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月百姿 祇園まち

赤穂事件を題材にした、歌舞伎三大名作に数えられる仮名手本忠臣蔵より、七段目「祇園一力茶屋の段」が本作の題材。

鎌倉・扇が谷の上屋敷を明け渡した後、大星由良助(大石内蔵助)の一家は、京・山科でひっそりと暮らしている。世間では、塩谷判官の家臣がいつ主君の敵を討つのかと噂されているが、由良助はだらしなく遊びにふけっている。今夜も由良助は祇園一力茶屋で大いに酩酊する。

そこへ大星力弥(大石主税、十六歳で切腹した最年少の赤穂義士)が、顔世御前からの密書を届けに来る場面。

遊女となった早野勘平の女房・おかるは、由良助が読み始めた手紙を好奇心から延鏡に映して覗き見る。それに気づいた由良助は、密事を知ったおかるを殺すつもりで身請けをもちかける。おかるの兄・寺岡平右衛門は身請けの真意を察し、手柄を立てて敵討ちの供に加えてもらおうと妹に斬りかかる。驚くおかるは父・与市兵衛の死と夫・勘平の切腹を聞かされ、覚悟を決める。まさに刀が振り下ろされようとするところを由良助が制し、平右衛門を供に加える。おかるには、高師直に内通し由良助の真意を探るために床下に忍び込んでいた斧九太夫を夫・勘平の代わりに討たせた(出典)。


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