代表者にとどまらず参画企業まるっと抱え込んで、一人ひとりが挑戦への一歩をどうやったら踏み出せるかということを考えているという違いはあると思います。

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もやもやと閉塞感からの脱却―有志団体・ONE JAPANとの出会い

―お二人がそれぞれ所属する有志団体に参加するきっかけ、ONE JAPANに参加するきっかけは何だったのでしょうか。

諸藤:有志活動のきっかけはONE JAPANのカンファレンスに参加したことでした。そこで、入山章栄先生(早稲田大学 大学院経営管理研究科教授)のお話や、NRIの若手社員が新しいことに挑戦するために立ち上げた有志団体「ARUMON(アルモン)」の話を聞いて、社内で本業とは違う活動をやること、それは個人にも企業にもタメになることだという考えに納得感がありました。カンファレンスに参加した数人と社内に戻って何ができるかを考え、イベントなどを企画するようになったのが、僕の有志団体活動の始まりです。

川﨑:私は、諸藤さんの話に出てきたNRIの有志団体「ARUMON」とは別の団体の発足メンバーとして活動をスタートしました。その頃、「一生懸命仕事はしているけれど、成長を実感できない」「自分がやっていることに自信が持てない不安感」「仕事が楽しい状態がどういった感じなのかわからない」……など現業に対してモヤモヤするものを抱えていて、有志団体に参加したら解決の糸口を掴めるんじゃないか、と思ったんです。その後、その有志団体のメンバーにONE JAPANの存在を教えてもらい、ONE JAPANにも参加するようになりました。

諸藤:僕もその当時、「閉塞感」のようなものを感じてましたね。社会人になれば知り合いも知識も増えて自然と自分の世界は広がっていくと漠然と思っていたんです。それが、社内で専門的知識を深堀りすることに時間を費やす中で、ここから抜け出せなくなるのではないかと不安になりました。だから当時、外に出ないと!と考えてはいたんです。ただ自分が所属する組織から「越境」して学びたい、世界を広げたいと思っても「どうやったらいいんだ?」と。そんな時に、会社の同期からONE JAPANに誘われたんです。

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―ONE JAPANに参加して、その不安感や閉塞感に対する考え方は変わりましたか?

川﨑:そうですね。常にバッターボックスに立たせてもらい、場数を踏める環境を得て「成長を実感できない」「自信が持てない」といったことはなくなっていますね。もちろん最初は「先輩に頼まれたこと」から始めたのですが、「これができるのはすごいね」という言葉をもらえたりするなかで楽しさを感じてきて。やっていくなかで、できることとできないこと、没頭できる得意なことと得意ではないことがわかってきたことが大きいです。

諸藤:僕の場合は、ONE JAPANに参加したことで、NEC社員の前に一人の「社会人」になれたという感覚があります。NECの社員であり、ONE JAPANの幹事で、個人でブログを書いて発信している、色々な面を持つのが「諸藤」だという感覚ですね。これを感じられたのが大きな変化です。ONE JAPANに身を置いたことで価値観の違う人々と触れ合うことができて、「人は環境の奴隷」「自分は周りにいる5人の平均」という言葉が腑に落ちたんですよね。


良い環境に身を置けばワクワクのエンジンが勝手にかかるー本業への影響

―本業にも良い影響は出ていますか?

諸藤社内での人脈、巻き込む範囲が広がっています。ONE JAPANを知る前の自分は、半径10m以内、部署内だけで仕事をしようと考えていました。たとえばセキュリティ関連の仕事をする際、部署内でもっともセキュリティに詳しい人のところに話を聞いて業務を進める、という感じです。それが今では、社内でいちばんセキュリティに詳しい人、社外のセキュリティ専門家とともに仕事をしようという考えで動くようになっています。社外に踏み出すイメージや発想ができるようになり、本業での働き方は大きく変わったと思います。

川﨑:先ほど諸藤さんが「人は環境の奴隷」という言葉を引用されてましたが、私は「人は良い環境に身を置けば、ワクワクのエンジンが勝手にかかる」と思っているんです。だからONE JAPANで積極的に関わり取り組んできたのは「場づくり」なんですが、本業の仕事はマーケティングやコンサルティングなので、その興味関心は直接的には役立たないし、評価の対象にもなりません。ですが、「チームのメンバーがいかに自立的、自発的、自分ごと化して仕事してもらう環境をつくるかを考えるのが得意」だと気づいてからは、本業でもその得意なことをやるようになったんですね。そうしたら社内の色々な方から、「チームの組成や醸成がすごくうまい」と言っていただけるようになり、「また一緒に仕事をしたい」と社内外で言ってもらえるようになりました。

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挑戦がもっと当たり前に―これまでのONE JAPANとこれからのONE JAPAN

―発足5周年の節目の年を迎え、ONE JAPANカンファレンスは初回の120人だったのが今では2000人規模にまで大きくなっています。参加した当時を振り返り、ONE JAPANの変化を今どのように感じていますか。

諸藤企画が持ち上がってトライするまでのスパンが短くなりましたよね。55社のチームワークができてきたということだと思っています。2017年頃には文化が違う企業が集まる中で、新しい取り組みを始めようとしても、どこからか疑問の声が出てきてストップするというようなこともあったように思います。イノベーティブな人々が集まっているのに、それでもなかなか難しかったことが、今は明確化されたビジョンのもとに集まっているので、スムーズにことが進みます。

川﨑:同感です。何かに挑戦したいと思ったとき、トライするまでのステップがある程度「型」としてできてきたので、途中で止まることなく進めることができます。最初は、共同発起人などが牽引して引っ張っていく力が推進力になっていたと思うのですが、今はONE JAPANに参加した「個人」、一人ひとりが何らかの役割を見つけ、活躍できる仕組みができていますよね。規模が大きくなり、最初から率先して動ける人ばかりでもない中、それぞれに応じた居場所や役割を見つけられるのは、ONE JAPANがさらに存在感を大きくする上でも重要なことだと感じています。

諸藤:得意なことや不得意なことをお互いに理解しあって、どうやったら実践に移せるかをようやく「型」にできた感じ。5年かけてONE JAPANの土壌が整ったという感じですね。

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川﨑:これから、もっと“土壌を耕して”いきたいですよね。これまでのONE JAPANは「会社を何とかして変えたい」という同じ気持ちを持った同志が集まっていたと思うんです。ですが、この先は、色々な考えを持った人々が集まるコミュニティ、多様性のある実践コミュニティにしていきたい。何にでも挑戦しようとすぐにアクションを起こせる人ばかりではなくて、背中を押してもらわないと動き出せない人もいます。動き出さないからやる気がないんだ、ではなく、「ここで好きなように挑戦していいですよ」と分かりやすい標識を立てて挑戦しやすい環境を整えれば、足踏みしていた人も勝手に動き出すと思うんです。

―この先のONE JAPANの姿ですね。

川﨑:これから「何が正解かわからない時代」がやってくると、正解は自分でつくらなければならなくなりますよね。一人ひとりは各々の価値観で正解をつくっていくことになるのでしょう。ただ、色々なバックグラウンドを持った人が集まっているONE JAPANでは、1つの正解ではなくその場にいる人々の「納得解」をつくっていくことになるのだと思います。その「納得解」のつくり方を知っている人が多ければ多いほど、ONE JAPANだけにとどまらず、会社という組織も世の中も良い形に変わっていくんじゃないかなと考えています。

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諸藤:僕、個人的なことを言えば「有志活動」という言葉を広辞苑に載せるのがこの先の夢なんですよね(笑)。学校の部活動のように、会社に入ったら業務だけではなく、自分がやりたいことを追求できる「有志団体」に所属して有志活動を行うのが、どの企業でも当たり前になる文化ができたらいいなと考えているんです。

その夢に近づくためのONE JAPANでのミッションは、「挑戦のメカニズムを明らかにすること」挑戦する人たちを支援し、挑戦する人たちの声、実践事例を集め“挑戦学”のような体系立てたものにできたらいいなと思います。挑戦する人たちを社会が当たり前のように受け止めて、挑戦する人を支援するのは価値があることだと、多くの人が気づいてくれるといいですよね。


-自分たちがもやもやや閉塞感から脱却できた経験を踏まえ、ONE JAPANによって挑戦する人を増やしていきたいというお二人の熱い想いを感じました。本日はありがとうございました。

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構成:中原美絵子
インタビュアー・編集:岩田健太(東急/水曜講座)
撮影:濱本隆太(パナソニック/BOOST)
デザイン協力:金子佳市

取材場所協力:Shibuya Open Innovation Lab

【10月31日開催 < ONE JAPAN CONFERENCE 2021> 申込受付中!】
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